サプライズを欲しているアナタ。アハ体験で得られる不思議な感覚はいかがでしょう:「脳に快感 アハ体験!」レビュー(1/2 ページ)
写真のどこか一部分がゆっくりと変わっていく。テレビで話題のアハ体験が、PSPのソフトになって登場した。気が済むまでとことんアハ体験を満喫しよう。
誰もが驚く“アハ体験”
最近、テレビでよく見かける映像クイズをご存じだろうか。風景や動物といった何の変哲もない1枚の写真の、ある部分がゆっくりゆっくりと変わっていく、そこでどこが変わったのかを当てる、といった一種の間違い探しのようなクイズだ。
例えば、空の色が変わったり、小道が徐々になくなったり、建物の位置が横にずれたり……。急に変化すれば誰でもわかるのだが、徐々に移行するので簡単には気づかない。知識力でもなく、頭の回転でもない、新感覚のクイズ体験が流行っている。
筆者が最初にこのクイズと出会ったのはとあるテレビ番組だった。たくさんの料理が並んでいる写真が画面に表示された。初めは“こんなの簡単だ、変わってるんだから見てれば分かる”と思ったが、いざ始まるとまったく分からない。というか、どこも変わってないでしょう!? すると司会者は“ほら、もう変わってますよ”と一言。ウソだ……。2回目、3回目になってもまだ分からない。筆者もバカではないので、少しヤマを張ることにした。“料理が減ってるんじゃないか?”、“お皿が微妙に動いたのかも”、“和食が洋食に変わってたり……”。でも、結局ダメだった。
ついに正解発表になり、ビフォアとアフターの映像が交互に映し出される。それを見てがく然とした。明らかにお皿の色が違っているじゃないか! 黄色から緑だったか、あれは微妙なんてものじゃなかった。まさに狐につままれた感覚だ。こんなに映像は変化しているのに、自分の目には入ってこない。ある種、感動すら覚えた。衝撃的な出会いから、筆者はすっかりこの不思議なクイズにハマってしまったのだ。
このクイズが与える、今まで分からなかったことが分かるようになった時の体験を“アハ体験”というそうだ。これは、ソニーコンピュータサイエンス研究所の茂木健一郎博士が提唱した説。クセ毛にややポッチャリ気味の茂木博士の姿をテレビで見たことはないだろうか? アハ体験とは英語で“aha! experience”。“わかったぞ!”という体験を表す言葉として使われるとともに、脳に隠された力を示すキーワードとして、最新脳科学でも注目されているという。
このアハ体験が気軽に味わえるゲームがPSP「ソニーコンピュータサイエンス研究所 茂木健一郎博士監修 脳に快感 アハ体験!」だ。何よりいいのは、テレビと違って自分のペースで遊べることにある。テレビ番組だとどうしても時間制限があって、あと少しで分かりそうなのに……という場合も多い。集中していたらテレビCMが入った、なんてこともある。これがゲームなら、好きなように好きなだけ繰り返し挑戦できる。その上、脳が活性化するのだから言うことなしだろう。
遊べるクイズは3種類
最初に特筆すべきはその値段かもしれない。定価は2940円(税込)。「脳力トレーナー」や「カズオ」と同じで、PSPのソフトにしてはかなり安い。DVDを買うくらいの感覚で、衝動買いできるのではないか。とは言え、トロフィーが集められたり、おまけの映像がたくさん入っていたり……といった、プレーヤーをやる気にさせる工夫がほとんどないのは残念なところだ。純粋な問題集、と言えばいいのかもしれない。ただ、アハ体験のクイズ自体は抜群に面白い。いい素材なんだからシンプルに生かそう、という自信の表れともとれるだろう。
収録されているクイズは3種類。一通り紹介してみよう。
アハチェンジ:交互に表示される2枚の画像の違うところを指摘する。名画「モナリザ」や風景写真など、問題数は全9問。2枚の画像の間に一瞬黒い画面が挟まることで、一時的に記憶を蓄えておく「ワーキングメモリ」と呼ばれる脳の働きがリセットされ、変化した場所が分かりにくくなるという。
アハムービー:テレビでもおなじみの、写真の一部分がゆっくりと変わっていくクイズ。ジャンルは「絵画」、「世界遺産」、「動物」、「CGアニメ」と全11種類。それぞれ7〜10問ずつで、問題数は多い。難しい問題ほど、分かった時にドーパミンが多く放出され、強い快感を得られ、次のひらめきにつながるのだそうだ(ただし、分かったらの話だが……)。
アハカット:主人公の少年アハ君が朝起きてから寝るまでの、1日のムービーを使った問題。カットが切り替わると、画面のどこかに間違いがあるので、その場所を指摘する。「第1話 目覚め」ならノルマ1、「第2話 歯磨き」ならノルマ2と、各話ごとに間違いの数が決まっている。エピソードは全10話。
アハカットとアハチェンジの問題数は少ないが、メインとなるアハムービーはバラエティに富み、100問程度が存在する。これだけあれば、すべて解くのに相当な根気と時間が必要だろう。何度も同じ問題に挑戦していると、“答えを見る”というコマンドも現れる。が、できればそれに頼らず頑張ってほしい(1問につき1つヒントがあるが、これも見ないのが理想だ)。
分かってしまったら“なーんだ”と思ってそれまで。筆者は40回も映像を見て、やっと解けた問題もあった。その時の“アハ”といったらもう……。違いを発見したときの大きな喜びと、なぜこれが分からなかったのかという人間の不思議を最大限味わうのだ。
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