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» 2006年08月21日 00時36分 公開

すべては「アニス&フリッキー」に集中するために――村岡氏&ファン氏インタビュー「アニス&フリッキー」韓国メディアツアー(その2)

GMO Gamesおよびネットクルーの代表取締役社長 村岡総仁氏と、同代表取締役のファン・サンキュ氏に、「アニス&フリッキー」や「コラムオンライン」を引き合いに、自らが理想とするオンラインゲームのあり方を語ってもらった。

[加藤亘,ITmedia]

9月にX-TSET、11月に正式サービスを目指すアクション特化型MMORPG

左がGMO Gamesおよびネットクルーの代表取締役社長 村岡総仁氏。右が同代表取締役のファン・サンキュ氏

 “X-RPG(Extreme-RPG)”を標榜するアクション性を特化したMMORPG「アニス&フリッキー」(以下、アニフリ)が7月14日に発表された。「ミルの伝説」や「A3」などを送り出した韓国老舗のデベロッパーの新機軸タイトルに、これまでにない魅力を感じたと村岡氏とファン氏は語る。

 本作は、日本でのパブリッシャーとなるネットクルーとしては「コルムオンライン」に続く2作目、GMO Gamesとしては「DECOオンライン」を含んだ3作目となる。概要については7月に行われた発表会の記事を参照していただくとして、ここでは日本でのサービスを発表したGMO Gamesとネットクルーを代表して村岡氏とファン氏に改めて本作について話を聞いてみた。なお、メディアツアーでは多くのインタビュースロットが組まれていた。今回これが最初のスロットなる。

 アニフリを単的に紹介すると、西暦2030年の仮想現実システム“キューブスペース”を舞台とした、SFコミックアドベンチャーである。アクションを重視したゲーム性は明らかに今までのMMORPGとは一線を画す。この新機軸にネットクルーは賭けてみたくなったと村岡氏は振り返る。

村岡 昨年末までに新規タイトルを70ほど精査し、何が我々に必要でふさわしいのかを検討しました。会社の業績や内容はもちろんのこと、ゲームの完成度を吟味したわけです。しかし、一番重要視したのは、既存のMMORPGと差別化されているということでした。現在他社でサービス化されているものを含み、最後に5タイトルほどに絞ったわけですが、土壇場でアニフリに出会ったわけです。我々は開発力やその会社の規模も検討材料にしますが、「コラムオンライン」を運営した経験から、どの程度そのデベロッパーとの信頼関係を構築できるかを重視します。定期的なアップデートであったり、そのノウハウであったりがしっかりしている。そして求めていた新しいジャンルでした。本作はアドベンチャー要素あり、RPG要素あり、アーケードゲーム性やカジュアル性も期待できます

 Actozとはこうして手を携えることになったという。ファン氏もビジネス的に「コルムオンライン」が日本で成功していると感じている現在、アニフリを新たな柱として育て上げたいと意欲を見せる。

 アニフリは、韓国で一足お先に7月20日からオープンβテストを行っている。1週間で30万人の登録会員数を記録し、1万5000人以上の同時接続数を誇っている。これを受けてActozの株価も40%ほどアップしており、ほっと胸をなで下ろしているといった現状とのこと。日本ではまだβテスト(本作ではX-TESTと呼ぶ)が行われていないため、発表会の反応を見るに留まるが、感触はいいものがあったという。

日本オリジナルのアイテム装備も登場する

 ちなみにX-TESTは、9月9日〜11日まで基本的なテストを行うフェーズ1、9月15日〜17日まで世界観に関わることを検証するフェーズ2、9月22日〜27日までコミュニティをメインをメインとしたフェーズ3と、立て続けにβテストを展開するという珍しい形態を取る。その後、時間を開けることなくオープンβテストが9月29日〜11月8日に行われ、正式サービスを11月中旬に予定している。

 村岡氏はネットクルーおよびGMO Gamesとしては、基本的に日本側のユーザーからの声を届け、それをゲームに反映させるのが仕事と捉えている。瞬発的に会員を募り、初速だけでタイトルを成功させたとしても、投資に見合うだけのサービス展開はできない可能性が高いと考えている。「コラムオンライン」がMMORPGのファンタジー系として確立してあり、「デコオンライン」も同様のジャンルであるのであれば、グループとしての3タイトル目に投入するタイトルは同じものであってはならないとした。これから2年、3年とサービスを安定的に供給し、ユーザーの声をアップデートに生かせ、よりよいサービス作りができ、1人でも多くの笑顔を得る――。基本の理念を忠実に守り、かつ同じようなジャンルのタイトルが多すぎる現状を鑑みて、新しいジャンルへの挑戦したわけだ。

ファン 挑戦的なタイトルだからこそ、テストから正式サービスまで極めて短期間で行うという珍しい形態を取っています。X-TESTも3次までを断続的に短期間で行い、さまざまなシステムを実装していきます。誰でも参加でき、ユーザーたちが愛情を持ってコミュニケーションを取り楽しんでもらえるよう、飽きさせることなく正式サービスへと持って行きたいと望んでいますし、テストの際には報奨のようなものも考えています。

 ファン氏曰く報奨の具体的な内容は差し控えるが、連続的に接続してくれるユーザーや、意見を寄せてくれた方へはなんらかの報奨を考えているとのこと。X-TESTでは特に数の制限を設けない。現在、日本でどれだけの人員を必要とするのか、またX-TESTならではの要素をどれだけ詰め込めるかを企画中と村岡氏。ファン氏も、サプライズ的にアニフリならではのシステムを用意しており、いずれは発表したいとファン氏は説明する。

村岡 オープン後年内登録会員数10万人、同時接続5000人程度を目標にしているのは変わりありません。IDの共有化やポータルサイト化についても現状導入の予定はありません。もちろん、ゲーム事業だけではないGMOインターネットグループとしてのポータル化、や1ID化はいずれは考慮しなくてはならないと思うが、タイトルごとのユーザーサービスの低下につながらないか危惧するところなので、慎重に検討しているところです。

 GMO Gamesおよびネットクルーとしての今後の目標としては、まずは基本となるユーザーサービスの徹底を第一としている。ひとまず現状のタイトル、特にアニフリに集中したいというのが正直な感想なようだ。自社開発タイトルについても会社が成長していく上でも今後の要検討事項としているが、実際に動いているわけでもなく、まずは安定的でクオリティ高いサービスの提供を目指したいとのこと。

 日本のオンラインゲームの市場規模は、2005年度で約820億円。2桁成長と発展めざましく、右肩上がりの成長が続くと観測されている。ただし、目に見えてユーザー数が増えたわけではなく、1人で複数タイトルを遊んでいるユーザーがいるのが現状だ。どれだけコアなファンを取り入れ、新規のユーザーを誘導し、よりよいサービスの提供をしていくかが大事であると両氏は当然ながら承知している。GMO Gamesおよびネットクルーのアドバンテージはなんなのかと聞いてみると――

村岡 我々グループはインターネット周りすべてをフォローしています。特にオンラインゲーム事業と親和性の高いブログ事業に関して、さまざまなサービスを展開しており、コミュニティ事業からの切り込みができる。この点は他社よりもアドバンテージがあると自負しています。パブリッシャーとしても、韓国の開発会社と数十分移動すれば会え、アップデートについてや契約後のケアなどができ、信頼関係の構築に強みがあると考えています。

ファン 韓国のゲーム市場のうち60%はオンラインゲームが締めます。そんな状態ですので、同じようなゲームも多々あり、競争も厳しい。だからこそ差別化されたゲームをサービスしていきたいと考えています。

村岡 “すべての人にインターネットを”というグループスローガンがあるのですが、まったく主旨は同じで、ひとりでも多くのユーザーに笑顔と感動を与えるべく質のよいサービスを努力する所存です。アニフリはこれからですが、コラムオンラインも同様です。初期の頃から愛してくれているユーザーを裏切らないよう、満足できるゲームを提供していきたいと考えています。

社長室での2人。村岡氏はオンラインゲームパブリッシャーとして若い世代の経営者として期待されている。またファン氏は、元サムスングループに所属しており、ファッションやインターネット事業のビジネスプロデューサーから転職した異色の経歴を持つ

 GMO Gamesおよびネットクルーは、あえて大々的な広告展開などをしない。ビジネス的にリスキーだからということもあるが、タイトルを水モノととらえずに、着実に成功を前提とした基本のサービスに務めたいと両市は強調した。とはいえ、オンラインゲームでは無料のオープンβテストからアイテム課金の導入時にユーザー離れを起こすのが現状。瞬発力のある集客力を余儀なくされる。

 アニフリでは、20代から30代のコアゲーマー世代はもちろん、女性や小学年を広くターゲットとし、あくまでも期間ごとのアップデートやイベントで飽きさせない工夫をするという基本に忠実な展開を予定している。しかし、既存のタイトルにないゲーム性を中心に、短期間でユーザーを引っ張っていく施策には感心させられた。


 MMORPGは同じようなものが氾濫し、グラフィックであったりキャラクターの見た目であったり、世界観や操作性が違うだけで、ほとんど同じといえるものが多い。それがアイテム課金であればなおのことだろう。だからこそ、韓国では今までと違った楽しみ方を提供してくれたと期待する声が多い。メジャーなタイトルとはいえ、当初予想していた登録会員数が集まらないことも珍しくない。サービス開始時には調子よくても、課金化された途端に潮が引くかのごとく閑散となることもある。両氏は息の長い愛されるタイトルにアニフリが成長するよう見守っていきたいと語る。今後、どうユーザーフレンドリーなサービスをしていくのかが今、もっとも大きな課題となっている。

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