あと1年、PS3でどこまでできるか。まだまだ実験段階「みんなのGOLF 5」開発者インタビュー(1/2 ページ)

国民的人気ソフト「みんなのGOLF」シリーズ最新作がプレイステーション 3で登場する。プレイアブル出展されていたソニー・コンピュータエンタテインメントでも、長い待ち行列ができていたほど。シリーズプロデューサーの池尻大作氏に話を聞いてみた。

» 2006年09月27日 18時26分 公開
[聞き手:平澤寿康,ITmedia]
画像 「みんなのGOLF」シリーズのプロデューサであるSCEJの池尻大作氏

 プレイステーション 3での発売が予定されている、国民的人気ソフト「みんなのGOLF」シリーズ最新作「みんなのGOLF 5」。ソニー・コンピュータエンタテインメントブースでプレイアブル出展され、多数の来場者が詰めかけており、改めてその人気の高さを認識した。今回、その「みんなのGOLF」シリーズのプロデューサであるソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの池尻大作氏に話を聞く機会を得たので、「みんなのGOLF 5」(以下、みんGOL 5)についていろいろと聞いてみた。

――「みんGOL 5」でプラットフォームがプレイステーション 3になるわけですが、これまでの「みんなのGOLF」シリーズと比べてどこが変わっているのでしょうか。

池尻氏 やはり、いちばん大きな違いはグラフィックですね。誰が見ても、「絵がきれいになったなあ」という印象を持ってもらえると思いますが、全体的な絵のきれいさ、寄ったときの絵のきれいさ、これがいちばんの違いです。例えば、遠目で見て「ゴルフ場全体がきれいになったな」というきれいさ、アップにしたときの芝のカッティングや枯れた草の描写などですね。

――寄った部分というのは、テクスチャの質や描き込みの向上ということですか?

池尻氏 そうです。靴の模様や身につけるアクセサリなんかもそうですね。「みんGOL」はフリーカメラになっていて、プレーヤーが好きな部分をアップにして映せるようになっていますので、細かな部分まで手を抜かずにやっています。

――プレイステーション 3の強大な能力は、特にどの部分に使っているのですか?

池尻氏 現時点ではやはりグラフィックの部分ですね。特にいちばん大きいのは、ホールの描写です。これまではメモリの制限があって1ホール分のデータしか持てなかったんですが、プレイステーション 3ではより多くのメモリを使えるようになりましたので、「みんGOL 5」では複数のホールデータを同時に持って表示できるようになっています。これで、隣のホールを使った攻略もできるようになっています。より大きな舞台でゴルフをしよう、というふうに作っています。

 それ以外にも、細かな部分では、バンカーに球が入った場合の砂の飛び散りを表現するパーティクル処理や、球を打つときの芝の飛び散りなどの分かりやすい部分は特に力を入れています。あと、弾道にもかなりの計算を行っています。かといってあまりリアルにしすぎてもだめなんです。実際のゴルフの弾道そのままだと、ゲームで再現するとやや勢いが感じられないんですよ。なので、みんGOLシリーズではより気持ちよさが感じられるよう調整しています。弾道の物理演算は、内部では従来よりさらに高度な処理を行うようになっています。でも、そういった技術的な部分は見えないところでやるのがみんGOLですから、他のゲームほどアピールしづらいですね。

――実在のホールを収録することも考えられているんですか?

池尻氏 現時点では、まだ分かりません。まずはプレイステーション 3でどこまでのクオリティのコースを造れるのか、その点を研究している段階です。今回展示しているのは、最低限ここまでは作れますよ、というものです。これに、もっと木を増やせるとか、まだできていないことがいっぱいあります。みんGOL3ではじめて”プレイステーション 2でここまでできる”ということがわかって、みんGOL4になって”こういうコースをやりましょう”ということになりました。今回展示した「みんGOL 5」は、その手前の段階のものですから、まだまだこれからということです。

――確かに、「みんGOL 5」を試遊してみて、まだジャギーが目立つとか、グラフィックのクオリティ面で気になる部分はありました。そのあたりも今後ブラッシュアップされていくわけですね。

池尻氏 そうですね。今回は東京ゲームショウに間に合わせて、かつ快適に遊べることを優先して作ったものですから。発売日も2007年夏となっていますから、まだ1年前ですよね。だから、まだできていない部分があると言われればそのとおりですね。クオリティはもっと上を目標としています。

――エフェクト面での進化もありますか? 例えば新しい弾道であるとか特殊なショットとか。

画像

池尻氏 そうですね、増やしていくことになると思います。今回は、東京ゲームショウに展示するということで、オーソドックスな部分に限定していますが、旗包みやスーパースピンなどもすでに実装されています。他に何かあるのかと聞かれると、今は答えられませんが、もちろん新しいハードになったので何ができるか考えています。実現したいアイデアはいろいろありますよ。

――そういった部分は、プロゴルファーの方の意見を聞いて取り入れるというようなこともあるんですか?

池尻氏 イベントなどでお会いすることがありますので、そういった機会に、どうですか、と聞くことはあります。その中で良く出るのは「風の動きが違う」というものです。特に、風が強すぎるというのはよく聞きますね。実際のゴルフでは、クラブのフェース角度やスイングなどほんの少し変えて対処するのですが、みんGOLで体の向きを大きく変えて打ちますよね。あと、風が刻々と変化するというのも言われます。でも、こういったリアルさを追求した要素を加えると一気に難しくなるんです。だから技術的には可能でも、現状は見合わせています。

 あと良く聞くのは「フライヤー」ですね。フライヤーというのは、ラフから打つときに球が飛びすぎるというものなんですが、ゴルフをやっている人以外には(クラブの飛距離以上に球が飛びすぎるということが)分かりにくいので、これまで見送っていました。でも、今回は実験的に盛り込んでいます。

――みんGOLシリーズはリアルさを追求するゲームではないですよね

池尻氏 リアルすぎるとパーを取るのが難しくなるので、そうなるとお客さんが離れていくと思うんですよね。今回お客さんのプレーを後ろで見ていたのですが、ほとんどの人がパーかボギーぐらいでホールアウトして行かれいました。プレイするときに、「みんGOLをプレイしたことはありますか?」と聞いて、ないという人には“みんなのクラブ”を選択してもらって。向きもクラブの種類も合っていますから、と説明したら、ほとんどの方がだいたい遊べています。そういう安心感は大事にしたいですね。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/05/news178.jpg イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. /nl/articles/2412/06/news118.jpg スタバ、紙ストローからバイオマス素材のプラストローへ 「時間が経過しても変わらない飲用体験」
  3. /nl/articles/2412/06/news035.jpg 「えぐいもん見つけた」 ハードオフに7万9200円で売っていた“驚きの商品”に仰天 「こんな値段なってるの!?」
  4. /nl/articles/2412/06/news136.jpg 永山瑛太、妻・木村カエラ以外との“親密手つなぎショット”にファンびっくり 「奥様かと思いきや」「手ツルツル」
  5. /nl/articles/2412/06/news120.jpg 「これでテレビ出られるのかな」 吉高由里子、大河ドラマ「光る君へ」の苦労明かす 「メイクが薄い」「7分とかで終わっちゃって」
  6. /nl/articles/2412/06/news034.jpg 「えっ!」「ほんと?」 琵琶湖の“イメージ”と“現実”の違いに思わず仰天
  7. /nl/articles/2412/04/news023.jpg 動物ギライだった父、愛猫の涙が出るほど“けなげなお出迎え”にたまらず…… グッとくる再会シーンに「こんなにされたら愛おしくて…」「鼻の下が3mくらい伸びそうw」
  8. /nl/articles/2412/01/news003.jpg パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  9. /nl/articles/2412/05/news081.jpg 「鼻水吹いたw」 リサイクルショップで買った美少女フィギュア(?)→“まさかの正体”に爆笑の嵐 「チクショー!」
  10. /nl/articles/2412/05/news031.jpg 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  2. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  3. 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
  4. 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
  5. 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
  6. パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
  7. アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
  8. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
  10. PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」