プレーヤーの数ほど用意されている“ゾンビパラダイス”「デッドライジング」レビュー(1/2 ページ)

さあ、Xbox 360を買おう! 決してゾンビだけじゃない。血まみれだけじゃない。ゲームというメディアだけが持っている双方向の楽しさ。ゲームが好きなあらゆる人に贈られた創意工夫のパラダイスがここにある!

» 2006年10月16日 14時33分 公開
[水野隆志,ITmedia]

ただゾンビを倒すだけのゲームじゃありません

 ゾンビが好きな人にとって、「デッドライジング」は心の底から待ち望んだタイトルだったろう。ショッピングモールを舞台にゾンビの大群と戦う! このシチュエーションに燃えないゾンビ・ファンなどいやしない。どうしょうもないZ級も含めて内外のゾンビ映画を見まくってきた筆者ももちろん、その1人。それまで持っていなかったXbox 360を調達して、指折り数えて発売日を待っていた。

 ところが、いざプレイしてみて、少し印象が変わった。確かにゾンビはたっぷりと出てくる。北米版に比べると少ないとはいえ、血の量も十分。だが、このソフトの真の価値は別のところにあったのだ。

 ゲームというメディアが他の娯楽と違う点は何か。それは双方向性にある。映画にしても、小説にしても、コミックにしても、作品内に入り込んでストーリーを変えたりすることはできない。つまり、受け身の娯楽だ。スポーツもそう。観客はただ試合を見るだけで、それ以上のことはできない。もちろん、こうした娯楽はそれだけで十分楽しめるようになっているのだが、ゲームは違う。プレーヤーが自らの手でコントローラーを握り、自ら操作をしなければ何も生まれない。何を今さら当たり前のことを言っているのか、と思う人もいるかもしれない。だが、このゲームだけの特権を100%使い切っている作品はどれだけあるだろうか。

 “ゲームの遊び方はプレーヤーが決める”。「デッドライジング」はこの大原則に従って作られている。内容が内容だけに人を選ぶかもしれない。だが、ここでのバイオレンス描写は、一般的な娯楽の範疇において、非難されるレベルにはない。もちろん、こうしたことは主観によって異なるが、ここではあえてそう断言する。それは、バイオレンスという観点からのみでこのゲームが判断され、優れた自由度の高さが埋没してしまってはならないからだ。そんなことは、本当にあってはならないと思う。

 「デッドライジング」はゾンビを倒しまくるだけのゲームではない。プレーヤーの創意工夫を引き出し、ゲームが持っている双方向のエンターテイメント性を体感させてくれる存在なのだ。その意味では、やたらと血まみれだけを求めると、かえって期待外れに感じるかもしれない。日本版は過激な暴力描写を削除しているが、このほうが、一般的なエンターテイメントとして、優れているとさえ言えるかもしれないのだ。

とっつきの悪さが玉にキズ。でも、そこであきらめるな!

 自由度の高いゲームは、時としてプレーヤーに戸惑いを与えてしまうことがある。何でもできるということは、何をしていいのか分からない、と背中合わせという面もあるからだ。「デッドライジング」にも、そうした傾向はある。それと、これはあらかじめ注意が必要なのだが、実はこのゲーム、画面に表示される文字がかなり小さい。序盤、操作方法に関する説明などが次々と表示されるのだが、これがかなり読みにくいので、プレイしにくいと感じる人が多いのではないかと思う。

 だが、ここでもあえて断言する。いきなりすべてを覚える必要はない。もちろん、ゲーム内に用意された楽しさを隅から隅まで満喫するには、あらゆる操作をマスターする必要がある。だが、最初は基本の操作方法だけを覚えておけばいい。詳しくは後述するが、「デッドライジング」は、何回もゲームオーバーになりながら、少しずつ強くなっていくゲームなのだ。最初に何回かやられたとしても、あまり気にしないほうがいい。

 それでも、いきなりゲームオーバーの連続になったのでは、やる気が削がれる恐れもある。そこで、冒頭からの進め方について、少し解説しておこうと思う。すべてを自分でやりたいという人は、以下は読まずにゲームに向かって戴きたい。その心意気は大いに報われるだろう。「デッドライジング」は2、3度ゲームオーバーになったくらいで投げ出すような、底の浅いゲームではないのだから。

始まりはヘリの上から。街の大混乱ぶりを撮影しよう

画像 撮影で高得点を取るポイントは、なるべくたくさんのゾンビを、なるべく近くで撮ること。特定のシャッターチャンスを逃さないなど、より高得点を狙う方法はあるが、基本は“なるべく多く、なるべく近く”だ

 ゲームが始まると、カメラマンである主人公がヘリに乗っているシーンになる。街の中にはたくさんのゾンビがいて、暴動状態。ここでは、ゾンビたちの暴れっぷりを撮影すればいい。使用する操作方法は、右スティック=カメラ(視界)の移動、Bボタン=ズームイン、Aボタン=ズームアウト、Xボタン=シャッターを切る、の4つだ。カメラでの撮影は今後もよく使うので、ここでマスターしたい。なお、この場面では、最初からカメラ視点になっていて、切り替えもできないが、通常時は左トリガーを押している間だけ、この視点になる。

ゾンビを撮影しまくってレベルアップに励む

 モールの屋上に降りてからが、本格的なゲームスタートだ。ここで大切なのは、いきなりストーリーを進めようとしないこと。モール内部に入ると、ムービーが挿入されたり、電話が入ってきたりして、いろいろなイベントが頻発する。しかし、初期状態のキャラクターでは、そのほとんどをこなす力がない。従って、初めはイベントが起きても無視して、レベルアップに励もう。

画像 初期状態では、パンチやジャンプなど、基本的な行動しかできない。スキルを修得することで、さまざまな特殊アクションが可能になっていく

 レベルが上がると、キャラクターのステータスが上昇し、新たなスキルが使用可能になる。これにより、だんだん死ににくくなっていくわけだ。目標は13〜15レベル。これぐらいになると、各ステータスが上昇し、スキルも増えてくる。特に移動速度が上がると、ゾンビをかわしやすくなって、ダメージも受けにくくなる。

 主人公のレベルを上げる方法は大きく2種類。ゾンビを倒すことと、写真を撮ることだ。画面の左上隅、LIFEの真下に「PP」というゲージがあって、ここが満タンになれば、1レベルアップする。主人公はカメラマンなので、撮影のほうがPPを稼ぎやすい。そこで序盤はとにかくゾンビを撮りまくることに徹しよう。“多く、近く”が原則なので、思い切って接近して撮る。近づきすぎるとダメージを受ける可能性も高くなるが、それは回復アイテムで補えばいい。屋上から降りてすぐ、ジェシカがいる部屋やレストランなどの食品を扱うショップには回復アイテムがセットされている。このような場所を覚えておいて、活動拠点にするのが基本だ。

 また、カメラにはバッテリーが内蔵されており、使い切ってしまうとそれ以上の撮影ができなくなる。残量はカメラ視点にした時、右下隅に表示されている。少なくなってきたら、カメラ店を探して、バッテリーを交換しよう。

 撮影をしていると、キャラクターの頭に「PP」という表示が出ることがある。これは高得点を狙えるシャッターチャンスだ。普通に撮影していると、数百点を狙うのがやっとなのに、このチャンスをモノにすれば、数千点を獲得できる。特にイベントが起こった際によく表示されるので、見逃さずに。

画像 段差などを上手く利用して、“多く、近く”を狙う。ただ、ゾンビは段差を登ってくる。いいポイントを見つけたとしても、長居は禁物だ。なお、窓越しなど、安全が確保された場所からでは、いくら近くてもPPはわずかしか入らない
画像 カメラ店の位置はあらかじめマップで確認しておくと便利。セーブが取れる場所(具体的にはトイレ)や回復アイテムのある店との位置関係も抑えておきたい
画像 冒頭、すぐに会うことになる、離れ離れになってしまった夫婦。彼らを引き合わせるとPPチャンスが。さらにスタート地点まで誘導してあげると、ドーンとボーナスをもらえる。レベル稼ぎに絶好だ

戦闘は打撃武器中心。何でも手に取ってみよう

画像 射撃武器よりも打撃武器のほうが使いやすい。バットやゴルフクラブなどはもちろんだが、ベンチ、ゴミ箱、キャッシュレジスターなど、何でも武器になる。特にベンチは序盤の友と言ってもいいほど、重宝する

 戦闘よりも撮影に重点を置くとはいっても、狭いところにゾンビが密集している場合は、ある程度敵の数を減らしておいたほうが安全だ。武器はBボタンで拾って、Xボタンで攻撃する。どの武器も使用回数に限界があるので、画面右上隅にあるアイテム表示欄を時々確認しておこう。武器を示すグラフィックが点滅をし始めたら、限界数が近づいている証拠。戦闘を止めるか、次の武器を探しに行こう。

 戦闘では、ゾンビを倒すごとにわずかだがPPが獲得でき、50体ごとにボーナスPPが入る。ただ、ここでもらえる程度のボーナスなら、撮影していれば楽に手に入る。「デッドライジング」を“ゾンビを倒すゲーム”と認識している人は多いだろうが、実際には“ゾンビを撮るゲーム”なのだ。

 ただし、戦闘はまったく無意味なのかと言えば、そうもでない。序盤では、あまり戦闘ばかりしているとやられてしまうかもしれないが、もの凄い数のゾンビを倒せば、それなりにイイことがある。レベルが上がってきたら、単純にキル数を狙うプレイもアリだ。

ゲームオーバーになった時の2つの選択

画像 2つの選択肢。初めのうちはPP稼ぎに徹したほうがいいので、どんどんやり直していこう。その繰り返しがレベルアップにつながっていく

 ゾンビの攻撃を受け、LIFEがなくなればゲームオーバー。ここで「ロードする」「ステータスを保存して終了」という2つの選択肢が表示される。前者を選べば、最後にセーブをしたところからやり直しに、後者を選べば、ゲームオーバーになった時点でのステータスを維持した状態で、最初からゲームをやり直すことになる。序盤の場合は、圧倒的に後者を選んだほうがいい。セーブした直後にやられた場合を除けば、少しでもPPを累積していったほうが早いレベルアップに繋がるからだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  2. /nl/articles/2412/18/news207.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/22/news034.jpg 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  5. /nl/articles/2412/21/news019.jpg 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. /nl/articles/2412/22/news036.jpg 「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
  7. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news042.jpg 山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
  10. /nl/articles/2412/22/news020.jpg 余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」