一“機”当千の爽快感――「ガンダム無双」ができるまで「ガンダム無双」ゲーム紹介&インタビュー(2/2 ページ)

» 2007年01月05日 14時33分 公開
[加藤亘,ITmedia]
前のページへ 1|2       

もっと「無双」らしく? それとももっと「ガンダム」らしく?

左がバンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部 Bプロダクション 第一チーム プロデュサー 後藤能孝氏。右がコーエー 開発プロデューサー 鯉沼久史氏

 「無双」シリーズのゲーム性と「ガンダム」の持つキャラクター性が奇跡的な融合を果たした。本作をして、「ガンダムゲームでまだやっていないことがあると気がつかされた」と語るバンダイナムコゲームスの後藤能孝氏と、「ここまで無双らしくさせてもらえたことに逆に恐縮した」と語るコーエーの鯉沼久史氏に、本作開発の経緯と本作の魅力について語ってもらった。


―― まず開発の経緯を教えてください。

後藤氏 コーエーさん側から「ガンダムで無双をやりたい」という打診があったのが最初です。

鯉沼氏 私自信、今まで版権ものを扱ったことがなく、ユーザーの方々があっと驚くような新しい事をしたいという欲求がありまして。そこでバンダイナムコさんに声を掛けさせていただきました。

―― 「ガンダム無双」というタイトルは思い切りがありますよね?

後藤氏 実はいろいろ案はあったのですが、最終的にはベタなものにしようと「ガンダム無双」にさせてもらいました。

鯉沼氏 このタイトル名にしてもロゴデザインにしても、多分皆さんコーエー側が推したと思いますよね? でもバンダイナムコゲームスさん側の強い要望からなんです。僕らはどちらかというとローマ字などにして、ガンダムよりのイメージを大事にしたかったのですが、「それでは嫌」って後藤さんが(笑)。なぜかタイトルに関しては決まるまで協議が長かったですね。仮称としては確かにずっと「ガンダム無双」だったのですが、誰しもが考えつく安易なタイトルだし、そのうち別のものになると思っていました。ですから、正式タイトルになった時には社内から「正気か?」とたしなめられたほどでした。でもバンダイナムコゲームスさんが、「なんのために一緒にやっているのか」と言われまして、自分もそうあるべきだと考えを改めました。

後藤氏 そのへん逆なんですよ。我々はもっと無双っぽく、コーエーさん側はもっとガンダムっぽくというスタンスは終始変わりませんでしたね。ロゴデザインにしても最終的には我々が作りました。もっと無双っぽくあるべきだと思いまして。これ以外短縮のしようがないほどわかりやすいものにしようと。変にサブタイトルつけても邪魔なだけだし。

―― タイトルだけでどんなゲームか分かるのはいいですよね。

後藤氏 ガンダムゲームでいつも同じことをやっていても仕方がないので、とにかくせっかくなら無双っぽさは大事にしたかった。やはりガンダムゲームはライフルで撃つということが基本になります。もちろんそれも悪くはないのですけど、あえて今回は無双の“斬る”アクション性を最大の特長として、そこにライフルでも撃てるよくらいにしたかった。だからそれがチャージ攻撃などの攻撃のバリエーションにつながったのかなと思うんです。


―― 実際、ガンダムを扱ってみてどうでしたか?

鯉沼氏 クリエイターなので新しいことをやりたかったのです。チーム内にガンダムが好きなスタッフも多いし、やりがいもある。とにかく自分も含めて作っていて楽しかったですね。実際、宇宙世紀もののビデオを仕事なのか趣味なのか分からないくらい見ました。元々世代的にもガンダム世代だったのですが、忘れていたことや改めて気がついたことなどあり大変やりがいがありました。

―― ガンダムが無双アクションをしているのを見てどうですか?

後藤氏 ガンダムゲームを作ろうとすると必ず陥るのが、ガンダムらしさを再現しようとするあまり、同じことをやってしまうことなんです。それが「無双」のまま出てきたのが、今のインパクトにつながっているんじゃないかな。「やはり無双だね」と言ってもらえるのが大事であって、だからこのタイトルでもあるんだし。ガンダムだけど無双と分かる分かりやすさは大事にしてよかったと思いました。

―― 昨年暮れにいきなり発表されましたが、そもそもいつ頃から開発しているのですか?

鯉沼氏 2年くらい前ですね。当時からプレイステーション 3をターゲットに開発は進められました。昨年、急に発表されたのでこれから開発が始まるように思われたかもしれません。実は入念に打ち合わせを重ね、試作していました。ただガンダムと無双をくっつけたのではなく、ガンダムと無双の良いところをプラスして、1+1が3になるべく開発を続けてきまして、すでに普通に遊べるところまでできています。「ガンダム無双」というものが本当にできるのか、できなければやめてもいいくらいの感覚で製作し、検証し、それから長い時間かけてようやく見せられる形にしてから発表したかったのです。

後藤氏 弊社は同時期にプレイステーション 3で「ターゲットインサイト」を作っていましたが、ガンダムという題材は一緒でもまったく違うゲーム性を求めていました。だから「ターゲットインサイト」と比べるというわけではないのですが、まったく別物になったと自負しています。当初はガンダムと無双の融合した“お祭りソフト”のつもりだったんですけどね。

―― 開発するにあたり注意点やこだわった点、苦労した点などは?

鯉沼氏 「無双」シリーズの特徴である、誰でも遊べて、一騎当千の爽快感を目指すべく、「ガンダム無双」も、「かつてない爽快なガンダムを!」をコンセプトに開発を進めました。これに関しては、「従来のガンダムゲームからかけ離れてしまいますが、良いですか?」など、何度も確認を重ねて、現在の形におさまりました。「真・三國無双」でも「戦国無双」でもない全く新しい「無双」と考えていただけたらと思います。

沸いて出てくる敵機

後藤 ボクはどれだけ機体数が出せるかだと思っていました。アニメの世界ではせいぜい数機しか同じ画面に出て来ないのですが、それを忠実に再現しても無双じゃない。そこは調整してでも何十機、何百機と出てこないと意味ないかなと。

―― プレイステーション 3での開発は、従来の「無双」シリーズにどのような影響を与えましたか?

鯉沼氏 さまざまな影響を受けてはいますが、前述したように開発途上でのやりとりは面白かったですね。「これだとガンダムじゃなくなるんじゃないですか?」と、我々的に思っていても、バンダイナムコゲームス側は「それだと無双じゃなくなるじゃないですか?」と言ってくる。どっちがコーエーでどっちがバンダイナムコゲームスなのみたいなことが多かったですね。

後藤氏 プレイステーション 2が成熟している中、プレイステーション 3というこなれていない新しいハードでどこまでできるか心配してましたが、さすがですね。グラフィックのキレイさは折り紙付きでしたが、ゲーム性も遜色ないものとなっています。

―― プレイステーション 3ならではの表現は?

モビルスーツの表現も美しい

鯉沼氏 今回はHDMI対応テレビで遊んで欲しいのですが、モビルスーツの表現等、細部までこったつくりになっています。その細かいところに手をかけられるのが次世代表現だと思うんです。“リアルさ”を見てほしい。もちろん無双なので、圧倒的なキャラクター数が出ています。今まで30人くらいしか同時に出せなかったのですが、プレイステーション 3では100体以上出せますし、遠方もすべてフォグ処理せず表示しています。ですから、かなり先まで見渡せる。水の表現なども違和感がないし、1体1体のポリゴン数も上がっている。誤魔化しがいらなくなったのがある意味“プレイステーション 3ならではの表現”と言えますね。

後藤氏 プレイステーション 2が現在成熟を迎え、技術的にもこなれたものが出ていることを考えると、これが5年後だとどれだけすごいことになっているかと思いますね。

―― 読者が気になるのは、プレイできる機体とキャラクターだと思うのですが。

後藤氏 機体とキャラクターの選別には1年〜1年半ほどかけて熟考に次ぐ熟考をしました。とは言っても「OFFICIAL MODE」に関しては、宇宙世紀もの3作でいこうと、わりとあっさり決まったのですけどね。まだ言えないことが多いのですが、きっと皆さんの期待に添えるものになると思います。


 今回のインタビュー前に実機でのテスト版をプレイさせてもらったのだが、微妙な調整は必要と言いながら、なんの問題もなく爽快感を味わえる「ガンダム無双」がそこにはあった。迫り来るザクやドムをガンダムで斬って捨て、斬って捨てていく。タイトルやロゴデザインもさることながら、どちらも好物の筆者としては“お祭りソフト”という一面もありながらも、黎明期のプレイステーション 3を牽引する1作品になりえるものと感じた。春の近いうちには本作が遊べるとのこと。次回以降、気になる登場モビルスーツを中心に新情報をお届けしよう。

「ガンダム無双」
対応機種プレイステーション 3
メーカー発売元:バンダイナムコゲームス、開発:コーエー(ω-force)
ジャンルタクティカルアクション
発売予定日2007年春
価格未定
(C)創通エージェンシー・サンライズ


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」