大人にのみ許された箱庭の中を駆けて飛び回るヨロコビ:「ライオットアクト」レビュー(2/2 ページ)
マップに飽きさせない細やかなつくりに着目
ただ、スキルを上げてマップを走り回るだけでは、そのうち飽きが来てしまう。そのためかどうかはわからないが、パシフィックシティの中には自分の体力スキルが上がる「アジリティオーブ」が500個、全部のスキルがまんべんなく少しずつ上がる「シークレットオーブ」が300個隠されている。
数字だけ聞いていると、とんでもない数のように思えるが普通にプレイしていれば、8割方見つけ出すことはできるはず。ある程度オーブを集めてみると、制作者の隠し方を予測して「ここらへんにあるんじゃないの?」みたいな感じで楽しめるようになるだろう。ちなみにオーブに近づくと少しだけ普段と違った音がするので、それも探すヒントになる。
車に乗っているときに外を見回すと、時折紫色の「スタントマーカー」というリングが表示されている場所がある。その場所を車に乗車したまま通過すると、運転スキルがあがる。普通のやり方では到達できない場所もあるので、いろいろなものを組み合わせを考えるのも重要なポイント。
また、シティの各所には緑色のビームが出ている「ルーフトップレース」と紫色のビームが出ている「ロードレース」が設置されている。これらは、制限時間内に完走することでそれぞれ移動スキルと運転スキルが上昇する。レースをプレイしていると、見落としていたオーブの場所を発見できたり、新たな登頂ルートの発見にもつながるのが面白い。
Xbox Liveに接続していれば、マップ内の看板にリアルタイムで他プレーヤーのレースタイムが表示されるようになっているので、世界のつわものたちとスコアを競ってみるのもいいだろう。
オンライン協力プレイで広がる新たなライオットアクトの世界
本作は、Xboxのオンラインサービス「Xbox Live」のゴールドメンバーシップ(年額5229円〜)に加入しているプレーヤーならば誰でもオンラインの協力プレイを楽しめる。同時可能なプレイ人数は2人までと、ちょっと少ない印象があるが、それぞれ自分の育てたキャラクターを持ち寄ってプレイすることができる。
基本的に、2人用での独自モードなどは用意されていないが、シングルプレイ同様にミッションを進めることもできるし、スキルのあがっていないプレーヤーを助けながら進んだり、1台の車に一緒に乗り込んだり、あるいはレースをしたり、お互いを倒しあったりといろいろな楽しみ方を作り出すことができる。
筆者の場合、スキルの低いプレーヤーを車に乗せて、そのレベルでは到達できない場所にあるオーブをとらせてみたり、他のプレーヤーのミッションを手伝ったりしてみた。特別に、何かをするわけでもないのだが、ボイスチャットでだらだらとしゃべりながらお互いにオーブを探しあったりするのもなかなか楽しいものだろう。
ただ、漫然とプレイしているだけではいつか飽きが来てしまうので「○○のエリアで困っています、助けて」みたいなメッセージを発信し、それを受け取った誰かが一緒にセッションで遊んでくれる、といったものなどXbox Liveならではのギミックがいろいろとあれば面白かったのにな、とも思うのだが……。
しかし、それはそれでこういったジャンルのゲームでオンラインプレイを可能にしたのは正直、賞賛に値することだとも思う。また、プレイしてしばらくの間気がつかなかったのだが、シングル、オンラインともにゲーム開始からのマップ移動、途中で入るムービーシーン以外のほとんどにロード画面が入らない。これもなかなかすごいことなのではないだろうか。
いずれにせよ、2人でパシフィックシティで暴れまわれるのは非常に楽しいので、オンラインプレイ環境が整っている方は一度経験してみることを強くオススメする。
大人が楽しめる良質なアクションゲーム「ライオットアクト」
本作は、Xbox 360の超大型タイトル「Halo3」のβテスト参加権が同梱されているため、Halo3βテスト参加権のためだけに買うという人も多いだろう。しかし、そういったつもりで購入した人も十二分に満足できるはずだ。
過日、イベント試遊台のバージョンでは、ところどころで処理落ちが発生し、かなりもっさりとしていた印象があったが、製品版はまったくそんなことがなく非常にスムーズにプレイができた。イベントでのデモバージョンで「ちょっともっさりしているなぁ」と思った方は、現在Xbox Live マーケットプレースで体験版(言語は英語)をダウンロードでき るので、そちらで確認してもらいたい。
筆者は「グランド・セフト・オート」シリーズを始め、この手の箱庭アクションゲームを数多くプレイしている。Xbox 360では、すでに発売済みの「ゴッドファーザー」や、日本国内では販売されていないが「Saints Row」、「Just Cause」などもひと通りクリアしているのだが、その中でも元祖ともいえる「グランド・セフト・オート」の開発者がこの時期に改めて同じようなスタイル(と一見思わせるタイトル)をリリースした理由とはいったい何なのだろうかといぶかしがった。
正直なところ、見た目はほとんど今までのものと変わらないし、「コレ!」といったキャッチーなシステムがあるわけではない。しかし、面白いのだ。それは、本作の根底にある“自由”がゲーム内に浸透しているからなのではないだろうか。ゲームの中に用意されているシステム(ゲームルール)が限りなく自由に近いため、その中でプレーヤーができることをいろいろと試したくなってくる。
そして、本作はZレーティングである必要がないのでは? と思えるほど暴力表現が(他のZレーティングタイトルに比べて)抑えられている。2D表現でありながら車で敵をひき殺せば血糊がのびていた初代「グランド・セフト・オート」とは大違いである。
もちろん人間を撃てば血が出るし、人をはねれば吹っ飛んでいくのだが、過度に暴力表現がクローズアップされ、一時期社会現象にまでなった「グランド・セフト・オート」シリーズと比べると、制作者たちはやや違う方向性に行こうとしているのではないだろうかと推測できる。残虐表現や暴力表現のためにレーティングを上げたのではなく、“自分で遊び方を見つけてもらう”ために、対象年齢を上げたのではないかと感じられた。
難をあげれば、若干カメラワークにもたつきがあるところと、敵に照準が若干あわせにくいところ。しかし、プレイしていればある程度慣れてくるのでそこまでストレスは感じられないと思われる。筆者もレビュー用にある程度プレイしておけばいいか、と思ったのだが結局すべてのスキルをマックスまで上げてしまうほどハマってしまった。
1人のXbox 360プレーヤーとして、こういった「しっかりと遊べる」タイトル、「友達に薦められる」タイトルが徐々に増え始めたのは素直に喜ばしい。
「ライオットアクト」 | |
対応機種 | Xbox 360 |
メーカー | 開発元:Real Time Worlds、発売元:マイクロソフト |
ジャンル | ハイブリッド コンバット アクション |
発売日 | 2007年2月22日 |
価格 | 7140円(税込) |
レーティング | CERO Z(18歳以上のみ対象) |
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