戦局を見極めて、乱世を生き残れ――Wiiでロールプレイングシミュレーションの真打ちが登場:「ファイアーエムブレム 暁の女神」レビュー(2/3 ページ)
数々のユニットを駆使して厳しい戦局を乗り切れ
本作においては、自軍敵軍問わず、ユニットは「ベオク」と「ラグズ」という2つの種族に大別される。ベオクは武器や魔法を駆使する種族で、ラグズは獣の姿に化身する種族だ。
ベオクにはさらに多彩な兵種が存在する。剣士(ブレイド)、兵士(ソルジャー)、戦士(ファイター)はそれぞれ剣、槍、斧を使う兵なのだが、これらがレベルが上がることで昇格をすると、剣豪(ソードマスター)、槍戦士(ハルバーディア)、勇士(ウォーリア)になる。そのほかにも盗人(シーフ)、魔道士(マージ)、神官(プリースト)など、能力の異なるユニットが多く存在する。
それらのユニットには近接攻撃系、遠距離攻撃系などの系統があり、敵の攻撃に対する反撃の条件もそれぞれ異なっている。
戦闘と戦闘の間には「拠点」で色々なことができるのだが、ここで「スキル」の着脱もできる。「スキル」はユニットごとに個別に割り振れるもので「体当たり」、「盗む」などの戦場で選択できる特殊な能力だ。
これらの多種多様な兵種とスキル、さらには地形効果や移動範囲などが加わることで、本作の醍醐味である“シミュレーション”の側面が形成されている。また経験値を入手してのレベルアップ、兵種の昇格やスキルの着脱などが、まさに“ロールプレイング”としての魅力の部分だと言えよう。
初心者への配慮もありつつ、上級者もガッツリ楽しめます
「ファイアーエムブレム」シリーズは、前述したように独特のシステムと高い難易度でコアなファンの心をつかみ続けてきた。その点においては本作も例外ではない。最初こそ簡単ではあるものの、確実に章が進むごとに難易度は上がっていき、味方を全員生還させるためには相当に戦略を練らなくてはならなくなるだろう。
そういった側面を持つタイトルであるし、前項で述べたように兵種やスキルなどプレーヤーに与えられる情報が非常に多いというのも事実だ。前情報から「やってみたいんだけど、初心者には敷居が高すぎるのでは……」と手を出さずにいるWii所持者も少なからずいるのではないだろうか。確かに歯応えはあるが、本作ではゲーム初心者やシリーズ初プレイの人への配慮が至るところにちりばめられているのだ。
本作は「ノーマル」、「ハード」、「マニアック」という3つの難易度から始められるのだが、初心者なら「ノーマル」から始めるといいだろう。本作の「ノーマル」はいわゆるイージーモードに相当しており、かなり難易度が下がっている。加えて本作のプレイにおいて覚えなくてはいけない各要素を段階的にレクチャーしてくれる「指南」がベストのタイミングで始まるので、極端な話、シリーズ未プレイの人が本作をいきなりプレイしても何をすべきか迷うことなく、数章を進めることができるはずだ。
逆に「ファイアーエムブレム」シリーズは今まで全部プレイしてきた、というほどの上級者ならば「ハード」から始めてみるのもいい(最初は「マニアック」を選択することができない)。いつものヒリヒリした緊張感のある「ファイアーエムブレム」が上級者の挑戦を待ち構えていることだろう。じっくり腰を据えて取り組みたくなるほどに、ボリュームも難易度も申し分ないものになっている。
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