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» 2007年03月08日 18時29分 公開

GDC 2007:「音楽」はゲームに命を与える――任天堂サウンドはこうして作られた (2/2)

[加藤亘,ITmedia]
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ゲーム特有の「インタラクティブ性」を駆使すべき

 そして、最後に一番重要としてとらえているインタラクティブ性について、ゲームがほかのメディアと違う点をリアルタイムに反応があることとし説明する。そして、我々はそのインタラクティブ性を活かしたサウンド作りをし、サウンドのアイディアを盛り込むことが重要と訴える。

 例えば、ファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」で残り時間が少なくなると、音楽が早くなる。このようなプレーヤーの状況に合わせて音楽が変化させることは、他のメディアではできないことと一例に挙げる。

ヨッシーに乗ると今まで流れていた曲にパーカッションが加わる

 このようにプレーヤーの行動に反応して音楽が変化する例として、「スーパーマリオワールド」を挙げる。この作品では、マリオがヨッシーに乗るとメロディにパーカッションが加わる。これは、パワーアップしたことを表現したかったのだが、曲自体を変えることもできたが、ヨッシーに乗り降りするごとにコロコロと目まぐるしく変わるではスムーズではなく、違和感ないようにしたかったと、こうしたアレンジを採用したのだとか。同じ方法は、「スーパーマリオサンシャイン」でも採用されている。

 また、場所によって演奏される楽器編成が変わる例として、「スーパーマリオ64」を挙げる。海岸ではエレクトロニックピアノだけの演奏だが、水中に潜るとストリングスが加わり、水中の気持ちよさを表現。奥へ進み洞窟を見つけると、ベースとドラムのリズム隊が加わりアクションゲームっぽく仕上げている。しかし、すべてが1曲として流れており、メロディ的には繰り返しながらアレンジでここまで印象を変えることができることを示す。最新作の「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」でも同じで、城下町の裏道から繁華街に出た時にシームレスで音楽が変化していき、さらに街中のバンドが演奏している脇を通り過ぎると、曲にシンクロしてバンドの曲が違和感なく加わって来ることを映像で紹介する。

 次にサラウンド効果を利用して音楽がキャラクターに合わせて移動する例として、「スーパーマリオサンシャイン」の影マリオのテーマ曲を挙げる。これは、キャラクターの位置から音楽が鳴っているようにしており、影マリオが画面から外れて後ろに行くと、ドルビーサラウンドを利用して後ろから聞こえるようになっている。この仕掛けは、影マリオがどこにいるのかを分からせる意味合いも持ち、より追いかけっこの楽しみを増加させていた。同じように「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」では、スカルキッドのトランペットが迷いの森の曲とシンクロし、さらに移動に合わせてどこから聞こえて来ているのか判別できるようになっていた。

 さらに曲のフレーズがランダムで変わる例として、「ゼルダの伝説 時のオカリナ」を例に挙げる。作品では、広大なフィールドを何度も行き来することがあるが、長い時間同じ曲を聞き飽きがこないようにと、イントロは一緒だがアレンジが変わることを説明。この曲は8小節ごとの曲が12パターン用意され、ランダムでつながるようになっているとのこと。つまり、フィールドの音楽が流れる度に、違う構成になるようにしている。

 また、戦闘の際も工夫がなされており、作品では徐々に敵と接触する様を感じられるよう、戦闘のフレーズがうまくシンクロしてシームレスに移行していくことが分かる。RPGではよくあるように、戦闘音楽に唐突に突入するわけではなく、平穏なフィールド音楽から不穏な戦闘への焦りのようなものになり、そして激しく、戦闘後はまた平穏なフィールドへと戻っていく様が音楽からも感じられるというわけだ。

 すべてプレーヤーの状態に合わせて音楽が変化するようにしたかったが、あまりにも忠実に変えると、コロコロとせわしなくなることを避けるために、このような施策が取られたのだそうだ。これでフィールド音楽に統一感を持たせながらも、戦闘の緊張感が得られるようになった。こういうことができるのはゲームならではと近藤氏は、ゲーム音楽の持つ可能性を改めて示唆する。

 「ゼルダの伝説 風のタクト」でも、敵が放ったエネルギーボールを跳ね返す度にフレーズの音階が半音ずつ上がっていき、ダメージを与えるとファンファーレが鳴るようになっており、跳ね返した瞬間にも段々と緊張感を満たせられるよう、リアルタイムに変化していく。

 さらにインタラクティブ性は多様性を持ち、ゲームの状況に音楽を合わせるのではなく、音楽の状況によりゲームが影響するアイディアも盛り込まれていると、ニンテンドーDSの「ニュースーパーマリオブラザーズ」を例に挙げる。作品中では、ゲーム中のコーラス部分に合わせて敵が飛ぶアクションがあるのだが、ゲームにランダム性が加味され、さらに攻略の際のキモともなっている。

 近藤氏は今まで、例で挙げたようにさまざまなインタラクティブな要素をゲームに取り入れてきた。ゲームというメディアは映画やテレビドラマとは異なり、リアルタイムでインタラクティブな変化ができることは特徴であり、そこが面白いところなのだと、インタラクティブな変化を伴わせることに次の4つの利点があると語る。

  • 飽きがこないよう、同じ音楽でもプレイするごとに変化するようにすることができる
  • 同じ曲内で曲調が変わることで、多彩な演出ができる
  • 曲の変化による新しい驚きを与え、より楽しく遊んでもらえる
  • 音楽からのアプローチによるゲームの楽しみの要素を得られる

近藤氏のメッセージに答えるかのように、会場では最後にスタンディングオベーションが起こる。近藤氏が恐縮しながらそれに応える姿が印象的だった

 ゲーム音楽はさまざまなジャンルを問わず使用でき、かつさまざまなアイディアを盛り込めるメディアである。再三述べているように、ゲーム音楽はリアルタイムにプレーヤーの状況に合わせて変化させることができる。近藤氏は、第一線でゲーム音楽を牽引する作り手として、こうした極めて特徴的なゲーム音楽ジャンルが確立できるよう、一緒に頑張っていこうと、聴講していた開発者たちに向けてメッセージを送った。

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