東大の頭脳に挑戦! 「平安京エイリアン」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

» 2007年04月20日 00時00分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
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家庭用ゲーム機への数少ない移植版

 「平安京エイリアン」は、有名なゲームだったのに、家庭用ゲーム機にあまり移植されていない。

 最大の理由は、やはりメーカーが電気音響だったことだろう。「平安京エイリアン」以降、「ダンシングクイーン」、「ネオ・ポセイドン 壊滅作戦」という作品をリリースしたらしいが、わたしはどちらも見たことすらない。

 結局同社は、そのままゲーム業界から撤退したようだ。もちろんファミコンにも参入していない。「平安京エイリアン」は、ファミコン時代にはすでに古いゲームとなっていたせいか、他社から発売されることもなかった。

 もし電気音響が家庭用ゲーム機に参入していたら、「スペースインベーダー」や「パックマン」のように、新しいゲーム機でリメイクされる機会も多かったかもしれない。

画像 ゲームボーイ版のNEWモード。一定時間で消えたり現れたりする障害物がある

 「平安京エイリアン」の、家庭用ゲーム機への移植は、1990年にメルダックが発売したゲームボーイ版と、1995年に日本物産が発売したスーパーファミコン版のみである。

 ゲームボーイ版には、オリジナルのグラフィックを再現したOLDモードと、リメイクしたNEWモードが収録されている。OLDモードは、左右に延びる道が4本、上下が5本しかない(オリジナルは左右6×上下7)。ただし雰囲気はよく再現されていたと思う。一方のNEWモードは、和風のグラフィックで平安時代らしさを表現していた。

 スーパーファミコン版のタイトルは、「ニチブツアーケードクラシックス2 平安京エイリアン」。「2」というからには「1」もあるわけで、「2」の半年前に発売された「ニチブツアーケードクラシックス」では、日本物産の往年の作品「クレイジークライマー」、「ムーンクレスタ」、「フリスキートム」が収録されている。

 これに対し「2」は、「平安京エイリアン」1本で勝負。アーケード版を忠実に再現したオリジナルモードのほか、アレンジされた“ニュータイプ”モードもある。

 後に「ニチブツアーケードクラシックス」はプレイステーションに移植されたが、「2」の方は残念ながら移植されていない。

画像 スーパーファミコン版では、アーケード版そのままの縦画面モードでプレイすることもできる。その際、コントローラーの向きを選ぶこともできて便利
画像 ニュータイプは全20面。出てくるアイテムによる、運・不運の要素が大きい

 家庭用ゲーム機以外では、2001年、携帯電話アプリとして登場している。

 わたしはNTTドコモのiアプリ版と、J-PHONE(当時)のJavaアプリ版をプレイしたことがある。道路が縦横5本ずつと縮小されていたものの、ゲームボーイ版以上に雰囲気はよく再現されていたし、先ほど紹介した攻略法ももちろん使えた。

 Windows向けには、ハイパーウェアという会社のサイトから、「平安京エイリアン」のβ版が無料でダウンロードできる。

 ハイパーウェアは、TSGで「平安京エイリアン」を制作したメンバーの一部が設立した会社で、ファミコンのアドベンチャーゲーム「殺意の階層 ソフトハウス連続殺人事件」、「御存知弥次喜多珍道中」も制作している(ともに発売はHAL研究所)。

 β版「平安京エイリアン」は、スピードがオリジナルよりかなり速い。でも穴掘りと穴埋めで得られる快感は、かえってオリジナル以上かもしれない。

 無料でダウンロードできることで、多くの人がこの作品に触れられるのは喜ばしいことだが、それが最近家庭用ゲーム機に移植されない理由の1つなのかもしれないと思うと、複雑な気分だ。

1213年、130年、そして28年の歴史

 京都・二条城の最寄り駅である、山陰本線の二条駅は、1904年(明治37年)から使われてきた歴史ある建物だったが、1996年、線路の高架化に伴って建て替えられた。しかし旧駅舎は、日本でも有数の古い駅舎だったことに加え、デザインもたいへん優れていたため、梅小路蒸気機関車館の資料展示館としてよみがえった。

 また山陰本線自体も、1989年に嵯峨−亀岡間が新線に切り替えられたが、保津川の眺めが美しかった旧線はその後も撤去されず、1991年、嵯峨野観光鉄道として生まれ変わった。現在はトロッコ列車が走り、嵐山の観光名所の1つとなっている。

 京都1213年の歴史や、東京大学130年の歴史には及ばないが、「平安京エイリアン」自体も28年の歴史を重ねた。古いだけではなく、そのゲームデザインが優れていたからこそ、現在までその名を残している。

 願わくば「平安京エイリアン」も、旧二条駅舎や嵯峨野観光鉄道のように、新しい形でまたゲーム業界をにぎわせてほしいものだ。

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