韓国ではなく日本のゲームメーカーとして勝負するNeoWiz Japan代表取締役社長 パク・ジンファン氏インタビュー(1/2 ページ)

日本国内ではMMOPRG「DEKAREON」やゲームポータルサイト「GameChu」の運営で知られるゲームメーカー、NeoWiz Japan代表取締役社長 パク・ジンファン氏。韓国から来たゲームメーカーとしてではなく、日本に根付き、既存の国産メーカーと同じ舞台で争いたいという。現在の日本のPCゲーム市場をどう見ているのか、今後の展開などについて話を聞くことができた。

» 2007年04月23日 12時00分 公開
[聞き手:麻生ちはや,ITmedia]
画像 NeoWiz Japan代表取締役社長 パク・ジンファン氏

――NeoWiz日本法人の代表取締役社長に正式に就任されたのは、今年の3月26日と伺っておりますが、それ以前からも兼任という形で日本市場のマーケティングを担当されていたかと思いますが、日本と韓国のゲームプレーヤーの違い、など感じられた点がありましたら教えてください。

パク・ジンファン氏(以下、敬称略) わたしがお答えできるのは、PCのオンラインゲームで遊ぶプレーヤー層限定になってしまうのですが。まず、韓国のユーザーというのは個々のタイトルを見る目が、非常に寛容だと言うことです。特にオンラインゲームのβテスト期間中にその傾向が見られまして、ゲームに不具合があったり完成度が低くても、「将来的には良くなるだろう」と見守ってくれるんです。

 一方で日本のユーザーは、やはり歴史も長いコンシューマゲームで育ってきただけに、最初から高い完成度を求めてきます。βテストの完成度が低すぎると、たちまちそのタイトルには興味を失ってしまう傾向があります。

 また、もう1つの特徴として、韓国ユーザーは新し物好きというところがありますね。いま熱中しているゲームがあったとしても、ゲームのニュースをこまめにチェックして新たにサービスを開始したゲームが出てくると、すぐに試したいユーザーで混雑します。

――確かに日本のユーザーは見る目が肥えていますから。あくまでテストだと言っても、β版を公開する時点で一定上の完成度を求められるのは、開発側としては大変ですね。

パク 本当にそうですね。未実装の機能があったとしても、それが正式サービスで実装されたら、ゲーム内でどのように働くのか。それが想像できるクオリティを日本のユーザーはβテストにも要求します。韓国の場合は、とりあえずその時楽しく遊べれば、ちょっと遊んでみようという気になってくれます。

――オンラインゲームというのは、プレーヤーを長期間、そして長時間引き付ける魅力を持っているわけですが、平均プレイ時間などはどうでしょう。日韓で差は激しいのでしょうか?

パク 実際にデータを取っているわけではないので、あくまでわたしの感じたところになってしまいますが、平均プレイ時間は韓国のユーザーの方が少々長いのではと思います。

――およそ何時間ぐらいでしょう。

パク これもまた、タイトルごとに差が激しいので何時間とは言いにくいのですが……いわゆるヘビープレーヤーと呼ばれる層の人たちは、ライトゲーマーの10倍近い時間を費やしているでしょう。日本の平均プレイ時間と比較しても4、5倍はあると思います。

 弊社が運営している音楽ゲーム「R2BEAT」は例外的に、日本のプレーヤーの方が長い時間遊んでくださっています。

――ところで、最近のオンラインゲームにはアイテム課金制度を採用するタイトルが増えてきています。ユーザーの購買意欲というのはどうでしょう。この点でも日韓で差はあるのでしょうか。

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パク それに関しても申し訳ありませんが、まだ日本と韓国のユーザーの意識の違いというのはきちんと分析していないので、お答えしにくいのです。アイテム課金というのは、サービス地域のユーザーがどんな物を本当に求めているのか、何が売れるのかというデータを把握するまで大変悩むポイントなのです。

 ちなみに韓国では、アイテム課金を利用するユーザーの中には、毎月コンスタントに購入する人もいます。高校生の平均で毎月約1万円ぐらいですよ。

――毎月1万円をゲームに使う高校生とういのは、お金持ちですね……。

パク まぁ、それはわたしたちの頃とは時代が違うということで(笑) 韓国はゲームの課金も携帯からすぐに行えてしまうので、1万円分ぐらいは普通のようですよ。

――サービス面ではなく、コンテンツそのものについて少しお話を伺いたいのですが。韓国で開発されたタイトルを日本で展開する際に、何か特別注意されている点はありますか。

パク 今まで何かローカライズで注意していること、というのはありませんでした。しかし今後というお話であれば、非常に抽象的ではありますが、NeoWizが扱うタイトルは全て「韓国からやってきたゲーム」という認識をなくしたいと強く思っています。

 我々は今から日本で本格的にサービスを展開し、活動し始めようとしている企業です。日本の会社と同じ土俵に立ち、同じクオリティに高めなければ、日本のユーザーからは「韓国から来たゲームのわりには、まあまあ良いね」という評価にしかならないでしょう? これを乗り越えて、日本のゲーム会社の中でトップの仲間入りをしなければなりません。

――しかし残念ながら、現時点では「また韓国製のゲームか」というネガティブな意識がPCゲーマーの間には根強くあります。これを覆すのは相当な努力が必用でしょう。既に具体的なアイディアがあれば、教えていただけませんか。

パク まずは一番基本的なこととして、ゲーム内で使われる言葉、表現方法についての改善ですね。これまではただ機械的に翻訳した表現が多く、NPCが話す言葉にしても、日本語しては不自然な言い回しも多いです。これを直し、さらにインターネット上で浸透している単語を取り入れていきたいですね。公式サイトの解説も日本向けには、より親切なものに作る予定です。先ほど遊び方の違いでも述べましたが、韓国ユーザーは分からなくてもとりあえずプレイするタイプが多いので、RPGの場合はゲームの進め方やクエストの説明が不足しがちです。日本のスタッフの協力を得て進めないと、意外に難しいことなんです。

――その第一段階が希望する水準になるのは、いつ頃でしょうか。

パク わたし個人としては年内に一定の水準まで持って行きたいです。

――しかし圧倒的に家庭用ゲーム機が強い日本市場で、NeoWizJapanがトップクラスの仲間入りをするのは、失礼ながら相当難しいのではないですか?

パク 確かにそうですが、現在の日本市場を見るとニンテンドーDSだけが突出して売れていて、他のプラットフォームでは、続編あるいは見せ方を変えただけの、似たようなタイトルばかりで新作と呼べるものは出ていません。

 韓国に比べてPCとオンラインゲームが浸透する速度はゆっくりでも、多様性を示すことでプレーヤー層は広がっていくでしょう。PCというプラットフォームは様々な試みもしやすいですしね。

――では、いずれはNeoWiz社製のコンシューマゲーム発売も、将来的にはあるのでしょうか。

パク 今何かを考えているわけではありませんが、コンシューマゲームの開発を避けてもいません。今のゲーム機というのはネットワーク周りの機能も優れていますしね。チャンスがあれば参戦する可能性はあります。

 1人でやっても楽しいけれど、みんなで遊べばもっと楽しくなる、そういうゲームを開発する環境をこれから作っていく、発展させていくというのが正解じゃないでしょうか。

――ちなみに個人的に評価しているゲーム機は、どれですか。パク社長が過去にプレイしたお好きなゲームも教えて下さい。

パク コンシューマ機の中ではXbox 360が世界的に見ても健闘してるのではないでしょうか。PCとの互換性も高いです。プレイステーション 3は出荷も遅れ気味ですが、ネットワーク機能の強さがあります。

 今までで一番記憶に残る好きなゲームは「ファイナルファンタジーVII」ですね(笑)。

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