近くてもよし、遠くてもよしの敷居の低さを目指す――「エースコンバット6 解放への戦火」インタビュー「NAMCO BANDAI EDITORS DAY 2007」(1/2 ページ)

「NAMCO BANDAI EDITORS DAY 2007」の会場で本作プロデューサーの一柳宏之氏と海外事業部の久保田達也氏に本作についてお話をうかがった。リアリティを追求した中でのアンリアリティとは?

» 2007年06月18日 14時23分 公開
[加藤亘,ITmedia]

ハードルをなるべく低くしてビギナーにも遊んでもらえるように

プロデューサーの一柳宏之氏と海外事業部の久保田達也氏

 「エースコンバット6 解放への戦火」(以下、エースコンバット6)は、シリーズ通算8作目にあたる、全世界約960万本売り上げを達成したフライトシューティングゲームの最新作である。本作はXbox 360での発売を予定しており、PSP用「エースコンバットX スカイズ・オブ・デセプション」、そしてプレイステーション 2用「エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー」を間にはさんでの、約3年ぶりのナンバリングタイトルとなる。

 最大6つの作戦が同時に進行する「ダイナミックミッション」システムの搭載や、戦況に応じてプレーヤーに呼びかけてくる、敵味方入り乱れるリアルタイム無線演出もパワーアップしているなど、プレーヤーには“大軍 vs 大軍”の激しい集団戦が再現された大戦場の迫力と臨場感を存分に体験できるさまざまな仕掛けが本作には施されている。また、ともに戦い抜いた大勢の友軍に呼びかけ、一斉攻撃を行う「支援要請」システムも演出にひと役買っている。

 今作のストーリーでは、敵味方の将兵や一般市民など7人の主な登場人物を軸に、さまざまな視点で本格的な戦争群像劇が語られる。シリーズ初のオンラインプレイ(最大参加プレイヤー数16人を目指して鋭意開発中)でのドッグファイトも予定されており、こちらはXbox LIVEを使用しての多人数による「対戦」や「協力プレイ」といった、多彩なルールが用意されることになるという。

試遊させてもらったが、すっとゲームの世界に入り込んでいけるのはさすがである

 今回、「エースコンバット6」のプロデューサーである一柳宏之氏と海外事業部の久保田達也氏に時間をいだだき、すでに試遊ができるほどに完成度を上げた本作についてお話を伺った。

 「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」が発売されたのは、2004年10月のこと。そして今年秋、シリーズ最新作と至るわけだが、その間何も出なかったわけではない。プレイステーション 2用として「エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー」が、そしてPSP用として「エースコンバットX スカイズ・オブ・デセプション」が発売されている。「エースコンバット6」までなぜ3年必要だったのか。そして、なぜXbox 360を選択したのか?

―― シリーズ最新作はXbox 360を選択したわけですが。

一柳氏 最新のゲームハードで「エースコンバット6」を作りたいという構想はずいぶん前からあったんです。そして、その構想を現実のものとし、一番手っ取り早く、ユーザーの皆さんに手にとってもらえるハードがXbox 360だったんです。

―― 会場で先ほど北米において専用フライトスティックがホリから発売されると聞きました。

一柳氏 1年くらい前から取り組んで来た結果です。いろいろホリさんにはいろいろこちらからお願いをしていたのですが、ようやく極めて完成品に近い試作品になったということでしょうか。

―― 発表されてから3カ月経ちましたが反応はいかがですか?

一柳氏 日本では、キャンペーンモードの内容や、その中で自分が行うことのできる

新要素に興味を持つ方が多いのですが、こうして海外に出てみると、こちらの方は特にオンラインに興味があるのだとより強く実感しました。やはり本格的なオンライン対応というのもシリーズにとってみれば、満を持してといった感じですし、期待して待っていてくれたんだと思います。オンラインでは、共同プレイで対PC戦を勝ち抜くというモードや今度紹介する多数のモードが収録されています。


 本作では、まずその本物と見紛うほどに緻密に描かれたグラフィックが、分かりやすいこともあり注目される。背景や戦闘機の精巧さもさることながら、しっかりコクピットの中までモデリングされ、戦闘機の状態によって計器も連動して動く。こうしたリアルへの追求が、よりプレーヤーをのめり込ませることになる。これは、雲やミサイルの煙がゆっくりと大気中に残り漂う表現描写や、翼が雲を引く細かなディテールを積み重ねた結果であろう。

―― リアルさを追求しながらも、逆にゲームだからこそ出来ることは?

一柳氏 それはもうミサイルの残弾数ですよ(笑)。現代戦闘並にしてしまうと、あっという間に弾がなくなってしまいますから。あとは、その世界をリアルに感じてもらうために、その世界に存在する自分以外の人の意思を感じさせる工夫を施しています。例えばひとつの例を挙げると、第三者同士が会話しているのをプレイヤーがたまたま聞くことがあって、その会話が自分のことについて話している内容であったとき、プレーヤーは「あれ?今誰かが自分のことについて話してた?」と感じます。誰かがいつの間にか自分のことを見ていて、自分のあずかり知らぬところで自分が話題になっている、という感覚は、NPCが直接自分に「こんにちは」と話しかけてくるよりも、自然で生々しく「自分以外の意思の存在」を感じさせることができると思うのです。プレーヤーがそういう状況に遭遇するのに、ゲーム中に聞こえてくる無線通信音声というシチュエーションは役に立っていますね。それのような手法に加えて、今回は戦場に展開する無数の敵味方ユニットが、自立的に行動して戦い合い、時にプレーヤーの意思に応じて加勢をしてくれます。ゲーム中に目に入る光景からも、ACE6の世界にはたくさんの人の意思の存在を感じられますよ。

―― 遠景描写についてはどうですか?

一柳氏 本作では100キロ四方が戦場となるわけですが、描画距離は前作までの約2

倍となっております。また、背景の美しさをさらに際立たせる雲の描画もパワーアップしていて、従来よりも存在感が格段にあがっています。戦闘時に発生する爆煙やミサイルの軌跡の煙などもかなり長い間空間に残り続けるため、激しい戦闘が行われている様子が非常によく分かるようになっています。

―― リアルタイムムービーについてはどうですか?

一柳氏 ゲームプレイ時のグラフィックの質感とムービーシーンのそれとを、違うも

のにしたくなかったのです。それがXbox 360では可能でした。もちろん、リアルタイムデモムービーによる演出以外にも、今後はさまざまな可能性を検討していくことになるとは思いますが、できればハードの性能を生かした手法を取りたいと考えています。


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