オヤジに訪れた三度目の“なつやすみ”は、懐かしくて、やさしくて、ちょっぴり切ない「ぼくのなつやすみ3 -北国篇- 小さなボクの大草原」レビュー(1/3 ページ)

待ち焦がれていた、あの“なつやすみ”がやってきた。少年時代に過ごした夏休みを情感豊かに再現した「ぼくのなつやすみ」のシリーズ最新作が、実に5年ぶりに登場。PS3によって映像とサウンドの表現力が一段と高まり、遊びの幅も広がった今作をプレイすれば、子供の頃の思い出が鮮やかによみがえってくる。

» 2007年07月30日 14時45分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

今度の舞台は北海道。牧場を営む親戚宅で過ごす夏休み

 とうの昔に過ぎ去った少年時代の夏休み。そのおぼろになる記憶をありありと呼び覚まし、懐旧の念に駆られていく「ぼくのなつやすみ」というゲームが登場したときは、驚きとともに深い感銘を受けた。古いものを見たり聞いたりして懐かしく思うのとは少し違っていて、心まで文字通り童心に返り、ひとりの子供として夏休みをもう一度楽しむことができてしまうからだ。

 この希有なゲーム性は多方面から高く評価され、また確かな実績も残した。プレイステーションで2000年に発売された1作目は、CESA主催の第5回ゲーム大賞でニューウェーブ賞とパッケージデザイン賞を受賞。その2年後にプレイステーション 2で発売された続編の「ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇」は、第6回文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に選ばれている。この2作の累計出荷本数は、2005年までに100万本(廉価版を含む)を超え、いまもなお売れ続けているほど息の長いヒット作になっている。

画像 プレイステーション 2版の「ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇」から5年ぶりに登場した「ぼくのなつやすみ3 -北国篇- 小さなボクの大草原」。過去のシリーズ作品は、普段はあまりゲームをしない世代からも支持された

 そしてこの夏、待望の3作目「ぼくのなつやすみ3 -北国篇- 小さなボクの大草原」(以下、ぼくのなつやすみ3)がプレイステーション 3で発売となった。昨年の夏にPSPで1作目をリメイクした「ぼくのなつやすみポータブル ムシムシ博士とてっぺん山の秘密!!」も発売されているが、完全な新作としては2002年の「2」以来、実に5年ぶりとなる。

 ゲーム中の時代設定が1975年(昭和50年)であることや、母親が臨月を迎え、主人公の“ボク”くんが夏休みの間、田舎の親戚宅に預けられることになるなど、基本的なシチュエーションは今回も変わっていない。舞台は、1作目が北関東の山あい、2作目が伊豆半島の海沿いにある田舎町という設定だったが、今回は北海道の牧場だ。そこで酪農を営む吉本家で夏休みの1ヶ月間を過ごすことになる。なお、過去2作のボクの年齢は9歳(小学3年生)だったのに、今回のボクはなぜか10歳(小学4年生)になっている。この違いが何を意図してのものなのかも、大いに興味をひくところだ。

画像 汽車に乗り、お父さんに連れられて吉本家へ向かうボクくん。でも、親戚の家にひとりで泊まることに、ちょっと不安を感じている様子。お父さんの話では、幼い頃にも一度来ているようだが、本人は覚えていないらしい
画像 オープニングで流れる今回のテーマソングは、1974年に伊藤咲子さんの歌唱で大ヒットした「ひまわり娘」。このゲームでは、姉妹ユニット「DAUGHTER」のMarhyが歌っている。軽快なアレンジと優しい歌声に乗せて、昭和期の田舎町の風景が美しく描写されていく
画像 最寄りの駅まで迎えに来てくれた吉本家のおじちゃん(お父さんの弟)と、長女の緑ちゃん。ボクくんと緑ちゃんは同い年だが、会うなり「わたしの方が背が高い!」と緑ちゃんにからかわれる。ところで後ろにいるおじいちゃんとおばあちゃん、見覚えがあるような……?

 今回、ボクくんがお世話になる吉本家は、おじちゃん、おばちゃん、長女の緑、次女でもうすぐ1歳になる日向、農協で働いているおじいちゃんの5人家族。酪農を営んでいることから、家の近くには牛舎やサイロ、放牧地などがある。この放牧地は傾斜が急なので、ダンボールをソリ代わりに「草すべり」が楽しめる。これが今回加えられた新要素のひとつ。そのほかには、乳牛の乳搾りや、産まれたばかりの仔牛にミルクを与えるなど、牧場ならではの体験が盛り込まれている。

画像 放牧地での「草すべり」は今回の新要素のひとつ。ワイヤレスコントローラ(SIXAXIS)のモーションセンサーにも対応しているので、コントローラを傾けて操作することもできる。また、この草すべりは移動時のショートカットにもなる
画像 ボクくんが吉本家に着いたあくる日、牛舎で仔牛が誕生する。この仔牛の名付け親になり、夏休みの間、世話をすることに……
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/23/news076.jpg ウソだろ…… フリマに5000円で売っていた“信じられない商品”に思わず二度見 「やっぱり寂しい」
  2. /nl/articles/2412/23/news078.jpg そば屋の看板のはずが…… 雪で“別の店”みたいになってしまった光景が北海道の豪雪のすさまじさを物語る
  3. /nl/articles/2412/21/news040.jpg 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. /nl/articles/2412/23/news080.jpg ブックエンドの“じゃない”使い方が200万再生 驚きの発想に「痒いところに手が届く」「参考にします」
  5. /nl/articles/2412/21/news023.jpg 「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
  6. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  7. /nl/articles/2412/23/news036.jpg 「イブの日って空いてますか?」 ドキドキのメッセージ送付→“まさかの返信”が590万表示 「今日一番笑ったw」
  8. /nl/articles/2412/21/news092.jpg 【編み物】カラフルな毛糸で四角いモチーフを作り、一気につなげると…… 太陽のような輝きの完成品に驚き
  9. /nl/articles/2412/23/news115.jpg 「最強でしょ」 佐々木希、作った“我が家のクリスマスディナー”がすごすぎる! 料理上手で「こんなお母さんになりたい」
  10. /nl/articles/2412/23/news077.jpg これは気づかない! バーガーキングでもらった「大入袋」→よく見ると…… まさかの仕掛けに「天才」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」