画面から涼しさが伝わってくるブルーな世界を堪能する:「FOREVER BLUE」レビュー(2/2 ページ)
マナウライの海に生きる
それでは具体的なゲームの内容に移ろう。探索の際には、最初に拠点のガッビアーノ号を、マップ上の探索したいポイントに移動させる。地名が表示されるスポット以外の場所でも、どこでも船が置けて自由度は高い。船から一定の距離が行動範囲。そこを外れると警告されるので、また船を移動させよう。
時間はリアルタイムで流れ、約1分でゲーム内では30分ほど進む。昼夜や季節でその場所に生息する生き物も変化していく。明るい昼の海もいいが、底知れぬ神秘を感じさせる夜もオツなものだ。
潜水を切り上げて船上へ帰ると、潜ったエリアのマップが作成される。白いマップをすべて埋めるのが基本的な指針となる。新しい地名の場所に到達すると、キャビンの端末にメールが届き「サンシャインビーチ ハゼのたぐいを多く見つけることができるようだ」などなど、情報を教えてくれるので、これをもとにもう一度探索するのもいいだろう。
メインとなるダイビング以外にもやれることはいろいろある。順番にチェックしていこう。
イルカの調教
ハンドウイルカやシャチ、ベルーガなど、一部のイルカ類は仲良くなると、名前をつけてパートナーになれる。パートナーとは一緒に海に潜れるほか、船のタラップをポインティングすると、トレーニングして数々の技を磨くこともできる。バックフリップやフロントジャンプ、歌など、いろいろな技を練習しよう。ジャンプの高さや、ヒレ歩きの距離などはレコードとして記録され、トレーニングするごとに伸びていく。初めは1m程度のジャンプでもだんだんとハイジャンプになっていく様子はまさしく圧巻。エサをもらって喜ぶ様子もかわいい。
アクアリウム
生物図鑑に掲載された生き物は、アクアリウムの水槽に入れて鑑賞できる。水槽のサイズは4×4マス。魚は1マス、2マス、2×2マスの3種類のサイズがあるので、うまく組み合わせよう。同じ生き物ばかり入れてゆっくり観察するのもアリだ。
ただし、初回版ではアクアリウムではシノノメサカタザメを選ぶとフリーズする不具合が報告されている。無償で新品と交換してもらえるので、詳しくは公式サイトを参照してほしい。
海底のアイテム探し
マナウライの海には、さまざまな宝物が眠っている。探索中に、キラリと光るポイントを見つけたらすかさずチェックしよう。バラバラになった碑文や羅針盤のパーツを全部拾うとちょっとしたイベントが起こる。海が隠ししている深い秘密が解けるかも……。
ダイバーの仕事
ダイバーとしての仕事の依頼はメールで来る。代表的なのはガイドの仕事。お客さんと一緒に潜り、「ナンヨウハギが見たい」「ナポレオンフィッシュと出会いたい」という要望に応えるべく、マナウライの海を案内する。後日、仕事ぶりがランクで評価されるが、お目当ての魚が見つからなかったりして、ランクAを取るのは意外と難しい。
また、ライターのダグラスから雑誌に掲載する写真の撮影依頼がくることもある。水中カメラを使って、最高の1枚を激写しよう。
こうした仕事をこなすと、髪型やダイビングスーツなど、外見を変えるアイテムがもらえる。ダイビングの能力が変わるわけではないが、Wi-Fi通信の同時プレイもあるので、自分らしく飾りたい。
自宅のディスプレイで癒しの空間を味わおう
生物図鑑のコンプリート、海底遺跡の謎の解明、アシスタントのキャサリンの過去にまつわる連続イベント……、といった目的はあるが基本的にはダイビングを自由気ままに楽しめる本作。美しい海をゆったりまったり、マイペースに満喫したい人に向いている。
個人的にうれしいのは、SDメモリーカードに入れたMP3ファイルを流せる点。好きな音楽を聞きながら潜れば、気分は最高だ。
潜っている間は再生するファイルを変えられないなど機能に物足りなさは感じるが、MP3をあらかじめPCで編集して、好きな曲を数曲結合しておくのがオススメ。夏っぽいノリノリの曲を流してもいいし、クラシックのピアノ曲で海の美しさを引き立ててもいい。ぜひ自分のベストなBGMを見つけてほしい。
ちなみに、本作にはBGMとしてドラマ「白い巨塔」の「Amazing Grace」を歌ったニュージーランドの歌手ヘイリーの曲が全部で10曲収録されている(もちろん「Amazing Grace」もあり。ゲームを進めると曲目が増えていく)。透き通った歌声がきれいな海にマッチする。
最後に気になった点をいくつか挙げておこう。まずは、小さな魚へのポインティングマーカーの当てづらさ。大きなものはともかく、小さな目標物にはなかなか反応してくれない。全体的な操作はスムーズなのに、ここはもったいない部分だ。ポインティングマーカーが近づいたら、目標物に自然と寄っていくなどの工夫があっても良かったかもしれない。
それともう1つ、魚の数が若干少ない気がする。景色は美しいが、もう少し魚が群をなして泳ぐ、圧倒的なシーンも見たかった。エサをまくと熱帯魚の壁ができる、そうした演出があってもよかったか?
以上、このくらいだろうか。先ほど書いたシノノメサカタザメのバグは残念だが、ゲーム的な制約やミッションを弱める工夫で、大人が満足する癒し空間を作り上げた。ほどよい隠し要素も盛り込まれ、“癒し=退屈”といった構図にもなっていない。地上での生活にストレスがたまったら、海中に行ってのんびりしよう。これが旅行に行けない筆者の夏休みだ。
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