「テトリス」はもはや、レトロゲームとは呼べないかもしれないゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)

「レトロゲーム・アワード2007」、大勢の方にお越しいただき、ありがとうございます。疲れがいまだに残ってますが、気づけばこちらの連載も50回の節目を迎えました。今回は、去年ニンテンドーDS版がミリオンセラーになった「テトリス」です。

» 2007年10月11日 01時12分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

「ソ連製」という言葉自体が懐かしい

 「テトリス」は、本当に息の長いゲームである。

 アーケード版(セガ)の登場が1988年、ゲームボーイ版(任天堂)が1989年。一大ブームを巻き起こす。

 その後、いったんブームは落ち着いたように見えたが、アーケード版は各地のゲームセンターの中で生き残り、ロングラン稼動を続ける。

 キーホルダーゲームとして、再び「テトリス」がブームになったのは1990年代中盤。さらに、Javaアプリが使える携帯電話が普及すると、「テトリス」はここでも人気のソフトとなった。

 最近ではニンテンドーDSの「「テトリス」DS」がヒットしたほか、Xbox 360やプレイステーション 2でも遊ぶことができる。

 作られてすでに22年。アーケード版登場から19年。ゲームボーイ版発売から18年。このゲームが生まれた国、ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊して16年になるというのに、今でもこのゲームは、現行機種のほとんどでプレイできるのだ。

 「テトリス」がヒットして以降、何かを落としてフィールドにはめ込むアクションパズル、いわゆる“落ちものパズル”が、次から次へと現れた。

 その中にも、「コラムス」、「ドクターマリオ」、「ヨッシーのたまご」、「ぷよぷよ」、「対戦ぱずるだま」など、多くのヒット作がある。それでも「テトリス」は、それらの中に埋没してしまうことなく、今なお存在感を示し続けている。

画像 2001年に宗谷岬を訪れたときの写真。この日はよく晴れていて、海の向こうにロシアのサハリンが見えた
画像 稚内駅近くの商店街では、店名がロシア語表記で書かれている。これはゲームショップのブルートだ

ロシアから西回りで日本へ渡来

 「テトリス」の登場以前から、5つの正方形をつなげた“ペントミノ”という12種類の図形を組み合わせて、6×10、5×12、4×15、3×20の、長方形のフィールドにぴったり収めるパズルがよく知られていた。

 映画「2001年宇宙の旅」では、ボーマン船長とHAL9000がチェスを指すシーンがあったが、ここに当初はこのペントミノが使われる予定だったらしい。

 旧ソ連のアレクセイ・パジトノフ氏は、こうしたパズルをコンピューターゲーム化した。ここでは4つの正方形をつなげた図形“テトリミノ”が使われる。

 図形をフィールドの上部から落とし、アクションパズルにしてみた。そして図形で横1段を埋めたら、その段が消えるようにして、フィールドのいちばん上まで図形が積み上がったらゲームオーバーとした。

 このシステムを、ワジム・ゲラシモフ氏がプログラミングして、「テトリス」は完成したのだ。

 登場するキャラクターは、7種類のテトリミノだけ。プログラムもシンプルで、マシンパワーも必要としない。そんなソフトがイギリスのミラーソフト、アメリカのアタリなどを通じて、西側諸国でPC用ゲームとして大ヒットとなった。

画像 アーケード版「テトリス」(セガ)の、操作方法説明画面。上から落ちてくるテトリミノを移動・回転させる
画像 ファミコン版「テトリス」(ビー・ピー・エス)の画面。2段が同時にテトリミノで埋まって、消えるところ

 日本では、ビー・ピー・エスがまずPC版を発売。さらにファミコンに移植して、1988年12月22日に発売した。

 ファミコン版の特徴は、ステージクリア制をとっていること。25段消すとクリアとなり、次のステージへ進む。ステージが進むと、テトリミノの落下速度が速くなっていく。

 テトリミノがフィールドの最上段からあふれるとアウトになるが、ファミコン版では3回アウトになるまでゲームオーバーにはならない。自機が3機あるという感覚だ。

 さらにもっと大きな特徴がある。操作方法が、アーケード版やゲームボーイ版などと異なるのだ。

 十字キーの左右でテトリミノが左右に移動するところまでは同じだが、十字キーの下を押すとテトリミノが90度左に回り、Aボタンを押すと、一気に接地する。

 このためファミコン版では、途中にあいたくぼみに横からテトリミノを挿し込む場合、落下スピードを変えられないので、自然に落ちてくるのを待たなければならない。

 とはいえ、「テトリス」本来のおもしろさもあって、ファミコン版「テトリス」は、181万本ものセールスを記録した。ソ連をイメージしたグラフィックや演出は、後のゲームボーイ版などに受け継がれている。

 また、ボタン1つで一気に接地する仕様も、状況によっては便利だったので、最近の「テトリス」ではハードドロップという名で、方向キーの上に割り振られていることが多い。

画像 棒状のテトリミノを回転させようとして、誤って接地させてしまった様子。アーケード版などに慣れると、こういうミスがよく起こる
画像 最もスピードの速いSTAGE9をクリアすると、小さな人々がロシアのダンスと楽器演奏でプレイヤーをたたえる
画像 いちばん難しい、STAGE9のROUND5をクリアすると、クレムリンの奥に花火が上がる
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news168.jpg 浜崎あゆみ、息子2人チラリの朝食風景を公開 食卓に並ぶ“国民的キャラクター”のメニューが意外
  2. /nl/articles/2501/08/news109.jpg 浜崎あゆみ、息子2人の朝食風景にファンから驚きの声 「ホテルの朝食みたいな」「2人とも左利き!?」
  3. /nl/articles/2501/07/news025.jpg 大好きなお母さんが他界し、実家でひとり暮らしする猫 その日常に「涙が溢れてくる……」「温かい気持ちになりました」
  4. /nl/articles/2501/08/news120.jpg 山本舞香、義父・森進一の“極端な食生活”に困惑 年末年始に手料理リクエストも……「かなり疑心暗鬼」「どうしたらいい?」
  5. /nl/articles/2501/06/news043.jpg 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  6. /nl/articles/2501/05/news001.jpg 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  7. /nl/articles/2501/07/news034.jpg 「え、まじでここで降りるんですか!?」 新幹線駅の“圧つよ標識”に9.2万いいね 「これは間違えたらヤバい」
  8. /nl/articles/2501/08/news032.jpg 100均「リングファイル」をカッターで切っていくと…… アイデアに脱帽、驚きのアイテム完成に「なかなかスグレモノ」
  9. /nl/articles/2501/07/news151.jpg 「3人目!?」「妊娠何ヵ月?」 榮倉奈々、公開した動画に映ったまさかの“ぽっこりおなか” 仲良すぎな夫婦ショットにファン爆笑
  10. /nl/articles/2501/08/news176.jpg 堀ちえみ、1200万円クラスの“愛車”に異常事態で……“まさかの原因”指摘に「情けないなぁと思うこの頃」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
  2. ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
  3. 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
  4. 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
  5. 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
  6. 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  9. 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  10. サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」