10年の歳月を経て描かれる、ファイナルファンタジーVIIにつながる“コア”な物語「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」レビュー(2/2 ページ)

» 2007年10月15日 02時29分 公開
[仗桐安,ITmedia]
前のページへ 1|2       

剣と魔法で敵をなぎはらえ そしてスロットに己の運を任せよ

 本作はアクションRPGというジャンルそのままに、ザックスを縦横無尽に操って敵を倒していくプレイが楽しめる。

 フィールドを移動していると突然敵にエンカウントすることもあるし、フィールド上に見えている敵に触れて戦闘に入ることもある。いずれの場合も、その時にいるフィールドがそのまま戦場になり、バトルが始まるというシステムだ。戦闘が始まるたびにActivaiting Combat Modeと画面に表示される。右下にコマンドが表示されるので、Lボタン、Rボタンで“戦う”“ブリザド”“ケアル”“回転攻撃”“アイテム”などのあらかじめ装備した能力などのコマンドからいずれかを選び、○ボタンでコマンドを選択していくという流れだ。

雑魚をなぎ倒すのも、じっくりボスと向き合うのも、どちらもそれぞれの楽しさがある

 コマンド選択形式ではあるが、ザックスも敵もフィールド内を自由に動けるなかで、近くにいる敵がターゲットになるようになっているし、□ボタンによる回避や△ボタンによる防御はタイミング次第で成功したり失敗したりするので、アクション要素は十分にある。慣れてくると雑魚相手には“戦う”の○ボタン連打だけで勝ててしまいルーティンワークになったりもする。しかし、ちょっと油断するといつのまにかけっこうダメージをくらってしまうということもあるし、手強い敵や弱点属性がある敵にはそれなりに考えつつアクションを繰り出すことでより効率的に勝てたりもする。ボス戦に至っては、強大な攻撃を出すタイミングを読んで防御や回避がうまく決める楽しさもあるのだ。

 アクション性のあるコマンド選択形式の戦闘ということなら、過去にいくつでも例があるが、本作の戦闘における独自のシステムと言えるのがデジタルマインドウェーブ(D.M.W)という要素だ。これはバトル中に左上に常に3つのスロットが回っていて、その絵柄と数字が揃うことによってさまざまな効果が現われるというもの。

 最初はアンジールやセフィロスなど何人かの登場したキャラの絵柄しかないが、プレイが進行すればエアリスやクラウドなどのキャラも絵柄として登場し、果ては召喚獣であるイフリートや、人気のサブキャラであるチョコボなど多彩なキャラがスロットの絵柄として登場する。組み合わせによって一定時間MP消費ゼロで魔法を使える、などの効果を発揮し、さらに左と右の絵柄が揃うと、戦闘中に突如スロットがアップで表示される。真ん中の絵柄や数字が揃うことで、マテリアのレベルが上がったり、揃ったキャラに応じたリミット技や召喚獣の技を繰り出すことができるのだ。

レベルアップもD.M.Wによって決定される。777が揃えばレベルが上がるのだ

 このスロットの絵柄と数字が揃うかどうかに関しては、パチスロのように目押しすることができない。ザックスの回想シーンが表示されることで絵柄が揃う確率が上がるなどのエフェクトはあるが、運の要素が強いのだ。パチスロよりはパチンコに近い感覚だと思った方がいいだろう。このD.M.Wが途中に入ることでアクション性の高い戦闘にさらなるメリハリが生まれているのは間違いない。しかし、残念だったのはリミット技の短いエフェクトムービーを飛ばすことができないという点。召喚獣のエフェクトは長くて見応えがある分飛ばせるようになっていていいのだが、その他のリミット技も短いなりに慣れてくると飛ばしたくなった。個人的にはテンポのよい戦闘を若干阻害しているように感じた。また、スロットに関しても運の要素が強いので目押しができればいいなと思うことがあった。クセの強い戦闘システムではあるが、他のRPGでは見られないオリジナリティーあふれるオモシロさは評価したい。

やり込みながら“コア”に迫れる、ファンにはオススメの一作

 本作のやり込み要素と言えば前述した300もあるミッション、そしてFFVIIではおなじみの“マテリア”を使ったマテリア合成だ。

 物語の途中からザックスはマテリア合成ができるようになる。プレーヤーはザックスしか操作できないので、ザックスは剣にせよ魔法にせよオールマイティーにこなせるようになっているのだが、本作における魔法や技の多彩さはかなりのもの。同系統の魔法を合成することでより強力な魔法になったり、魔法と技を合成することでMPを消費するタイプの技が誕生したり、さらにアイテムをかけあわせて合成することでステータス上昇の効果を付与できるなど、合成でできることはさまざまだ。

合成の組み合わせを探して、ついつい時間が経過してしまった、ということもあった。強そうな技が見つかったときは歓喜してしまいます

 レベルが高いマテリアほど合成後の結果もいいのだが、マテリアのレベルは装備して戦闘中に上げていくしかないので、どのマテリアを装備すればいいのかと迷ってしまうこともあるだろう。その迷える、選べる、組み合わせを発見できる、というやり込みの楽しさが、RPG系の正しい楽しさにつながっているように思った。偶然見たことがない魔法や技を見つけたときの「おおっ」という感覚がたまらない。攻略情報に頼ってもいいが、自分で組み合わせを試行錯誤してみるのをオススメしたい。

 ミッションをクリアしていき、マテリアを増やし、召喚獣を見つけ、そんなやり込みを楽しみつつも重厚なFFVIIの世界を堪能できる。これはもう、FFVIIファンには「やっとけ〜!」としか言いようがない。新型PSPも登場したことだし、ファンなら本体ごと買いでもいいのではなかろうか。

 そういえば旧型でプレイしつつ途中で新型PSPでのプレイに乗り換えた筆者であったが、新型PSPでの本作のロードについては“旧型よりも若干速い……かな?”と、ほんのり体感できるほどだった。元より本作のムービー前などのロードは割と長い。携帯型ゲーム機でこれだけのクオリティのものを出してきているのだからしょうがないと言えばしょうがないが、それにしてもロードが長いのは残念なことだ。まあそれを差っ引いてもファンには強くオススメできる出来にはなっている。本作でFFVIIの“コア”の部分に触れ、10周年の年月に思いをはせてみてはいかがだろうか。

「CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII-」(クライシス コア ‐ファイナルファンタジーVII‐)
対応機種PSP
ジャンルアクションRPG
発売日2007年9月13日
価格(税込)6090円(同梱版:2万5890円)
(C)2007 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/14/news189.jpg 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  7. /nl/articles/2411/15/news009.jpg 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  8. /nl/articles/2411/15/news058.jpg 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  9. /nl/articles/2411/14/news023.jpg “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  10. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた