今度の舞台は江戸時代!――極道から剣豪へと大きく変わった最新作が登場:「龍が如く 見参!」レビュー(3/3 ページ)
裏切り、放浪、刹那の安楽……そしてようやく話がつながる
任務を終えると章も変わり、集合場所に指定された廃寺へと舞台を移す。ここで暗殺(実は相手は結城秀康だった)の口封じとばかりに丸目率いる徳川勢に襲われる。せまい寺の中で、大量の敵と丸目を相手に戦うこのシーン、真島がいなければかなりしんどかった。真島を囮にしてザコを倒しつつ、丸目が真島に打ち込むスキを狙う戦法でどうにかクリア。
この戦闘を終えると、武蔵といえば欠かせない仇敵、佐々木小次郎が登場する。結城秀康の死亡や巌流との出会いなど、伝えられているものとは時系列がまったく違う気もして突っ込みたくなるが、そこは深く追求しないのが大人の楽しみ方というもの。
この小次郎は松田翔太がモデル兼声優となっており、クールな美剣士というイメージにぴったり。ここでは実際に剣を交えないが、いかにも強そうな感じだ。ここで、武蔵が二刀に開眼し、実際に二刀流で戦うチュートリアル戦闘が行われる。全方位攻撃と防御が可能な二刀流は、相手をダウンさせる攻撃がないため、間を取りにくいのがネックだが、対多数の戦闘では使い勝手がよさそう。
チュートリアル終了後、二刀流と真島の助けで状況を切り抜け、お尋ね者として逃亡するムービーに。さらに、この後、追っ手との戦闘で頼りになる真島がつり橋を切り落とし、追ってもろとも渓谷に落ちて行くという怒涛の展開。
ここで章が切り替わり、真島の形見の刀を真島の妹、浮世に届けるという話が展開される。すったもんだあった挙句、武蔵と浮世がともに暮らすことになり、ちょっとプレイヤー置いてきぼり状態。さらにこの後、とある事件がきっかけで、武蔵はお尋ね者としての放浪生活に逆戻りしてしまう。このあたりの展開は緩急をつけるという意味でも大事なのだろうが、ムービー挿入も多く、筆者にはやや冗長に感じた。
放浪生活に戻った武蔵だが、倒したはずの相手に切りつけられて手傷を負ってしまう。ここで助けに入ってきたのが松方弘樹! もとい謎の僧。この僧、実写で松方弘樹が演じてもこのままだろうな、と思うほどそのままなので、一見の価値ありだ。
こうして破戒僧っぽい松方弘樹に治療と服の世話をしてもらい、京の祗園で合流することに。この道中で、荒くれ者から因縁をつけられてエンカウント戦闘が発生するようになる。また、いきなり攻撃を受けて制限時間内に指定されたボタンを押す、という仕掛けもあるので注意。剣豪たるもの、片時も気を抜くべからず、といったところか。
ただし、エンカウント戦闘は、相手の視界に入らないように駆け抜けることで回避可能。成長は遅くなるが、ダッシュで切り抜けてしまってもいいだろう。
長い道のりを経て祗園の大門にたどり着き、謎の僧と合流。なぜか金持ちの松方弘樹が御代を持ってくれるということで、浮世そっくりの吉野が気になる武蔵、祗園一の揚屋と言われる鶴屋で、吉野との遊女遊びをすることに。ここで、酔って暴れる男を止めてくれと頼まれ、剣を使わず素手での戦闘が発生。この事件と謝礼金をきっかけに、武蔵は掛廻として祗園に潜伏することを決意する。
祗園にいれば、圧倒された佐々木小次郎へのリベンジの機会もあるかもしれないというのがその理由。謎の僧から一馬之介という名ももらい、えらい長かった回想シーンも、ようやく終了する。
物語もいよいよ進展、遊び心のつまった京の町が楽しめる
これまでのプレイはすべて武蔵の回想だったが、剣豪としての成長はそのまま。章はじめのムービーでは、人斬り家業をやめた武蔵(=桐生)が、仕事は金をもらわないと請け負わないという口実で、少女・遥の「宮本武蔵を殺してほしい」という依頼を断固断る。
だが、遥は自分を揚屋に身売りし、たった一両の金で遊女となってまで桐生に懇願する。そんな遥の態度にほだされ、また、偽りの武蔵の正体も気になる桐生は、その一両で武蔵への仇討ちという依頼を受けることに。ちょっとグっと来るストーリー展開から、いよいよゲームもテンポ良く動き出すことになる。
ここからはフリーの掛廻として、手紙や伝書鳩で仕事を請け負うことができるようになる。加えて、ストーリーの進行に連れてじわじわと自由度が高くなっていく仕組みだ。京きっての多芸な芸術家・本阿弥光悦との絡みと、その話の延長線上にある宍戸梅軒との劇的な戦いなど、ネタバレがすぎるので詳しくは書かないが、かなり面白い展開が待ち受けている。
特に、宍戸梅軒の根城での戦闘は、ダンジョン探索風のアクションが楽しめるし、鎖鎌を操る梅軒との戦闘も、今までにない戦いができる必見ものだ。反面、エンカウントによる戦闘は、パターン化して単調になりがち。レベルを上げたいときや金の工面をしたいとき以外は、さほど積極的に戦う必要はないだろう。
桐生を成長させる手段としては、戦闘でレベルを上げる以外に、祗園や洛外町の道場で技を身に付けたり、武器を鍛えて強化するといった方法がある。絶対に必要というわけではないが、サブイベントをこなしつつ育成もしていくとよさそうだ。
なお、祗園や洛外町には、賭博や賭け将棋、麻雀などのサブゲームで遊べる場所が多数ある。さらに、前作でも楽しめたキャバクラ遊び(揚屋で遊女とのやり取り)にいそしんだり、流鏑馬でハイスコアを狙うといった要素が豊富に用意されているため、剣豪生活に疲れたら、遊び人としての生き方を楽しめるようにもなっている。もっとも、こうした遊びを楽しむためには、依頼をこなしたりゴロツキどもを成敗してお金を稼ぐ必要もあるのだが。
そんなこんなで剣豪ライフを楽しんできた筆者だが、いかがだっただろうか。ムービーや操作できないシーンが長いこと、祗園や洛外町の入り組んだ町並みで迷ったりすることも多く、プレイには相当の時間がかかることを覚悟しておこう。
なお、データセーブは基本的に住処である龍屋の座敷に入ることで行うが、あちこちにある地蔵を調べることでも可能だ。このあたりは以前のシリーズでも公衆電話でセーブが可能だったことを考えれば、多少設定に無理は感じてもありがたい。地蔵の中にはアイテムの出し入れが可能なものもあるので、わざわざ龍屋に戻らなくてもプレイに支障をきたさない作りになっているのは好感を持てる。
戦闘が単調になりやすいことや、史実とはかなりかけ離れた設定になっていること、キャラクターの濃さゆえにプレイヤーを選ぶという欠点はあるものの、とくに致命的なものではない。シリーズのファンはもちろん、アダルト層にオススメできる作品だ。剣戟の難易度も、思ったより高くはないので、豪華キャストを要したネオ時代劇を楽しむつもりでプレイしてみるのもいいだろう。
「龍が如く 見参!」 | |
対応機種 | プレイステーション 3 |
ジャンル | アクションアドベンチャー |
発売日 | 2008年3月6日 |
価格(税込) | 7980円 |
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