炎のコマはここから生まれた「ギャラクシーウォーズ」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
スコア重視かクリア重視か
このゲームには1つ、特徴的な演出がある。ステージクリアごとに出てくるメッセージだ。3面クリアで「GOOD!」と表示されるのを皮切りに、特定のステージをクリアすることで、「VERY GOOD!」「FANTASTIC」などの文字が表示される。そして33面をクリアすると、ついにUFOが根負けし、「GIVE UP!」と表示されるのだ。
後の「パックマン」(ナムコ)における、コーヒーブレイクの原型のようなものだが、これにより、「メッセージを見るために、できるだけ多くのステージをクリアする」という楽しみが出てきたのだ。
後年、ゲームの主目的は「スコアを多く稼ぐこと」から「ステージをクリアしてエンディングを目指すこと」へと変化していった。そのきっかけとなったのが、このゲームだったのかもしれない。
ステージクリアを目的とするか、高得点を狙うかで戦術が変わってくる。より安全に先のステージへ進むためには、UFOであまり高得点を狙わない方が良い。前述のとおり、UFOの真ん中近くを狙おうとすると、UFOの弾に当たる危険性が高まる。
極端な話、スコアさえ気にしなければ、ミサイルの側面にUFOを突っ込ませるのが、いちばん確実に破壊できる方法だ。
さて、「スペースインベーダー」と同様、このゲームでも当時は、「ゲームセンターあらし」が攻略本のような役割を果たしていた。
UFOの得点や、ボーナスUFOの存在はもちろん、UFOの弾は同時に3発までしか出ない(※本当は4発まで)という情報や、隕石地帯ではミサイルのスピード調節が重要とか、UFOは後ろから追いかけずに先回りして待つ方がいいとかといった攻略法まで。マンガだから当然だが、絵入りで非常にわかりやすかった。
“炎のコマ”の誕生
「ゲームセンターあらし」では、「スペースインベーダー」に代わるゲームとして登場した「ギャラクシーウォーズ」だが、メインのゲームとしてこのマンガに登場したのは、わずか2回。その後は、ほぼ同時期に発売された「ギャラクシアン」(ナムコ)に取って代わられた。
このことが「ギャラクシーウォーズ」の立場を象徴している。「スペースインベーダー」と「ギャラクシアン」の間に挟まれて、あまり知名度が高くない。1988年にセガが出した、水平方向にぐるぐる回る体感筺体で話題となった「ギャラクシーフォース」と間違われやすい。
ただ、「ゲームセンターあらし」への2回めの登場で、あの必殺技“炎のコマ”が誕生した。元旦、初詣に行った神社の境内で、あらしと、友人の一平太は仮設のゲームセンターを見つける。「ギャラクシーウォーズ」で1万点出したら自転車がもらえるということで、あらしは奮起するが、このゲームは改造されて難度が上げられ、しかも2面めからはミサイルの行く手を必ず隕石が塞ぐようになっていた。
あらしは何としても1万点を出すべく、コンピューターの処理速度より速く手を動かそうと、コマを使って特訓を重ねる。そしてついに、1秒間に200万回もレバーを往復させることに成功。コマの軸と台が摩擦で燃えて火を吹いた。
あらしが再び「ギャラクシーウォーズ」をプレイすると、鍛えた手の速さがコンピューターの処理速度を上回り、ミサイルが消えて隕石の海をくぐり抜けた。レバーとの摩擦で、あらしの手から炎が上がる。こうして完成した“炎のコマ”は、その後もあらしの必殺技として多用されることになる。
炎のコマといえば、格闘家の桜庭和志選手が使った、相手の足を持って回る技も、“炎のコマ”と名づけられている。相手の背中に摩擦熱を起こすからだが、「ゲームセンターあらし」の炎のコマも意識したネーミングらしい。太田出版から復刻された「ゲームセンターあらし」の第3巻では、桜庭選手が巻末コメントを寄せている。
君にもできる“炎のコマ”
1995年に発売されたスーパーファミコン版「ギャラクシーウォーズ」には、アーケード版を再現したカラーモード、白黒モードに加えて、リメイクを施した「ネオモード」が収録されている。
ルールは元のアーケード版と同じだが、いくつかの特徴が加わっている。まず、UFOの中に色違いのものが1機いて、枯れ葉のようにひらひらと舞い落ちる爆弾を落としてくる。これは避けにくい。
一方で、ミサイルの方もパワーアップした。隕石にちょうど真下からぶつかると、その隕石を串刺しにすることが可能。隕石はUFOの弾を防いでくれるから、ミサイルの頭にバリアがついたような状態になる。
そしてそのままUFOに突撃すると、UFOと隕石が相撃ちになってミサイル本体は残るので、続けて別のUFOを攻撃できる。つまり1発のミサイルで、2機のUFOを破壊できるということだ。
ただしミサイルと隕石が少しでも斜めに当たると、ミサイルが破壊されて1ミスとなる。そういうリスクはあるが、慣れれば割と楽に串刺しできるので、試してみる価値はある。
さらにすごいのは、十字キーの左右を交互に連打することで、“炎のコマ”が再現できることだ。さすがにコントローラーが火を吹くことはないけれど、ミサイルが点滅して、UFOの弾や隕石をすり抜けるようになる。コントロールが効きにくいので、役に立つ技とは言い難いが、マンガに描かれたのと同じ現象が再現できるのがうれしかった。
ちなみにスーパーファミコン版のパッケージイラストは、すがやみつるさんが描いている。しかし当時の版権の関係か、描かれていたのは「ゲームセンターあらし」ではなく、あらしによく似た別のキャラクターだった。
ユニバーサルは、「ギャラクシーウォーズ」の後にも「スペースパニック」や「Mr.DO!」などのゲームを世に送り出したが、当時のゲームメーカーとしては珍しいことに、ファミコンには参入せず、また独自のゲーム機も出さなかった。そのため「ギャラクシーウォーズ」は、登場から16年後、スーパーファミコン版が発売されるまで、家庭用ゲーム機に移植されなかった。
ユニバーサルは後に社名がアルゼとなってから、RPG「シャドウハーツ」でプレイステーション2に参入した。だが結局「ギャラクシーウォーズ」は、それ以降もゲーム機に移植されていない。「スペースインベーダー」や「ギャラクシアン」と比べて、今なおマイナーなポジションにとどまっているのは、それも原因の1つかもしれない。
さすがに今、単体のゲームとしてリリースするには内容が薄いかと思われるが、かといって埋もれさせておくのももったいない。「スペースパニック」や「Mr.DO!」シリーズと組み合わせて発売するとか、携帯電話のアプリにするとか、PCかゲーム機用にダウンロード販売するとか、復刻する手段はいくらでもあるように思えるのだが……。
|
関連記事
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
そば屋の看板のはずが…… 雪で“別の店”みたいになってしまった光景が北海道の豪雪のすさまじさを物語る
-
ウソだろ…… フリマに5000円で売っていた“信じられない商品”に思わず二度見 「やっぱり寂しい」
-
友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
-
ブックエンドの“じゃない”使い方が200万再生 驚きの発想に「痒いところに手が届く」「参考にします」
-
「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
-
刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
-
【編み物】カラフルな毛糸で四角いモチーフを作り、一気につなげると…… 太陽のような輝きの完成品に驚き
-
「イブの日って空いてますか?」 ドキドキのメッセージ送付→“まさかの返信”が590万表示 「今日一番笑ったw」
-
【今日の難読漢字】「勿忘草」←何と読む?
-
「最強でしょ」 佐々木希、作った“我が家のクリスマスディナー”がすごすぎる! 料理上手で「こんなお母さんになりたい」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」