インタビュー
» 2008年06月06日 00時00分 公開

BLは愛です! 理解するんじゃない! 感じるんだ!――「がる★パラ!」で「腐女子カフェ」を立ち上げた腐女子たち(1/3 ページ)

ガンホー・オンライン・エンターテイメントが5月にオープンした「がる★パラ!」。この中の企画「腐女子カフェ」では、BL系の書籍で有名なリブレ出版と共同で運営を開始し、「腐女子の腐女子による腐女子のためのサイト」が着々と出来上がりつつあるようだ。そこで、ガンホーとリブレ出版の担当者に「がる★パラ!」と「腐女子カフェ」について聞いてみた。

[西川留美,ITmedia]
画像

乙女の萌え情報を凝縮したサイト「がる★パラ!」が5月2日に正式オープンした。同日スタートした大型コーナー企画「腐女子カフェ」は、オンラインゲーム会社のガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)、ボーイズラブ(以下、BL)系出版社のリブレ出版(以下、リブレ)、インターネットラジオやドラマCDの企画・制作等を行っているエンタメシンクタンクの3社共同となっている。

 内容をざっくり説明しよう。

 まず、「腐女子カフェ」の看板企画はユーザー参加型の投稿コーナーだ。

 「萌BOOKSプロジェクト」では、2008年1月にリブレが出版した「腐女子の品格」の続編「腐女子の本懐」に連動した企画で、ユーザーの投稿が同書のコミックエッセイに採用されることもあるという。また、人気声優である森川智之氏のインターネットラジオ番組「森川智之のレディオ ベル」と連動した「萌RADIOプロジェクト」や、「腐女子的川柳・格言」のコーナーなど、ライトなBLファンでも十分楽しめる内容である。

 しかし、腐女子ビジネスがはんらんしつつあり、サービスも玉石混淆の状態である中、いったいなぜこのようなサイトを作ったのだろうか。そしてなぜそれにガンホーが関わっているのか。その狙いは。

 そんなストレートな疑問を、「がる★パラ!」の運営主であるガンホーとリブレの担当者に直接ぶつけることにした。お答えいただいたのは、ガンホーの杉浦郁代氏とリブレの川島由紀子氏、稲石春菜氏だ。


腐女子だからこそ会話したい

――サイトの背景がピンクで……バラですか。

画像 ガンホー・オンライン・エンターテイメント オンライン事業部 マーケティング本部 第三マーケティング部 部長代理 杉浦郁代氏

杉浦郁代氏(以下、敬称略) もちろんピンクです!(笑) バラもやっぱり腐女子的には欠かせません。もともとBLの前身である「耽美系」の時代から、BLの隠語は“薔薇”ですから。また、「楽しくポップ」な「がる★パラ!」とは対照的に、「腐女子カフェ」の方は貴族的な楽しみという感じで、やはりバラかと。色はローズピンクじゃダメで、花は七分咲きのもので……なんてさんざんデザイナーがこだわってました。

――そんなところにまでこだわりが……。ちなみに杉浦さんは入社何年目ですか。

杉浦 3年目です。それまではゲームの制作会社でBLゲームなどのプロデューサーをしていました。ガンホーに入ってからもずっとBLや乙女に関するサービスができたら、と温めてきたんですよね。

――なるほど、筋金入りの腐女子なのですね。ではまずこの「腐女子カフェ」ができた経緯を聞かせていただけますか。

稲石春菜氏(以下、敬称略) 一部メディアが「腐女子」を偏った視点でネガティブに取り上げているのを見て、違和感を覚えていたんです。それで「腐女子の品格」というコミックエッセイを制作して1月に出しました。大変ご好評いただいたので、シリーズ第二弾を制作することになったんです。より読者の共感を得られる本を作りたいと考えていたところ、『がる★パラ!』さんにご協力いただけたら、腐女子の生の声をたくさん聞けるしより面白い本にできる!と思いました。

川島由紀子氏(以下、敬称略) “腐女子”と一言にいっても求め方や考え方は1人1人違うわけですから、それをうまく集められないか、双方向で意見を交換できないか、などと考えると、出版社である当社だけでなくて、もっと他の方の力を借りられたら、と思っていたんです。

 そんなときにガンホーさんから「『がる★パラ!』というサイトを作るからリブレの新刊情報がほしい」という打診があったんです。それで、「もしかしたら『がる★パラ!』さんならいろいろ一緒にやっていただけるんじゃないか」と思ったんですね。それでそのことをお話したら、あっという間に企画を立ち上げていただいて。

画像 リブレ 編集部 稲石春菜氏
画像 リブレ 企画開発室 課長 川島由紀子氏

杉浦 先ほど川島さんが言われたように、腐女子とひとくくりにしても、1人1人求めているところは結構違うんです。いまでもよく言われている例をあげますと、「某サッカーマンガ」世代、「某霊界バトルマンガ」世代、某ロボットアニメの何々世代など、世代によってもずいぶん違います。だからこそ、ユーザー間の情報交換は必要であると感じていました。

――サイトの企画発案者は杉浦さんですか?

杉浦 そうです。入社時から「乙女向けのものを作りたい」と考えていて、「がる★パラ!」の企画が完成した時に社長(注:同社代表取締役社長 森下一喜氏)に直訴しました。それが昨年の年末です。

――直訴ですか! 「腐女子カフェ」の部分は正式オープン時に開設されたとはいえ、プレオープンが2月末とは、開設までの期間がずいぶん短いですよね。

杉浦 相当早いですね。でも、「企画をどうしよう」とか、「ユーザー層は」「コンテンツ内容は」といったことはもうわたしの中では決まっていましたから、一気に来れたんです。

――初めからポータルサイトという形態にしようと考えていたのですか。

杉浦 いいえ。まずは「乙女が喜ぶものを」と考えていて、構想段階ではオンラインゲームも想定していましたが、そうなると自分が主役になるため、「なりきりチャット」になってしまうんです。自分が“受け”をやろうが“攻め”をやろうが、“当て馬”をやろうが、自分は男の子ではないので、ちょっとオンラインゲームでは成り立たないと断念しました。だけど、ユーザー同士の交流は絶対に必要だと思っていまして。アンダーグラウンドな掲示板で腐女子は情報を交換するのではなくて、もっと健全な形での交流ができる場を作りたかったんです。

 わたしは「がる★パラ!」と平行して「ガンホーゲームズ」とというポータルサイトを担当しておりまして、当然コミュニティの運営も業務に入っているのですが、コミュニティ内の動きを見ていると、こちらから何か仕掛けるよりも、ユーザーの方々の動きのほうがよっぽど早いし、考えも深いということを目の当たりにしてきました。だからこそ、ポータルサイトのほうが受け入れられるのではないかと思ったんです。

川島 語りたい人は多いんですが、語る場がない。学校にいる間はまだしも、会社に入るとなかなかそうはいかないですから。うちみたいに、一日中“やおい話”をしている会社は特殊でしょうし(笑)。「腐女子の品格」を出した時に、そういう人たちがたくさんいることを知ったんです。でも、リブレという枠の中でやってしまうと、「リブレのことを話さなきゃいけないかな」と固まってしまう可能性があると感じて。

杉浦 実はわたし、「MAGAZINE BE×BOY」(注:リブレ出版が発行するBL系コミック誌)の創刊からの大ファンで、リブレさんが何かやりたがっているという話を小耳に挟み、そこから企画書が走り出しました。それで、リブレさんへの初回のプレゼン時に「うちならこういうデジタルなことができますよ」と(笑)。それで一緒にやらせていただけることになりました。

――どういうことをユーザーに提供したいと考えていたのですか。

杉浦 最近ではBLや乙女に関する情報が増えすぎてしまっているんです。一腐女子としては嬉しいことなのですが、本だけでも多いのに、さらにCD、DVD、アニメ、イベントなんかを含めたら、とても情報を追いきれないという状況です。このためユーザーの方々はあらゆるサイトを見て回ってご自分で情報を収集しているようなんですが、その手間を解消できるものを作れたらと思っていました。だから、商品データベースというコンテンツは外せないと思っていましたね。

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