第3回「なぜ、ゲームではステージ数の表示方法にこだわるのか?」なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/2 ページ)

» 2009年11月06日 19時32分 公開
[ITmedia]
前のページへ 1|2       

 もうひとつ、「ギャラガ」のステージ数の表示にはアーケードゲームならではのインカム(売上)をアップさせるための重要なポイントが隠されている。

 それは、ゲームオーバー後にデモ画面に切り替わった後も、ステージ表示が消えずにそのまま残っていることだ。この表示は、次のプレイヤーがゲームを新たに始めるまでずっと消去されないのである。つまり、あえてステージ表示を残すことによって、「前回遊んだお客様はこのステージまで到達しましたよ」と、次のプレイヤーに対する挑戦意欲を大いにあおり、インカムの向上へとつなげる効果をも持っているのである。

 この素晴らしいアイデアを最初に考えた開発者(営業マン?)は、掛け値なしに天才であると筆者は思うのだが、みなさんのご感想はいかがだろうか?

 また、カプコン草創期の名作シューティングである「1942」にもステージ数の表示に独自の工夫が見られる。このゲームは全部で32ステージで構成されているが、1面では「LAST 32STAGE」(※残り32面という意味)、2面は「LAST 31STAGE」……というように、最終面から逆算した数で表示されるのである。

「1942」の2面開始時のゲーム画面。“STAGE 2”ではなく“LAST 31 STAGE”と表示されるため、残りあと何ステージなのかが瞬時に分かる

(C)1984 CAPCOM

 これによって、プレイヤーは「もうあと○○面クリアすれば最終ステージだ!」などというように、自分の現在地点およびゲームの実力を客観的に判断することができるのである。また、ゲームオーバー後には「もうあと○○面で最終面まで行けたのに!」などと悔しい気持ちになり、ついつい何回も繰り返しチャレンジしたくなる(=売上アップにつながる)のである。

 いかがだろうか? このようにステージ数の表示ひとつをとっても、よりプレイヤーがゲームに夢中になれるよう、さまざまな工夫を施しているのがおわかりいただけるだろう。今さらながら、先人たちの素晴らしい知恵とアイデアにはただ敬服するばかりである。

 最近はこのような演出を見る機会は少なくなったように思うが、現代でもその名残は随所に見受けられる。端的な例としては、対戦格闘ゲームにおける勝利数の表示が挙げられるだろう。連勝したプレイヤーには「CHAMPION 10WINS」などというように画面に表示され、他のプレイヤーへ実力をアピールする格好の指標となっているわけだ。

なお、ステージ表示の仕組みについては、第1回目でも紹介したサイトウアキヒロ先生とライターの小野憲史氏による著書、「ニンテンドーDSが売れる理由」(秀和システム)の「ゲームニクス理論3」のところに詳しく解説が載っているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 それではまた!

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)など。

 今回取り上げたタイトル以外にも、例えば「ギャラクシアン」や「ペンゴ」ではフラッグを、「パックマン」ではボーナアイテムの果物をステージ表示に使用していますよね。特に「パックマン」では、最高得点の「カギ」を表示させることができたプレイヤーは、どこへ行っても実力者として一目置かれる存在だったのではないでしょうか?


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/17/news163.jpg 柄本佑、「光る君へ」最終回の“短期間減量”に身内も震える……驚きのビフォアフに「2日後にあった君は別人」「ふつーできねぇ」
  4. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  5. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. /nl/articles/2412/17/news049.jpg 「品数が凄い!!」 平愛梨、4児に作った晩ご飯に称賛 7品目のメニューに「豪華」「いつもすごいなぁ」【2024年の弁当・料理まとめ】
  7. /nl/articles/2412/17/news183.jpg 「秋山さん本人がされています」 “光る君へ”で秋山竜次演じる実資の“書”に意外な事実 感動の大河“最終回シーン”に反響 「実資の字と……」書道家が明かす
  8. /nl/articles/2412/17/news144.jpg 「私は何でも編める」と気付いた女性がグレーの毛糸を編んでいくと…… 「かっけぇ」「信じられない」驚きの完成品に200万いいね【海外】
  9. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  10. /nl/articles/2412/17/news033.jpg セリアのふきんに、糸で“ある模様”を縫っていくと…… 思わずため息がもれる完成形に「美しい」「やってみます」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」