「パッケージ市場崩壊、iPhoneアプリももうからない」 ゲームメーカーが生き残るには(3/3 ページ)

» 2010年02月17日 21時08分 公開
[岡田有花,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 現行のプラットフォームで“敗退”したメーカーも、次世代プラットフォーム向けコンテンツを開発すれば、いくらでも逆転チャンスがあるとみる。「PCのコンピューティングパワーは余っているし、携帯電話のCPUも放っておいても進化する。コンピューティングパワーが上がったときにどういうサービスをオーバーラップするかが1つの戦略だ」

 「5年前に何が流行ったか考えてほしい」とも。現在の状況の前兆は、5年前からあったという。「パッケージゲーム崩壊の予兆は5年前から韓国のMMORPGですでにあった。5年前、すでに中高生女子はゲームをやっておらず、携帯でプロフをやっていた。今躍進しているWeb企業は、10年前から種をまいていた」

「未来のイメージの戦争」

 今のコンテンツや社会は、「ユーザーにどう物語(ストーリー)を提供するか」の勝負になっているという。

 「コンテンツ単体で提供しても、ユーザーは持続して関心を持ってくれない。何らかのストーリーを提供することが重要。優れた物語がその人の人生の一部になると、お客さんはお金を払い続けてくれる。好きになってくれる物語を供給したり、メタ化された物語を持つ製品を戦略的に作れるかどうかが今の時代の製品開発に求められている」

画像 iPad

 例えばAmebaブログは、「(ブログを書いている)芸能人がストーリーを持っているからうまくいく」。iPadが発表前からネット上で盛り上がったのは、「メタ化したAppleという物語を、事前の情報リークという形で意図的にAppleが提供しているから」と新さんはみる。「KindleとiPad、どちらが勝つか」――こんな論争も、それぞれが物語性を帯びているからこそ盛り上がる。「Kindle対iPadは、巨人対阪神のようなものだ」

 今行われているのは、「未来のイメージの戦争」という。未来を感じさせる商品やサービスを提示することで、それを購入したり、それについてブログに書いたりすることが、「未来の自分に投資している気分にさせる」というのだ。「未来や将来を感じさせる商品やサービスの期待値に対してお金を払わせるスキームだ」

 コンテンツでも同じことが起きているという。例えば「涼宮ハルヒの憂鬱」は、ネット上でユーザーによってさまざまな派生コンテンツが作られ、ヒットした。軸となったのは、文庫に書かれた「ハルヒ憲法(憲章)」。主人公のハルヒならこうするという行動の指針で、これをベースにユーザーがストーリーを作って広げ、ムーブメントを拡大したという。

未来は分からない、だからやるしかない

 激変する時代にビジネスの種をつかむには、新しいサービスやコンテンツ、プラットフォームに「とにかく手を出してみるしかない」という。「昨年の今ごろ、mixiアプリが大ヒットしているとは誰も予想が付かなかった。イノベーションは予測できない。変化の先端に自分がいるかどうかは理解しておくことが重要」

 キーとなるのは「物語」だ。「価格と価値のバランスは壊れっぱなしで戻ってこない。それを止める役割として物語を使う。プラットフォームを設計し、価格、サービス体系を設計し、ユーザーに提供するしかない」

 チャンスはたくさんあるという。「種は転がっている。それらの種がどこで芽吹くかだ。いまマーケットに存在しているものの中で、何をひも付けると収益をあげられるか考えるべき。周辺が砂のように崩れ、さまざまなプラットフォームが乱立する中、崩れないものは何かを問うしかない」

 例えば「代替現実ゲーム」と呼ばれる、虚構が現実を浸食するゲームは、iPhoneと組み合わせれば大きな可能性があると新さんはみている。

 「ハードの性能は上がり、あふれるものや変化によって乗り換えるものが次から次に出てきて、そのたびに富のチャンスは変わる。社会的批判を受けることもあるかもしれないが、チャンスを探してもらえば」

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」