連載
» 2010年10月28日 13時23分 公開

成るか怒涛のオーバーテイク! 「エキゾースト・ヒート」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

連載第90回は「エキゾースト・ヒート」。といっても声優の子安武人さんが作った「Backlash 恋のエキゾースト・ヒート」ではなくて、セタがスーパーファミコン用にリリースしたレースゲームの方です。

[ゲイムマン,ITmedia]

前世紀GPX 普通のフォーミュラ

先日F1日本グランプリが行われた鈴鹿にて。5年前にも来たことがあるが、スタンドはまったく新しくなっていた

 「エキゾースト・ヒート」(セタ)は、1992年に発売された、スーパーファミコン用レースゲームだ。

 スーパーファミコンではローンチタイトル(ゲーム機と同時発売されたソフト)として、レースゲーム「F-ZERO」(任天堂)が登場している。この連載でも過去に取り上げているが、ハードウェアの持つ、画面の拡大・縮小・回転機能をうまく使ったゲームだった。500年以上先の未来で、時速500キロを超えるマシンで争う、架空のレースが行なわれているという設定。

 一方、1990年代前半といえば、F1ブームの真っただ中。この連載でも過去に取り上げた、「ファミリーサーキット」(ナムコ)や、「スーパーモナコGP」(セガ)をはじめ、F1をモチーフにしたレースゲームが、数多く発売されている。

 F1ブームの頃は多くの人が、チームによってマシンの速さがかなり違うことや、下位のチームで目立つ成績を上げたドライバーが、上位のチームに移籍することを知っていた。RPGのレベルアップに似た要素だったこともあり、レースゲームにもチームの移籍ができるものが多かった。


レーススタート直後の画面。8台のマシンが全16戦で速さを競う

 「エキゾースト・ヒート」は、「F-ZERO」と同じ3D視点のレースゲームだが、多くのF1レースゲームと同じように、遅いマシンでのスタートから、ゲームを進める間に、少しずつ速いマシンに乗れるようになる。ただし、移籍によるステップアップではない。レースの賞金で、いいパーツを買いそろえていくのだ。

おねだん以上、ニトロ

 買えるパーツの種類は多い。シャシー、ミッション、ブレーキ、サスペンション、ディフューザー、フロントウイング、リアウイング、タイヤ、エンジン。あと、一時的にスピードを上げるニトロもある。

 パーツ購入画面では、マシンが大きく表示され、パーツを変えるとそのマシンに新しいパーツがセットされる。奥にあるパーツがセットされる場合は、その手前のパーツがいったん外される。例えばミッションを買ったときは、リアウイング、サス、タイヤ、ブレーキ、ディフューザーが外されていき、ミッションが交換された後、それらのパーツがすべて元に戻されるのだ。普通だったらその時間がわずらわしく感じられるものだが、パーツのつけ外しが小気味よく行なわれるので、むしろ一連の動きを見ているのが何だか気持ちいい。

 レースで得られる賞金は、もちろん順位によって変わる。だから高いパーツを早く買うために、1つでも上の順位を目指そうというモチベーションがわく。パーツの種類が多いだけに、どれを買うか考えるのも楽しい。また、初期状態のマシンでも頑張れば表彰台には立てるので、レース後すぐにパーツを買うか、それともお金を貯めて、次のレース後にもうワンランク上のパーツを買うか、これも頭を悩ませる要素。

 予選終了後、決勝の前に参加料として1000ドルが徴収される。所持金がそれ以下の場合でもマイナスにはならないので、1000ドルを切ったら何か買えるものを買っておいた方がいい。わたしは消耗品のタイヤやニトロで調整した。

 あと、コースの壁や敵車にぶつかるとマシンにダメージを受けるが、その修理費用がレース後、賞金からマイナスされる。あまり大きな額ではないとはいえ、慎重な走りを心掛けたくなる。

この画面でパーツを購入する。値段もさることながら、コースに合ったものを選ぶことも重要
すべてのパーツを最高ランクの物にした状態。隣の写真と比べてみよう。マシン自体にも細かな変化がある
レース後、獲得賞金と修理代が表示される。画面いっぱいに札束が飛んでいる

ブレーキの壊れたレースカー

 レースは全16戦。この時代までのレースゲームは、現在主流のリアルなものとは異なり、コーナーのほとんどをアクセル全開で回ることができた。「エキゾースト・ヒート」も、ヘアピンカーブや一部のシケインを除けば、フルスロットル、もしくはちょっとアクセルをゆるめる程度で楽に回れる。ましてやブレーキを使う場面など皆無に近い。

 わたしはここ数年、まったくレースゲームをやっていないのだが、こういうゲームバランスに慣れてしまっているので、リアルな挙動のマシンがコントロールできないのだ。実際の車であれば横Gがかかるから、「これ以上のスピードで進入したらやばい」というリミットが感覚でわかるはずなのだが、ゲームではそれもないし。

 「エキゾースト・ヒート」では、プレイヤーがゲームに慣れやすいようにという配慮からか、きついコーナーのないイタリアのコースからスタートし、同じく高速コースのイギリス、ドイツと転戦。アクセルベタ踏みではコーナーを回れないアメリカやモナコは終盤で、最終戦は日本だ。

 でも実は、きついコーナーではほかのマシンがより速度を落とすから、テクニカルなコースの方が順位を上げやすい。わたしはハンガリーがいちばん走りやすかった。

これくらいのコーナーだったらフルスロットルで回れる
敵車はコーナーで律儀にスピードを落とすので、そこで追い抜くことができる
雨の日はレインタイヤが必須。セッティングに入る前に天気が表示されるが、小さくて気づきにくいのが難点

 ランオフエリアが広いことも、ぬるいゲーマーにはありがたい。多少コースを外れてもいいので、のびのび走れる。サーキットによっては、この広いランオフエリアを使ったショートカットが可能。特にフランスとオーストラリアで有効だ。

 本戦(3周)の前に予選が2周あるのだが、予選の順位はあまりレースに影響しない。マシンは8台しか出ないから、最悪でも8番グリッド。決勝で挽回できる。むしろスタート直後は敵車に抜かれることが多く、予選で上位に入るメリットも薄い。予選は必ず2周走る必要があるが、1周でやめられるようにしても良かったかもしれない。

フランスではいちばん鋭角なコーナーで、大胆なショートカットが可能
モナコやアメリカといったストリートコースでは、ランオフエリアが狭くなる。壁にぶつかると大幅なタイムロス
敵車にハードヒットするとさすがにスピンする。復帰する際、逆走しないよう注意が必要

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/1605/20/news111.jpg 絶対にプラスチックのカップで「焼きプリン」を作るという執念 森永「焼きプリン」の製法特許がすごいと話題
  2. /nl/articles/2312/09/news033.jpg 13年外につながれボロボロのおばあちゃんワンコを保護 人間を信じ始める姿に涙「今まで苦労した分以上の幸せな余生を送れますように」
  3. /nl/articles/2312/10/news011.jpg 犬同伴OKのビュッフェに柴犬と行ったら…… 全く別の楽しみ方をしてしまう姿に「かわいいいいい」「気持ちよさそう」
  4. /nl/articles/2312/10/news019.jpg 入院で2週間不在だったママを待ち続けた猫、再会の瞬間…… 涙を誘う喜びあふれる“お返事”に「深い絆に涙が」「嬉しさがひしひしと」
  5. /nl/articles/2312/10/news018.jpg 同居猫のおしりを嗅いで「テメェ屁こいたなぁ!!!!!??(怒)」と理不尽ギレする猫の姿に抱腹絶倒「夜中に爆笑させないで」「名作」
  6. /nl/articles/2312/10/news061.jpg 遠藤憲一、保護犬を家族に迎える 「保護時には栄養失調と足に怪我を」悲しい過去も、ウキウキお散歩ショットにほっこり
  7. /nl/articles/2312/08/news013.jpg 愛猫が息を引き取る直前「ありがとう、楽しかったよ」と声を掛けたら…… 家族みんなが久々に集った夜の奇跡に涙
  8. /nl/articles/2312/09/news081.jpg 短編ホラーゲーム「8番出口」で“開発者も知らない異変”が発生し笑いと恐怖 「マジでホラー」「本物の『怪異』だ」
  9. /nl/articles/2312/10/news033.jpg 捨てられて真っ黒だった元野良猫が、家猫になった今では…… 真っ白で幸せいっぱいの暮らしに「ほんときれいな美猫さんに」「胸が熱くなる」
  10. /nl/articles/2312/08/news180.jpg ミス東大の水着グラビアデビューに「東大まで行って」と失望の声 本人&現役グラドルも加わるネット論争に
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」