見えないものの見える化、シャープの「プラズマクラスター空気清浄機」:売れるのには理由がある(2/2 ページ)
航空力学の応用、空気の流れが最重要
空気の循環、空気の流れについて触れたが、空気清浄機で最重要なのはこの空気の流れに他ならない。
強力な集じんフィルター、脱臭フィルターを搭載していたとしても、部屋の隅々の空気を吸い込み、循環させることができなければフィルターが効果を発揮することはない。せっかくの空気清浄機もただの箱だ。
そこでシャープでは航空力学に造詣のある気流制御の専門家が空気清浄機の開発に携わり、独自循環気流で集じんスピートのアップをしているという。
最後の決め手は口コミだった
シャープの空気清浄機事業は1987年に開始された。そして、2000年に初めてプラズマクラスターが空気清浄機FU-L40Xに搭載された。以来、10年以上の歴史を持つシャープのプラズマクラスター空気清浄機だが、「アカデミックマーケティング」でより効果的な商品の開発を進め、効果のほどを示しただけで順調に販売が推移したのかといえば、そうではなかったという。
そこで重要な役割を果たしたものがあった。最初に「見えないから分かりくい」「使わないと分からない」製品と書いたが、逆に言えば「使えば分かる」のである。
仮に、Twitterで「しばらくつけっぱなしにしていたら、部屋のしつこいタバコのニオイが消えちゃってビックリ!」と誰かがツイートしたらどう思うだろう?
ある意味、販売店でオススメされたときよりも、CMを見たときよりも良い印象が残らないだろうか? つまり、ここで注目したいのは使った人の情報、口コミの重要性だ。
昨今はTwitterや掲示板などインターネット上の口コミということになるだろうが、同じようなことはインターネットが今ほど普及していなかった昔からあったという。
近所の人が良いと言っていた、親戚が使っていて良いと言っていたということも口コミの一形態だが、家電販売店が口コミを広げてくれるケースも多かったそうだ。
販売員がプラズマクラスター空気清浄機を購入し使ってみて、良かったと顧客に勧める。購入し使ってみた顧客が店舗に立ち寄って、効果のほどを販売員に話す。販売員がその話を別の顧客に伝えたり、店内に掲示するというあんばいだ。
製品の効果を明らかにするための第三者機関のデータがある。しかし、最終的に決め手となったのが、実際に使用した顧客の口コミだったというのは興味深い事実だ。
ちなみにインタビューに同席した広報担当者に、前述のような口コミの拡散に関して社として「何か仕掛けたことや、仕掛ける予定があるか?」と質問したところ、今までしたこともないし、今のところ広報宣伝に組み込む予定も特にないということだった。
企業によってはネット対策室のようなものを作り、掲示板などを巡回して対策しているとの噂も聞く。だがシャープとしては、あくまでも製品の性能や効果が最初にあり、その結実としての口コミという認識で、これからも機能や使い勝手を高めていけば結果は自ずとついてくるというのが今のところの考えのようだ。
使い勝手のさらなる向上
製品の性能が良ければそれで良いのかといえばそれだけでは良くないのが、家庭で日常的に使用される家電の難しいところだろう。そう、使い勝手の問題だ。
使い勝手を向上させるためには、当然、社内の老若男女に試用してもらう。さらに、パネルなどの使い勝手についての意見がほしければあまり空気清浄機を試用したことがない人に、以前の製品からの改良点を実感できるかどうかが知りたければ、シャープの空気清浄機を使用している人に試用を依頼するなどする。その中でメンテナンスのしにくさや、不便な面を指摘されることがあれば応えていく。
最新機種では一部の機種を除いてフィルターは10年間交換不要になり、集まったホコリに関してはフィルターを引き出したりすることなく、掃除機で空気清浄機後部パネルを掃除するだけで良くなった(加湿フィルターや洗える脱臭フィルターは、定期的な手入れが必要である)。
加えて、ハンドル付き給水タンクは自立するようになり、力がない女性でも楽に給水できるようになり、吸水口が広く手が入るので日々のメンテナンスもしやすくなった。
また、本来のプラズマクラスター空気清浄機の推奨される使用方法は、常時電源を入れておくというものだが、電気代を気にして外出時には切ってしまう事例があった。
そのことなどから、24時間あたりの電気代の目安をデジタル表示できる「電気代モニター」も搭載した。
電気使用量ではなく、24時間の電気代の目安を円で表示してくれるのが好評だそうで、電気代(24時間)の目安は、KI-AX70が加湿空気清浄(強)運転した際に約23円という、電源を入れておいたままにしても気にならない程度だ。
シャープのプラズマクラスター搭載空気清浄機事業は11年目ということで、製品も熟成の感がある。しかし、それに安穏とせず、製品本来の機能、そして使い勝手を新製品ごとに改良、向上させていくという姿勢が、口コミで良いエピソードが拡散していく秘訣なのではないだろうか。
関連記事
- ナノイーとアシストイオンで菌を抑制 パナソニック加湿空気清浄機発売
「ひとセンサー」と「メガキャッチャー」の連動でハウスダスト集じんスピードも向上。パナソニックの加湿空気清浄機が10月10日4機種発売される。 - 初めての臨床試験:プラズマクラスターでインフルエンザ感染率を3割減
シャープが研究機関に委託した臨床試験において、高濃度プラズマクラスターイオンはインフルエンザウイルス感染率を低減させる傾向があると確認された。 - 花粉も素早く吸い取る:シャープ、吸じんスピードを倍にしたプラズマクラスター加湿空気清浄機
シャープは、空気力学を応用した「エアロフォルム」の採用により、従来機に比べて吸じんスピードを約2倍に向上させるなど、基本性能をアップしたプラズマクラスター加湿空気清浄機の新製品を発表した。11月中旬から順次発売する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
-
「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
-
友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
-
後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
-
毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
-
「これは家宝級」 リサイクルショップで買った3000円家具→“まさかの企業”が作っていた「幻の品」で大仰天
-
「人のような寝方……」 “猫とは思えぬ姿”で和室に寝っ転がる姿が377万表示の人気 「見ろのヴィーナス」
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
山奥で数十年放置された“コケと泥だらけ”の水槽→丹念に掃除したら…… スッキリよみがえった姿に「いや〜凄い凄い」と210万再生
-
余りがちなクリアファイルをリメイクしたら…… 暮らしや旅先で必ず役に立つアイテムに大変身「目からウロコ」「使いやすそう!」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」