アイテム課金はゲームバランスを著しく崩す? 「脱・アイテム課金」に向け動き出した、あるオンラインゲームの取り組み日々是遊戯

ソーシャルゲームやオンラインゲームで現在主流の「アイテム課金制」。これに真っ向から異を唱えたMMORPGがありました。

» 2012年01月26日 20時02分 公開
[池谷勇人,ITmedia]

アイテム課金は「ゲームバランスを著しく崩す」危険

 「登録無料!」「基本プレイ料金無料!」

 オンラインゲームの広告を見ると、とにかく目立つのが「基本無料」「登録無料」といった文字。現在運営されているPC用オンラインゲームの多くは、基本プレイ料金無料で遊べるかわりに、ゲーム内アイテムを有料にて販売することで利益を得る「アイテム課金制」と呼ばれるモデルを採用しています。

 しかし、この「アイテム課金制」に異を唱え、「脱・アイテム課金」に向けて動き出したオンラインゲームがありました。Ankama Japanが運営するMMORPG「DOFUS(ドフス)」がそれで、先日行われたアップデートを機に、従来の課金システムを大幅に見直し、今後は月額制に近い形へ近づけていくことを発表しています。

画像 「DOFUS」の画面写真。MMORPGとしては珍しく、フランスで開発されたゲームです

 「DOFUS」を運営するAnkama Japanは、アイテム課金モデルが抱える大きな問題の1つとして、「お金のあるプレイヤーが、お金があるというだけで力を持てる」という点を挙げ、同時に「ゲームバランスを著しく崩す危険」もあると指摘します。

「アイテム課金に頼るかぎり、いつかは課金をする人とそうでない人との間に大きな差が生まれることになります。プレイヤーの皆さんに始終『買い物』を強い、お金を払うことでしか手に入らないアイテムを提供しつづけなければならないでしょう」(リリース資料より)

 もともと「DOFUS」では、アイテム課金制を採用していたとは言え、上記のような点を踏まえ、ゲームバランスを崩さない程度の、最低限のアイテム(プレイヤーの見た目を着飾るためのアイテムなど)を中心に販売していました。今回のアップデートではそれをさらにもう一歩進め、「プレミアムモード」という権利を新たに販売する形となります。

 プレミアムモードの利用権は、30日あたり500オグリン(1オグリン=1円)で販売。また2万オグリンで「永久会員」権も購入できるほか、これまでに累計5万オグリン以上使っている人は自動的に「永久会員」扱いになるそうです。プレミアムモード加入中は、経験値やドロップ率に5%のボーナスが付くほか、移動可能なマップやレベル、クラスなどの制限などがなくなり、ゲーム内のすべてのコンテンツにアクセス可能に。基本プランとの違いは以下のとおりとなっています。

画像 プレミアムモードと基本プランの比較

 「月額制に近い形」を目指すというだけあって、こうして見ると、ある程度遊んだあとはほぼプレミアムモード加入が必須と言ってよさそう。「モンスターハンターフロンティア」も、無料の「トライアルコース」ではハンターランク2までしかプレイできませんが、仕組みとしてはそれに近いかもしれません。なお、プレミアムモードに入らないでどれくらいまで遊べるかAnkama Japanに聞いてみたところ、「早い人なら、1日あれば上限まで達してしまうかもしれません」とのことでした。

 ちなみに、これまで無料で遊んできた人にとっては、これだと実質「有料化」になってしまうのでは?

「そうですね。ある程度は叩かれるだろうという覚悟もありました。ただ発表後の反応は9割以上が今回のアップデートについて肯定的に見てくれているようで、私たちも驚いています。それだけ従来のアイテム課金モデルに疑問を感じていた人が多かったということかもしれません」(Ankama Japan 広報)

 確かに、アイテム課金制を採用している以上、プレイヤーは常に「お金をかけないとゲームを十分に楽しめないのでは」といった疑念を抱えたままゲームをプレイしなければなりません。高額な課金につながりがちな「ガチャ」システム(ガチャガチャのように、ランダムでアイテムが出てくる方式)も、近年では問題視する声が大きくなりつつあり、その点でも今回の「DOFUS」の取り組みは、業界にとって大いに意義のある一歩と言えるのではないでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2408/31/news036.jpg 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほどの変貌が379万表示「そこだけボッ!ってw」 半年後の現在について聞いた
  2. /nl/articles/2408/30/news121.jpg 「地獄絵図」「えぐすぎやろ……」 静岡・焼津市の地下歩道が冠水 “信じられない光景”にネットあぜん
  3. /nl/articles/2408/31/news073.jpg 「よくこんなものが……」 米不足でメルカリに米出品→疑問の声も 運営は“禁止出品物”に「然るべき対応」
  4. /nl/articles/2408/31/news025.jpg 次男に塩対応の柴犬、いよいよ次男の帰省最終日を迎え…… 本音が出た瞬間に「不意に泣かせるのやめて欲しい」と感動の声
  5. /nl/articles/2408/30/news017.jpg 最上位グレードのハイエースを“50万円の底値”で購入したら…… 驚きの実物に「ある意味最強」「正直、羨ましい」
  6. /nl/articles/2408/30/news188.jpg 実写「着せ恋」、キャストに物議 海夢の再現度が高すぎるタレントを推す声あがる 「逆になんであかせあかりさん以外の人……」
  7. /nl/articles/2408/29/news193.jpg 「なんで欲しいと思ったんですか?」 酔った勢いで購入 → 後日届いた“まさかの商品”に反響 「理性あったら買わないw」
  8. /nl/articles/2408/28/news142.jpg 明石家さんま、69歳バースデー迎え長男から幸せ呼ぶ“輝かしいプレゼント” 同席した元妻・大竹しのぶは「最高の笑顔でした」
  9. /nl/articles/2408/31/news084.jpg 仕事早いな! 大谷翔平の愛犬“デコピン”、大反響の始球式がさっそくTシャツ化 「こ、これは……」「欲しい!」と爆売れの予感
  10. /nl/articles/2408/30/news113.jpg 「これ600円なの?」 大谷翔平が長く愛用しているデコピンの“おやつ入れ”、始球式で注目「おそろだった」「真美子さんが選んだのかな」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  2. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  3. 「苦手な芸能人は誰?」 あのちゃん、女性芸能人を“実名で即答” 「ここ最近で一番笑った」「強すぎる」
  4. ホテルでチェックアウト、忘れ物で多いのは? ホテル従業員が教える「圧倒的に多い忘れ物」
  5. 乳がん闘病中の梅宮アンナ、抗がん剤治療で「髪の毛ほとんどなくなっています」 帽子かぶり「ああ、来たか」
  6. 「キティちゃんのお面だと思ったら……」 ひっくり返すと“まさかの正体”に11万いいね
  7. 「凄すぎる…」「ガチで滝」 “市ケ谷駅の冠水”が衝撃与える 階段に大量の水が流れる様子も…… 東京メトロに経緯を取材
  8. 「早すぎます」「一体なにが」 52歳ボディービルダー、訃報1週間前に最期の投稿で“人生初の試み” 恋人は「亡くなる数時間前まで普通にお出かけも」
  9. お盆で帰省した次男に、柴犬も猫もまさかの反応→どちらも豹変して爆笑 「涙出てきました」「おもろ可愛過ぎ(笑)」
  10. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」