「丸の内タニタ食堂」には、200万円オーバーの最高グレード業務用体組成計があるガジェット視点の体験記(3/3 ページ)

» 2012年04月27日 09時10分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
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回転率が悪くて正しいタニタ食堂?

 最後に「丸の内タニタ食堂」事業責任者である、タニタ NS事業部 部長の南修二氏に「丸の内タニタ食堂」のコンセプトや、今後、東京以外で食べることができるようになるのかなどなど、お話をうかがった。

画像 「丸の内タニタ食堂」事業責任者の南修二氏。左胸に固定しているのは、タニタ製の活動量計カロリズムだ。「丸の内タニタ食堂」でも販売していて、想像していたよりも売れているとのこと

―― 「丸の内タニタ食堂」でタニタ製品が活用されていることは分かりましたが、それ以外に「はかり」メーカーのタニタが運営する食堂ということで、ほかの飲食店との違いはあるのでしょうか?

南氏 そもそも、「健康をはかる」を経営の柱とする企業としてタニタ社員の健康を向上させたいと始めたのがタニタの社員食堂の取り組みです。そのヘルシーメニューを、一般のお客様にもご提供したいというのがコンセプトなんです。社員食堂のレシピ本も発行されていて好評いただいていたのですが、それが今回もっとダイレクトな形でお届けできるようになったということですね。タニタ食堂のレシピの特長とては、カロリーを抑えるだけでなく、腹持ちが良くなるような工夫があります。間食してしまっては何もならないので。

 ほかの飲食店との違いはいろいろありますが、メニューが2つしかない以外にも、「ゆっくり時間をかけて食べていただくことを推奨している」ということがあります。時間当たりのお客様の来店数が多いのが通常の飲食店では良いとされていますから、わざわざ「回転率を悪くしている」というのはまずないでしょう。飲食店関係者が視察に来店されることも多いのですが、レシピなどは大いに参考にしていただける自信作ばかりですが、この点は参考にならないのではないでしょうか(笑)。飲食店として、おいしいものを提供するというのは当然考えますが、我々としてはそれだけを追求するのではなくお客様の健康を考えるのがいちばんだということです。

―― 体験したいのに混んでいてなかなか入ることができない、食べることができないという声もあるようですが、営業時間を延長して夕食も食べることができるようになることはないのでしょうか? また、東京以外で食べることができるようにならないのでしょうか?

南氏 その点は、お客様にお詫びしなければなりません。せっかく期待して来ていただいて、食べられないというのは本当に申し訳ないことです。ホームページでもお知らせしておりますが、現在、営業時間は午前11時から午後3時までとなっており、今のところ延長の予定はありません。将来的には夕食も食べていただけるようになれば良いとは思うのですが、まだ1月の開店より3カ月ということもあり、我々としてもまずはお昼を最高クォリティのサービスでご提供できるように取り組んでいるところです。

 混雑に関しましては、開店当初混乱して申し訳なかったのですが、ホームページでもお知らせしておりますとおり、当日の整理券を午前8時30分より店頭にて配布しています。こちらはお1人様1枚の配布で入店時間帯を記載したものですので、待っているお客様がいて早く食べなければならないということにはならず、落ち着いてお食事を楽しんでいただけます。

 それから4月11日より17日まで、「丸の内タニタ食堂」の特製ランチボックスを三越銀座店で先行販売しました。今回は1週間の期間限定だったのですが、夏ぐらいを目途に生産体制を整えて三越銀座店と当店でも常時販売予定です。その動向を見ながらということになりますが、好評であれば三越さんにも銀座店以外の他店舗の販売を考えていただけるかもしれません。そうなれば、もっと多くのお客様にタニタ食堂のレシピをお届けできるのではないかと思います。

―― はかりメーカーの社員としては、飲食店責任者というのは初めての経験だと思うのですが、当初思っていたことと違ったことやオフィスではなく店舗にいることで感じることはありますか?

南氏 私は営業時間中、なるべく店舗内に立っているようにしていますが、やはりダイレクトにお客様に接する、お客様の顔を見ることができるというのが一番大きな違いです。今まで経験してきた部署でも、製品アンケートなどでお客様の意見や要望に触れる機会はありました。それが「丸の内タニタ食堂」では、何か問題があったとき直接お客様に貴重なご意見をうかがえますし、「おいしかった」というお客様の一言も本当にうれしいですね。スタッフにとっても、それが何より一番のモチベーションになっています。現場でうかがったことを持ち帰って判断するのではなくその場で即対応するという、スピード感の違いもありますね。

 飲食店勤務してみて「思っていたことと違った」ということではないのですが、当初は近辺のオフィス、企業にお勤めのお客様が多いのだろうなと想像していたのです。でも、実際は近辺のお客様に混じって、大きなカバンやキャリーカートをお持ちのお客様がけっこういらっしゃいます。東京新名所として、東京観光のついでに立ち寄っていただいているようなんですね。そういったお客様は、「タニタ食堂のお茶碗」を買っていかれることも多いです。たぶん、ご家族や友人に「タニタ食堂へ行って来たよ!」と報告されるのだと思います。

 茶碗のほかにも、店内でデジタルクッキングスケールやデジタルタイマーなどタニタ製品も販売しているのですが思った以上に売れています。特に女性のお客様に活動量計カロリズムが人気ですね。きっと、「この定食は500キロカロリー」と摂取カロリーが分かると、「消費カロリーはどうなっているんだろう?」と知りたくなるのだと思います。

画像 タニタ食堂で使用、販売もされているお茶碗(販売価格1600円)。内側にラインが引かれており、計量しなくてもご飯の量が分かるようになっている。ちょっと高めの価格設定なのは、そもそもタニタ食堂で使用するための業務用を「売ってほしい」という要望に応えて販売するようになったため。強度も市販品より高く丈夫だ

―― この分量の定食が、1食800円〜900円は高い感じる人もいるようですがその点はいかがでしょうか?

南氏 「社員食堂」というイメージで来店されるとそういうイメージになってしまうのかもしれません。でも、特に何産だとうたっているわけではありませんが、材料やダシや味噌など妥協せずに厳選したものを使用しています。それに加えて、カロリーは低くても栄養価は高くするために、野菜を1食、最低10種類使っています。通常、外食でそれだけ多くの野菜が使われていることはまずないんですね。ですから、決して原価率が低いということはないんです。素材はひとつひとつ大きめに切っていますし、お肉にしても油を取るという手間をかけています。食べてみると「ちょっとあっさりしているな」という印象だけかもしれないのですが、そういった見えない部分に妥協せず調理工程をかけると、人件費、食材費もそれなりにかかってしまうんです。

画像 この日の「日替わり定食」おかずのアップ。ちょっと見ただけでも彩りの豊かな野菜が、ふんだんに使われているのが分かるが、1食10種類以上もの野菜が入っている

―― 読者の皆さん、今度一度行ってみようかなと思っている皆さんにメッセージをお願いします。

南氏 遠方の皆さんはなかなかいらっしゃるのも大変だとは思うのですが、ぜひ一度お越しいただいて、「丸の内タニタ食堂」で体験したことを調理のコツやコンセプトをご自宅で再現していただきたいと思います。やはり、良い食生活を継続していただき、健康になっていただきたいというのが私たちの一番の願いなんです。近隣の皆さんであれば、1カ月通い続けていただければ確実になんらかの効果はあると思います。オープン直後から、週3〜4日通っていただいて5キログラム体重が減ったお客様もいらっしゃいます。もちろん、お客様が運動されたりしたご自身の努力が実った結果ですが、「『丸の内タニタ食堂』も一因だね」とおっしゃっていただけたので、私たちも良いお手伝いができたと喜んでいます。お昼は「丸の内タニタ食堂」という意識をひとつ持っていただくだけでも違いがでてくる、健康的な食生活を継続するファクターになるんですね。

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