第20回:プレイヤー同士でいざ勝負! 対戦プレイはなぜ面白いのか?なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/4 ページ)

» 2012年05月25日 16時52分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

プレイヤーが対戦ゲームにますますハマッてしまう絶妙な仕掛けの数々

 スポーツゲームであれば多くの人が対戦ルールを理解しやすい一方、それ以外の独創的な対戦ゲームにもとことんハマってしまうプレイヤーが続出するのはいったいなぜなのでしょうか? ここからは、ゲーム開発者たちが知恵を結集させて作り上げた、対戦ゲームならではの面白いアイデアの数々を見ていくことにしましょう。

 アーケードゲームにおいて、デモ画面中によく表示されるのが「INSERT COIN」という言葉。直訳すれば「コインを入れてください」という意味で、つまり道行く人に遊んでほしいと無言のアピールをしているわけですが、ただこれだけでは正直インパクトに欠けている感は否めません。

 実は先ほどご紹介した「ストII」シリーズでは、ユーザーに対戦プレイをうながすためのある斬新なアイデアを盛り込んでいます。そのアイデアとは、キャラクター選択時にスタートボタンをしばらく押しっ放しにしてからゲームを始めると、画面上部(※空いているプレイヤー側の得点表示部分)に、「求む! 対戦プレイ」などというメッセージを「INSERT COIN」と交互に映し出されるようにしたことです(※)。

※筆者注:メッセージ表示を変えられるシステムは、シリーズ第2弾の「ストII'」以降に搭載されたアイデアです。よって初代「ストII」にはこの機能がありません。

 以下のムービーは、1992年に発売されたシリーズ第2弾の「ストリートファイターII'」でメッセージを変更したときとそうでないときの様子を収録したものです。これを見ていただければ、メッセージをちょっと追加しただけで見た目の印象がガラっと変わるのがお分かりになるでしょう。ゲームを初めて見た人に対していつでも乱入対戦ができるシステムになっていることを教えるとともに、プレイ中の人が「俺と対戦しようぜ!」などと通り掛かった人にいちいち声をかけずにすむ効果もあるというワケですね。

 今でこそ対戦相手がいつでも好きなタイミングで乱入できる対戦システムはごく当たり前に存在しますが、昔のゲームは1人プレイでゲームを始めると、そのプレイヤーがいったんゲームオーバーになるまで2人対戦プレイが遊べない設計になっているケースが少なくありませんでした。ですから、いつでも対戦相手を歓迎することを示すメッセージを導入しただけでも画期的なことだったのです。

ムービー:「ストリートファイターII'」
※PS2版「カプコン クラシックス コレクション」を使用。
(C)CAOCOM CO., LTD. 2005,2006,
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2005,2006 ALL RIGHTS RESERVED.

 また、「ストII」シリーズでは誰かが乱入した瞬間に「HERE COMES A NEW CHALLENGER!」(※挑戦者現わる、の意味)と表示する演出を盛り込んだのも素晴らしいアイデアだったと筆者は思います。なぜならたったこれだけのメッセージでも、プレイヤーは一瞬にして「おっ、来たな。かかってこいや!」とか、「あっ、乱入されちゃった。勝てるかなぁ……」などといったように、CPU戦とはまた違った緊張感が味わえるからです。実際、筆者も「ストII」などでよく遊んでいた時代はCPU戦に夢中で別のプレイヤーが近付いていたことに気づかず、上記のようなメッセージが突然画面に現れてビックリした経験が何度となくあります。

 このような演出は同時代に登場した多くのアーケード用対戦ゲームにも採用され、SNK(現:SNKプレイモア)が発売した「龍虎の拳」や「サムライスピリッツ」、あるいはセガの「バーチャファイター」やナムコの「鉄拳」などの各シリーズでも定番の演出となりました。

画像画像画像

画像画像画像 対戦相手が登場したことを示すメッセージが表示されると、プレイヤーの緊張感がぐっと高まるのも対戦ゲームの大きなだいご味です
(※写真は「ストリートファイターII'」「サムライスピリッツ」「バーチャファイター4 エボリューション」)
※「ストリートファイターII'」:PS2版「カプコン クラシックス コレクション」を使用
※「サムライスピリッツ」:Wiiバーチャルコンソール版を使用
※「バーチャファイター4 エボリューション」:PS2版を使用
(C)CAOCOM CO., LTD. 2005,2006,
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2005,2006 ALL RIGHTS RESERVED.
(C)Copyright 2008 SNK PLAYMORE CORPORATION All rights reserved.
(C)D4 Enterprise,inc.
Oriniginal Game (C)SEGA (C)SEGA-AM2/SEGA,2001,2003

 ビデオゲームにおいてスコア(得点)の存在は総じて欠かせないものですが、「バーチャファイター」や「鉄拳」シリーズにはこのシステムがありません(※)。ですが、得点の代わりにプレイヤーの実力や達成感を示す指標はちゃんと用意されています。

 対戦格闘ゲーム好きの方であればもうお分かりですね? これらのゲームでは、勝ち残ったプレイヤー側に「WINS:3」とか「5連勝中」などと連勝記録を表示することによって、プレイヤーに充足感を与えているのです。また一部のシリーズ作品に限られますが、連勝を続けるプレイヤーが出現すると「連勝記録を止めろ!」などというメッセージが新たに表示されたり、連勝数といっしょに特殊なマークが出現する演出なども加えてさらに見た目を楽しくしているタイトルも存在します。

※筆者注:1人プレイ時は得点ではなく、全ステージクリアまでのプレイ時間によってランキングを集計するタイムアタックの仕様が存在します。

 連勝記録を表示すると、現在プレイ中の人の強さがある程度分かるようになるメリットも生じます。もし相手の連勝した数と自分の最高連勝記録がほぼ同じであれば、「よし、俺がアイツをつぶしてやる!」などと他のプレイヤーの挑戦意欲をあおるとともに、初心者が相手の力量を悟れずにうっかり乱入してあっという間に負かされずにすむというワケですね。また「サムライスピリッツ」シリーズなどでは、デモ画面中に勝ち抜き人数の多いプレイヤーのランキングを表示するアイデアを導入した作品もあります。これもハイスコア表示と同様に、そのお店にはどのくらい上手なプレイヤーがいるのかを示す効果があり、プレイヤーに再びお店に足を運ばせるための工夫の一環であると言えるでしょう。

画像画像

画像画像 「バーチャファイター」「鉄拳」シリーズは、得点の代わりに連勝記録などを表示することでプレイヤーの挑戦意欲をあおるのが特徴です
※「バーチャファイター4 エボリューション」:PS2版を使用
※「鉄拳3」:PS版を使用
Oriniginal Game (C)SEGA (C)SEGA-AM2/SEGA,2001,2003
(C)1994 1995 1996 1998 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」