水島精二氏にアイドルについて聞いた! アイドルってなんぞ?アニメ「アイカツ!」スーパーバイザー(1/3 ページ)

水島精二氏というとアニメに詳しい読者諸兄姉には「機動戦士ガンダム00」などの監督として認知されているかもしれません。その水島氏がスーパーバイザーを務めるアニメ「アイカツ!」にちなみ、水島監督にアイドルのことなどを聞いてきました。

» 2013年03月29日 20時45分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
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木村監督を水島氏がバックアップ

 水島精二氏は、アニメーション作品「機動戦士ガンダム00」「鋼の錬金術師」の監督として知られているのではないかと思います。今回は、その水島氏が監督としてではなく、スーパーバイザーを務める、少女がトップアイドルを目指すというストーリーのアニメ「アイカツ!」にちなみアイドルについて聞きます。

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―― まず、水島さんがどのように、現在放送中のテレビアニメーション番組「アイカツ!」のスーパーバイザーを担当することになったのか教えてください。

水島氏 実は最初、「アイカツ!」の監督をやらないかというオファーがあったのですが、ちょうど他の作品とバッティングしてしまってお断りしたんですよ。そこで、「木村隆一さんに監督をしてもらい、水島さんがバックアップするというのはどうですか?」という提案をいただきまして。

 木村さんには、「夏色キセキ」や「はなまる幼稚園」といった少女を描く作品を監督したときに、副監督として腕を振るってもらっていて、彼の素直な作風やにじみ出る優しさには感心していて「この作品には向いているな」と思い快諾しました。

 僕はどちらかというと人の心の闇に焦点を当てるような作品を多く監督しているので、例えば「正義」というセリフひとつとっても、その言葉のまま受け取ってもらえないことが多いんです。「『正義』といっているけれども、水島のことだから、裏にはきっと別の意味があるぞ!?」と勘ぐられてしまって。別に何もないのに……。

 木村監督ならその手の心配は皆無なので、僕がやるよりいいんじゃないかというのもあって。まあ、僕の名前もクレジットされているので、「まだ油断はできないぞ」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)。

画像 サンライズ制作のアニメーション「アイカツ!」は、テレビ東京系列で毎週木曜日夕方の6時から、BSジャパンで毎週月曜日夕方の5時から放送中

タイアップ企画の相乗効果

―― そういった経緯でスーパーバイザーになられたのですね。ところで「アイカツ!」のスーパーバイザーというのは、具体的には何を担当されているのでしょうか?

水島氏 劇中の歌や音楽の制作を中心に、アニメーション制作やプロジェクト全体へのアドバイスをするなど、木村監督を実作業面でフォローしています。木村監督は1年間のスパンで放送される作品というのは初めてだったのと、制作期間に余裕がなかったので、スタート時の全体的な取り組みや整理をお手伝いしました。

 それから、アニメ「アイカツ!」は、ゲーム「データカードダス アイカツ!」ありきの作品なので、バンダイの担当さんたちと設定などを協議して決めることも多いんです。それで、そういった部分での関係も早めに構築できるように、プロデューサーとともに橋渡ししました。

―― 「アイカツ!」はゲームが原作のコラボレーション作品ということで、他の作品と違った部分はありますか?

水島氏 「機動戦士ガンダム00」を監督したときもそうだったのですが、僕の考え方は「ある物はすべて作中でも使う」というものです。「ガンダム」は、必ずガンプラにしてもらえるという幸運な作品ですから、もうこれは動きから何まで完全再現できるものをデザインしようということで、変形機構なども立体化を前提として考えていました。バンダイの担当さんにも、「メカ設定打ち(合わせ)」に出席してもらって、細部まで相談して進めました。

 それと同じで、「アイカツ!」の場合も、ゲーム中のアイテム、商品として予定されるものを可能な限り作中に盛り込むこと、再現することを現場に働きかけました。アニメやゲームに限らず、タイアップものというのは、両者、あるいは周囲で支え合って盛り上がるものだと思うんですね。

 「アニメ版では、それは無理だから……」といってしまうと、それ以上の広がりがないですし。ゲームの設定を盛り込むために「このデータをください」とやり取りしているうちに、何もいわなくても「これは使えませんか?」と、いってもらえるようになったりして協力関係が築かれ、相乗効果で作品の世界が広がっていくんですよ。

 そうすれば、アニメの現場発信で「こんなアイテムをこんな話で登場させるので、商品化できませんか?」なんて提案もできるようになる。これこそがチームワークで、実務担当者同士が親密に話をすることができるようになれば、スムーズに作品情報の共有がはかれるようになりますし、強い信頼関係により、おもしろいアイデアをたくさん出すことができる環境になるんです。

打ち合わせから生まれた「メリッサ」

―― 主題歌をはじめとして、アニメと音楽は切り離せないものだと思いますが、どのように取り組んでいるのでしょうか?

水島氏 僕は、もともと音楽が大好きなので、自分が関わるアニメ作品の音楽にはこだわってきました。作品に合うのであればどんなジャンル、メジャーでも、マイナーでもよいのがアニメソング、映像音楽のよさだと思うんです。だから、先入観にとらわれることなく、カテゴライズで判断することをせず、なんでも聴いてみることにしているんですね。

 とはいえ、僕が監督をはじめたときは不遇な時代で、ある作品でヴィジュアル系バンドとタイアップが決まりかけたのですが、先方のメンバーが「アニメの歌になんか使ってくれるな」といいはじめてご破算になったこともありました。

 「どうせアニメの音楽なんでしょ?」というような偏見がなくなったのは、西川貴教(T.M.Revolution)さんが「機動戦士ガンダムSEED」の主題歌を担当してくださったことが大きかったと思います。映像と音楽というのは親和性の高いものですから、「SEED」を観て「アニメの音楽もスタイリッシュでカッコイイ!」と思ってくれた人がたくさんいたんですね。

 その後もソニー・ミュージックエンタテインメントさんは積極的にアニメーション作品の音楽に取り組んでくれるということだったので、「鋼の錬金術師」を監督する際には、どのアーティストの楽曲が合うのか知るために、ソニーグループのアーティストの曲を聴きまくりました。

 そこでよいなと思ったのが、ポルノグラフィティさんで、サウンドや世界観が作品に合うと伝えたところ、主題歌を担当していただけることになって。それで打ち合わせをし、作品と向かい合って作っていただけたのが「メリッサ」という曲なんです。

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