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» 2013年03月29日 20時45分 公開

水島精二氏にアイドルについて聞いた! アイドルってなんぞ?アニメ「アイカツ!」スーパーバイザー(3/3 ページ)

[種子島健吉,ITmedia]
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制作現場には厳しい存在も必要

水島氏 実は当初、シリーズ後半に、葛藤というかドロドロとした人間関係の要素も入れる予定だったんです。でも、数話放送された後、「そういうのは一切いらないじゃん!」と思いました。もし、自分が監督をしていたら、そこまで割り切れなかったと思うので、スーパーバイザーという立場で関わって、作品全体を俯瞰(ふかん)できたのがプラスに働いていると思います。

 あとは、主人公たちを見守る先生たちのごとく、要所で木村監督に「本当にそれでいいのか?」とプレッシャーをかけたりですね(笑)。やはり、よい作品を作るためには、厳しいことをいう存在は必要です。なぜそうすべきなのか、アドバイスする際は理由は伝えているつもりなので、木村監督には「理不尽ではない」と思ってもらえているとは思うのですが……。たぶん(笑)。

画像 主人公たちの担任教師であるジョニー別府。「ハニーたち」という独特なセリフまわしをするノリだけのキャラと見せかけて、振り付けもできるダンスの達人である

―― 確かに、誰かにやらせるのではなく、自分ががんばってみる、自分で努力してみるという登場人物たちの行動には、分かりやすい、すがすがしさがあります。子供と一緒に安心して観られますし。

水島氏 元々、ゲーム「アイカツ!」に、そういう要素が色濃くあるんですよ。レベルを上げてさえしまえばボタン1個で倒せるというのではなく、プレイヤーが練習することで、ゲームがうまくなってステージパフォーマンスできるようになる。衣装をカードでコーディネートするんですが、同じブランドの組み合わせだけでなくても、「グッドコーデ」になって高得点に結びついたり、プレイヤーがセンスを磨いて工夫できる余地、自分で考える余地もあるんです。

子供向けだからという妥協はない

水島氏 アニメ「アイカツ!」のステージシーンはゲーム「アイカツ!」のステージパートとシンクロしているのですが、毎回、アニメ用に別のCGスタッフが制作しているんです。

 スケジュールが厳しい中で制作がスタートしたので、時間的にできないことは受け入れるしかないのですが、心がけているのは、限られた条件の中でも「よりカッコイイもの」を提供するということです。

 最初から、時間もないし、子供向けだから「これでいいよ」という妥協でできたものって、結局「しょぼい」ものになってしまうんです。

 そんなものは子供たちの心に残らないだろうし、最初は珍しがってくれてもすぐに飽きられちゃう。だから無茶であっても表現のハードルを高めに設けて、そこを目指していく。そのうち、ノウハウが蓄積されて、最初はできなかったことがいつの間にかできていたりするもんなんですね。

 つまり、アニメの登場人物、演じている役者たちだけじゃなくて、我々「アイカツ!」制作チームも一丸となって「一緒にがんばって、成長しようじゃないか!」ということでやっているんです。

 それは音楽制作も同じことが言えて、コンセプトはアイドルの持つ多様性、その中でも、「エッジがきいた、心に残るもの」をというものなんです。子供って先入観がないから吸収力がすごくて、童謡めいたものじゃなくてもちゃんと聴けるんですね。誰でも子供の頃、お父さんやお母さん、お兄さんやお姉さんの聴いていた曲に影響を受けたこと、あると思うんです。

 大人になるとどうしてもジャンルにとらわれがちなので、当初、バンダイの担当者にも方向性がうまく伝わらなかったんです。そこでまずは、担当さんの考えるアイドルソングをいろいろ聴きながら探っていき、その後で、ジャズならジャズ、クラシックならクラシック、パンクならパンクのイメージする曲を聴いてもらって、さらに、その要素が含まれるアイドルの曲を聴いてもらい、方向性を確認する。それを繰り返して信頼を得ました。

 実作業は、まずゲームの演出とシチュエーションを教えてもらい、先方の参考曲を聴き、曲のイメージを固め、こちらの参考曲にメモを添えてゲーム側の担当者に確認。OKが出たら、そのメモと参考曲を元に作曲家さんに依頼するというフローでした。

 ファイルを送ってというやり取りももちろんしましたが、ダイレクトにお話しするためにレコーディングに立ち会い、直接コミュニケーションできるようにも心がけました。

幅広い音楽ファンに楽しんでもらいたい

 僕自身が、「今までのアニメにはないスゴイ曲が聴きたい!」と思ってやっていますし、作曲家さんのことが分かってくると、この人はクラシックのしっかりとした知識がベースにあるから「ここまで要求してみよう!」とお願いして、仕上がりが想像以上だったりすると「ここまでやってくれたのか!」と感激したりしています。

 いちばん「アイカツ!」を楽しんでいるのは「僕なんじゃないか?」と思う瞬間もありますね。とある作曲家さんには「水島さんがいうのはこういうのでしょ? でも、すごい大変だったんですよ!」といわれたりして(笑)。

 ただし、楽しんでいるのはもちろんですが、それだけじゃなく実務的なこと、作曲家さんであったり、ほかのスタッフの皆さんとの共同作業ですので、ちゃんと自分が目指すものを精度高く伝えて、相手の気持ちもくみつつ自分のイメージするものを構築するということが大事だと思っています。

 「アイカツ!」のステージに使用される楽曲には、アイドル的な音楽だけではなく、いろいろなジャンルの音楽の要素が幅広く含まれています。お子さんだけでなく、ご両親であるとか、普段はアニメを観ないような音楽好きの方にも、そういった要素に注目して楽しんでいただきたいですね。

―― 最後に水島さんが現在、注目している「推(お)し」のアイドルを教えてください。

水島氏 でんぱ組.incとBABYMETAL(ベビーメタル)ですね。でんぱ組.incは「アイカツ!」で歌を担当してもらっているSTAR☆ANISと同じ事務所なので、ある意味、彼女たちの先輩で目標のような存在かなあと(笑)。BABYMETALは、さくら学院の部活動ユニットという位置づけなんですが、こちらは名前の通りかわいらしさの中にもきちんとHEAVYMETALの要素があって、それが魅力なんですよ。

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