カレーが好きすぎて「和カレー」を編み出してしまった――漫画家・カラスヤサトシさん(3/3 ページ)
漫画家らしくない漫画家だと思ってる
――運動はされますか?
最近はさっぱり運動してません……。仕事が少なかった頃は市民プールにひんぱんに泳ぎに行きました。子供が生まれる前まではわりと習慣になっていて、暑い夏は2日に1回のペースでシャワー代わりに通っていました。最近はその時間もないし、時間がつくれたら子供と散歩したり遊ぶ時間に充てたいので、プールはご無沙汰してます。
漫画家としてもっと自由に時間が使えてもいいはずなんですが、原稿の締め切り時間が出版社や編集部でバラバラなので、どうしてもこっちも不規則になるんです。だから、なかなか単独で運動するヒマが確保できていません。自転車での幼稚園の行き来が運動といえば言えなくもない……いや、なってないですね(笑)。
――1日の作業量はどれくらいでしょう?
時間で決めていないんですよ。最低でも1日に4枚書くようにして、6枚書けたら上出来ですね。翌日がラクになります。ただし、ネームは別ですよ。こればかりは時間が読めなくて、さっとできることもあれば数時間かかってしまうことも。
原稿3枚に、大体4〜5時間はかかるから、映画2本分以上ですね。
――映画が時間の尺度なんですか?
DVDで映画を流しながら描いているんです。映画をBGMにすると集中できるんですよ。邦画も洋画も流しますが、洋画は吹替版で観る……じゃなくて聴きます。眼と手は原稿用紙に向いているんですけど、それでも内容は入ってくるもんです。「あ、なんだか面白そうだな」って思えたら、後でふつうに視聴するんです。
音楽って1曲が数分で終わるので、そのたびに集中が切れちゃうんですよね。映画なら短くても1時間半、長いと3時間弱あるので集中が持続するんです。
映画終了と同時に描き終わって、「やった! 1時間半の映画時間で完成させたぞ」と思って時計を見たら、3時間の大作で「あ、3時間かかってたのか……」と軽くショックを受けることもよくあります(笑)。
――1時間半、2時間も集中できるもの?
ふつうにできますよ。作業中、じーーっと考え込むことはありますが、手を止めはしません。考えながらも書き残しのコマを埋めたり、下書きを仕上げることはできますから。そうやって作業すると、1〜2時間はあっという間に過ぎます。で、映画1作品終わるタイミングで休憩を入れます。
――ストレス解消は?
寝る! に尽きます。ストレスはありますよ。身体面では肩がこるし、腱鞘炎になったこともあります。疲れたら休むしかないです。精神的ストレスは寝れば忘れるというか、うやむやにします。
外に行くとよけい疲れるので、自宅にいることが多いかな。でも、子供と散歩するのは好きですし、朝起きたら庭に出て気に囲まれてプチ森林浴を味わったりもします。
――漫画家さんって、ネームが描けずに逃げ出したくなるときってあるんですか?
僕はないですね。家族や身の回りの出来事をネタにすることが多いので、なんとかなります。たまに「あ、こないだ描いたのと同じネタだった!」って気づいて、慌てて描きなおすことはあっても、思い浮かばないことはないです。
まあ、僕は自分を「漫画家らしくない漫画家」だと思っているんです。どういうことかと言うと、ストーリーをゼロから考えることが少ない漫画家なんですよ。日常に落ちているネタを拾って描いているわけなので。無から物語をずっと生み出し続けないといけない苦しみは僕も味わったことはないし、想像がつきません。
――そういえば、どの作品にもご自身が登場されていますよね。ストーリー作品は描かないんですか?
実は僕が初めて描いた「自画像が出てこない」作品が今度出るんです。エッセイじゃなくてホラーで、タイトルは『おとろし』。関西弁で恐ろしいという意味です。ですから、創作の苦しみは最近味わったところなんですよ。7月17日発売なのでぜひ。
――カラスヤさんがホラーマンガを!? いちファンとして発売日にゲットさせていただきます。ありがとうございました!
- 連載「“引っ張りだこな人々”の習慣」過去記事はこちら
中山順司(なかやま じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。
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