第39回 “次”にApple Watchによって変わる生活の中の要素は何か“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)

Apple Watchの販売に、当初の勢いはなくなってきたという報道があるが、秋には新しいOSのリリースもあり、また大きな波が起きると考えている。次にApple Watchによって変わる、生活の中の要素とはなんだろうか。

» 2015年08月01日 07時30分 公開
[松村太郎ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Apple Watch

 ウェアラブルデバイスの主要製品については、本連載でも継続的に見ていきたいと考えている。特に「Apple Watch」は、事前の予想通り、スマートウォッチ市場のトップランナーに躍り出た。

 Appleが発表した2015年第3四半期決算において、同社はApple Watchの販売台数について「競争を起こしたくない」として公表しなかった。しかしCEOのティム・クック氏は、「予想以上に好調」ともしており、その台数には満足しているようでもあった。

 ちなみに、Apple Watchは決算の中の「その他のプロダクト」に含まれるが、このカテゴリーは前年同期から49%、前期から56%の増加となっており、この増加の大部分はApple Watchによってもたらされたと考えるのが妥当だろう。

Apple決算資料 Apple 2015年第3四半期決算資料より

 Apple Watchは、iPhoneと組み合わせるためのスマートウォッチであり、iPhoneの好調さも当面持続すると考えられるため、非常に堅調な伸びを見せることが予測される。

 例えば、新たにiPhoneを購入した人の1割がApple Watchに興味を示せば、それだけで四半期あたり400万台から700万台のApple Watchが販売されることになる。

 アナリストによるApple Watchの4月24日から6月末までの売上予測も、280万台から500万台、平均400万台前後となっており、およそ前述の数字と一致する。ただし、7月上旬までに出された予測の平均は450万台を超えていたことから、Apple Watchの初期需要の収束による失速も織り込まれているものと考えられる。

“普通の人”に好かれたスマートウォッチ

 あくまで、市場予測であることを前提に、いくつかApple Watchに関する数字を紹介しておこう。

 Apple Watchの販売台数の平均は400万台程度とされているが、この数字を元にすると、世界のスマートウォッチ市場でのシェアは75%を占めることになる。Appleのブランド力や、iPhoneを購入する層をターゲットにしていたこと、そして確かに他の製品と比較して、製品が発売された初期から、何ができるか? どのように着こなすのか? といった提案が、広告のイメージが明確になっていた点も、奏効した。

Apple Watchのシェア Apple Watchのスマートウォッチ市場におけるシェアは75%程度と予想されている

 また、Techpinionsが伝えたApple Watchの満足度に関する調査によると、満足していると答えたユーザーは97%で、この数字は初代iPhoneや初代iPadを上回るという。

Apple Watch満足度 TechpinionsによるApple Watchの満足度

 Tachpinionsの記事には、面白い記述がある。Apple Watchはテクノロジーに詳しい人々よりも、それ以外の職種の人々に、より好かれているというのだ。

 Apple Watch以前、もしくは発売直後であっても、スマートウォッチは、まだまだ市場が構築され始めたばかりのカテゴリーであり、これまで選んで身に着けてきた人々は、いわゆるアーリーアダプターと呼ばれる、いち早くテクノロジーを取り入れようと行動する人々だった。

 Apple Watchがアナウンスされた際、バッテリー持続性、防水機能、そのデザインへの驚きのなさ、「円形」でないこと、アプリ開発の不自由さ(これはwatchOS 2で解消される)などへの不満や不安を口にしていた。今でも、毎晩充電することについて、筆者は少し面倒くささを感じてはいる。

 Apple Watchは、満を持して、時を待って、あるいは「ヒーローは遅れてやってくる」というお決まりのパターンと言うべきか、登場したのも必ずしも早い部類ではなかった。

 しかしだからこそ、より広いユーザーが興味を持つ仕掛けや提案の仕方を行うことができたとみている。つまり前述の不満や不安は、必ずしもApple Watchの売上を阻害するものではない、と考えたのだ。

はじめからすべてをこなせなくても良い

 Appleはアクティビティの計測をApple Watchの主要な機能として紹介してきた。しかしこのカテゴリのウェアラブルデバイスには、Nike、Jawbone、FitBitなど、さまざまなメーカーの優れた製品が存在しており、どれもApple Watchより価格がかなり安い。

 Apple Watchのアクティビティ計測機能が新しくなくても、唯一の存在でなくても、この機能を推した理由は、すでにそのカテゴリーに製品が存在しているからだったと考えられる。

 つまり、前述のように、テクノロジーに造詣の深いユーザーでなくても、何ができるのか、何のためにやるのかを理解することができるからだ。

 その上で、他の製品に必要な「同期の操作」を自動化したり、エクササイズの起動を画面のタッチ操作で分かりやすくしたり、スマートフォンを持たなくても単独で音楽を聴きながら走りに行けるようにするなど、Apple Watchの優位性を用意している。

 こうしてApple Watchの「本命感」が演出されているのだ。

次なるイチオシの機能は何になるか

 ウェアラブルデバイスを持つきっかけとして、アクティビティの計測はふさわしかった。では次は何になるだろうか。これがなかなか難しい。

 手首でのApple Payの支払いも便利だが、米国と英国以外の国ではまだ対応しないし、筆者の近所でWhole Foods MarketとWalgreens以外に利用できる店舗は見当たらない。

 Apple Musicで音楽を聴き流していて、気に入った曲があったとき、手首で「ハート」マークを付けることができたり、Apple TVのリモコンを見つけなくても、手首でコントロールできるのは便利だが、生活を変える変化とはいえない。

 Apple Watchで家のドアの鍵を開けたり、自宅の空調をコントロールするといった機能はぜひ使ってみたいが、スマートホーム関連も家側の対応が進んでいないため、有効打とはならない。自動車のコントロールについても同様だ。

 Apple Watchが生活の中で便利になるには、Apple以外の製品との連携が不可欠であり、どうしてもAppleの努力だけで実を結ぶ話ではなくなってくる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/21/news036.jpg 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. /nl/articles/2504/19/news039.jpg 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  3. /nl/articles/2504/21/news024.jpg 「安すぎる!」 ワークマン“980円バッグ”に絶賛の声続出 「文句なし」「コスパ最強」「シンプルで使いやすい」
  4. /nl/articles/2504/18/news140.jpg 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2504/19/news051.jpg 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  6. /nl/articles/2504/21/news036.jpg 押し入れに眠っていた“40年前の出産祝い”、開けてみると…… “昭和らしい品”に反響「感無量ですね」「状態がいいのも驚き」
  7. /nl/articles/2504/20/news028.jpg 庭にビオトープを作ったら、生物多様性が爆上がりして…… “まさかの生き物”の来訪に驚がく「え?マジすかw」「存在感すごい」と620万表示
  8. /nl/articles/2504/21/news034.jpg ゴミ屋敷に嫁いだ女性 あるとき“9歳息子の本音”を耳にし……100日間の戦いが1000万再生「最後泣きました」「大変だったろうな」
  9. /nl/articles/2504/21/news043.jpg ←お弁当の理想 現実→ 高校生息子の母が明かした“リアルな光景”に「共感しかない」「ジワっときました」
  10. /nl/articles/2504/21/news032.jpg 150万円で買ったジャングル廃墟→家族3人で本気DIYしたら……「良くなりすぎた」 見違える結果に「やばい」「憧れる」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小学生時代「こんなプラモ誰が買うんだよw」→40年後…… “大人になった”を実感するエピソードに「分かる」「特大ブーメランw」
  2. パパに、保育園へ行く娘のヘアアレンジを任せたら…… ママがひっくり返った“仕上がり”が400万表示「重力どこ?」「頑張った感がいい!」
  3. 「神パンツきた」 ユニクロ新作“3990円パンツ”が品切れラッシュの大人気 「過去イチかも」「本当にこれは買い」
  4. なんとなく捨てにくい紙袋→2カ所切り込みを入れるだけで…… 目からウロコの“活用術”に「これすごくいい!」【海外】
  5. 「見習うことばかり」 80代おばあちゃんの春服&収納術がステキ! 上品かつオシャレで「憧れです」「尊敬します」
  6. ファスナーに直接毛糸を編み付けていくと…… 完成した“便利でかわいいアイテム”が100万再生「天才だ」「これ大好き」【海外】
  7. 「尊厳を踏みにじる行為」 八代亜紀さんの“物議のCD”は「流通会社がすでに流通を中止」 タワレコが回答
  8. 古くなったジーンズは捨てないで! 目からウロコの“アイデア”に大反響「なにこれかわいい!」「こんなの作れるんだ」【海外】
  9. 指先サイズの小さな器に木を植えて、育てたら…… 「芸術だ」「半端ない」鳥肌モノの“神盆栽”に反響
  10. 義母「ランドセル代を振り込みました」→銀行口座を見ると…… 2児ママ絶叫の“神対応”が1520万表示「凄すぎる!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】