【夏の編集部便り】民族衣装でスーパークールに仕事してみるテスト
どうせスーパークールビズを取り入れるなら楽しまないと損! ということで民族衣装で仕事をしてみることに。ねとらぼ編集部の戦いの模様をなぜかプロジェクトX風に熱くお届けします。
暑い日が続いている。ねとらぼ編集部が入るオフィスビルは6月から節電モードに突入し、エアコンの設定温度が例年より2度高くなっている。さんさんと太陽の光が降り注ぐ大きな窓は残念ながら開かない仕様だ。薄着したり、扇風機を回したり、保冷剤を頭に乗せてみたりと、それぞれが工夫しているが、それでも暑い! たかが2度なのに!
暑さ対策に頭を悩ませる企業は多い。今夏は短パンやサンダルといった軽装を認める企業も増えているようだ。携帯サイトなどを運営しているスパイシーソフトに至っては、水着もOKらしい。なにそれすごい。ニュースリリースで「水着可能」と表明するところに、スパイシーソフトの謎の気合いを感じる。
我らがねとらぼ編集部も負けてはいられない。一味違う装いで世のビジネスパーソンに差を付けてみたい。どうせやるなら楽しまないと損だ。「楽しいスーパークールビズ……楽しいスーパークールビズ……ううむ……そうだ! 暑い地域の民族衣装を着れば、涼しいんじゃないか?」――編集長が突然ひらめいた。
編集長はゴールデンウィークにインドを旅し、ロストバゲージの憂き目にあいながらも、現地の衣装で気温40度を耐えぬいてきた男だ。きっと確信があるに違いない。「それだ!」と編集部がにわかに色めき立つ。「だろ?」と編集長も得意げだ。ということで、民族衣装に着替え、ただただ淡々と仕事をしてみることにした(以下、なぜかプロジェクトX風に熱くお届けします)
編集長、崖っぷちの決断!?
「やるなら早い方がいい。週明けはどうだ」。編集長が切り出した。編集部に緊張が走る。本当に民族衣装で涼しくなるのか、ユニクロの高機能インナーを着た方が賢明ではないのかと、半信半疑の声が上がり、重い空気が張り詰める。その時だ。「やりましょう。気分転換にもなると思います」――新人がつぶやいた。その言葉に誰もがうなずく。
だが問題は山積みだ。どんな民族衣装を着ればいいのか、皆目見当が付かないのである。新たに衣装を購入する予算も残念ながら編集部にはない。「イチかバチかだ。皆が自宅にある衣装を持ち寄って試してみよう! なんでもいいから民族衣装をかき集めるんだ!」――編集長の崖っぷちの決断だった。
当日はメキシコやタイ、ベトナムといった国々の衣装が勢ぞろいした。編集長は当然ながらインド、記者はマレーシアで衝動買いした現地の衣装だ。アフリカで買ったという民族布「カンガ」や、ミニ丈のチャイナドレスもある。「これを着れば足を大幅に露出できるぞ!」「す、涼しそうじゃないか!」――胸の高鳴りを抑えきれない者もいた(?)
早速、着替えてみた
早速、着替えてみた。マレーシアの衣装は、ロングスカートの上からひざ丈ワンピースを重ねたような感じになっている。頭にはイスラム教の女性が身につけるスカーフをかぶり、顔面だけが出ている状態だ。そんな姿でPCに向かってみる。視界が普段よりも狭く感じるが、その分目の前に集中できる気がする。「これはいけるぞ!」。スーパークールビズプロジェクトに光がさした瞬間だった。
編集長はインドで買った丈の長い白いシャツと白いズボンを合わせている。薄手の生地でなかなか快適らしい。頭にはなぜか白い布をかぶるというオリジナルアレンジを加え、インドというよりは中東風(?)な仕上がりになっている。スーツ姿の人々が行き交うオフィスで異彩を放ちまくる編集長。たまたま通りかかった清掃員の女性もぎょっとしている。皆が笑いを、こらえた。
チェ・ゲバラがいるから大丈夫
涼を求めるプロジェクトにも関わらず、目的を完全無視して、暑着してしまったメンバーもいた。1人は毛布のような素材のポンチョに、つばの広い帽子「ソンブレロ」を合わせている。陽気な南米スタイルに皆が絶句する。「暑くはないのか」と編集長が尋ねる。「大丈夫だ。ポンチョの下にチェ・ゲバラのTシャツを着ている」――逆転の発想だった。
もう1人は、黒いタートルネックセーターにGパン、丸い眼鏡を合わせている。「りんごか! りんごなのか!」。編集長が問いただす。「クパチーノの正装なんです!」「民族衣装じゃないだろうが!」。編集部に緊張が走る。プロジェクトがこのまま暗礁に乗り上げてしまうのかと誰もが思ったその時だ。「争いはやめてください! 楽しければそれでいいじゃないですか!」――またも新人の言葉が空気を変えたのだった。
日本経済の中枢を練り歩く
民族衣装姿のまま一通りの仕事を終えた時、誰かが言った。「外へ、行きましょう」と。編集部員たちがぞろぞろとエレベーターに乗車する。オフィスビルの狭い空間がインターナショナルな雰囲気に一変する。エレベーターに居合わせた人が気まずそうな顔をしていたが、気にしないことにした。
いよいよ外へ飛び出した。ここは、日本経済の中枢とも言われる東京・大手町、オフィスビルが立ち並ぶエリアだ。日はすでに落ちて薄暗くなっており、昼間よりは幾分涼しいが、耐え難い蒸し暑さが民族衣装の集団を襲う。湿気を含んだ風にあおられ、ポンチョがなびく。イスラム女性風のスカーフが汗で首に張り付く。編集長は言った。「日本の湿気は手強いな」と。
街を行き交う人々が我々を避けるように歩いていく。こちらを見てあからさまに驚いている人もいる。「もう戻りましょう。通行人の視線が痛いんです」と1人がつぶやく。「痛みの先に希望がある。諦めるんじゃないっ。我々はスーパークールビズを楽しめばいいんだ」。全身白ずくめの編集長が皆をさとす。こうして民族衣装の集団は夜の街へ消えて行くのだった(BGM:中島みゆき)
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