ギークだらけのシェアハウス「ギークハウス」に潜入してきた意外にも(?)健康的(2/2 ページ)

» 2012年05月31日 11時14分 公開
[池田園子,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ギークハウスに住んだら彼女ができた

 共同生活ならではの悩みや困ったことがないのかも気になる。ギークハウス新丸子には「個室」がない。不都合はないのかと聞いてみると、皆あまり不満は持っていなかった。他人のイビキをうるさく感じることもないらしい。ただ、皆が共通して困っているのは、洗濯とお風呂、トイレの問題だという。洗濯機は1台しかなく、それぞれが個別に洗濯機を回すため、タイミングが重なると大変だ。また干す場所も3人分くらいしかなく、特に梅雨の時期になると苦労しそう。

洗濯機やお風呂で困ることも

 1つしかないトイレもたまに長蛇の列ができる。そのときは我慢するしかない。特に月曜朝はトイレラッシュだ。お風呂ももちろん1つなので、順番に入っていかないと回らない。新丸子ではないが、ほかのギークハウスでは、住人全員のグループチャットでお風呂の順番を「次はオレ入るわ」などと調整しているところもあるという。キッチン問題もたまにあり、後片付けをしていないとか、コンロが汚れたままだと「ちょっとなえる」とのこと。

生活のルールを書いた紙が各所に

 逆に、最大のメリットは人とのつながりだ。

  • 「大学の寮に近い感じ。色々な人がいて、皆と程よい距離感でかかわれるから心地良い」
  • 「横のつながりが嬉しい。今の仕事も実はギークハウスつながり」
  • 「ここに住むようになってから、別のギークハウスに住んでいた女の子と付き合い始めた」

 なんと彼女ができたって! これはすごい。

変な人が集まらない仕組み

 運営者の小出さんはギークハウスの中でも特に有名な「ギークハウス武蔵小杉」を作った人物で、新丸子は2件目の立ち上げ。どちらのギークハウスにも「皆で何かを生み出す場所にしたい」という想いが込められている。

 ギークハウスを作るまでの苦労についても聞いてみたところ、「不動産屋との折衝が一番難しかった」(小出さん)という。数十店舗の不動産屋へメールや電話で連絡し、ギークハウスなるシェアハウスを作りたいと伝えたものの、メールはほぼ返って来ず、電話は半数くらいしか最後まで話を聞いてくれなかった。「ギークって何?」「ニートが住んで家賃滞納はないのか?」「又貸しをして大丈夫なのか?」など、貸す側にも不安材料がたくさんあるのも、確かに分からないではない。大家さんを説得するのも骨が折れそうだ。

 途中で不動産チェーン店は厳しいと分かり、地元の古くからの不動産屋を直接回る方針に切り替えた。まず不動産屋がギークハウスのコンセプトを理解した上で、大家さんに話を通し、大家さん側でも理解してくれないと始まらない。「二重の共感と理解」が必須。どちらにも「ネットでビジネスを作り出そうとする人が入居します」という旨を丁寧に説明し、「面白そうだね」と納得してくれたところと契約締結となる。新丸子は物件探しから入居者募集にいたるまで、わずか1カ月で準備したという。

 気を付けていることは、これまでにない形態の住み方なので、大家さんに強く信頼してもらうこと。メンバーが入れ替わる際には、必ず大家さんに報告するだけではなく、毎月の定期報告も欠かさない。それらはすべて小出さんの役目だ。ギークハウスならではのユニークな立ち上げ方にも着目したい。ハコのない状態からTwitterで入居者を呼びかけて、人を集めてから物件を探すというように、通常のフローとは逆になっている。運営者にとってはリスクが低い。

 集まる人も最低限Twitterを使っている人なので、過去のツイートを見れば、人間性やその人の持つソーシャルグラフがある程度は分かる。履歴書などいらない。「ソーシャルメディアがその人の与信の代わりになっている。またギークハウスという名称が良い意味での『バリア』になっていて、ニートであったとしてもモノ作りが好きだったり、クリエイティブなことをしたいという気持ちの人が多く、結果的に入居者の質が高まっている」(ギークハウス新丸子アドバイザー・福岡秀幸さん)。問い合わせの後、軽く面談して入居となる。

 これまでギークという言葉から連想していたのは、失礼ながらぼさぼさの髪の毛のまま、暗い部屋で一心不乱にPCと格闘する姿だった。ところがここにいたのは、健康的な生活を送りながら、開発に励むギーク男子たちばかり。食事が整っているのは前述した通りだが、ランニングを毎日欠かさない運動マニアもいて、連れられて一緒に走りに行く人もいる。皆でフットサルをすることも。ヨガマットやバランスボールもあり、その健全っぷりに驚いたというのが正直な感想だ。来月登場する、健康的ギーク男子発のWebサービスがどんなものになるのか、非常に楽しみだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」