ねとらぼが選ぶ「2012年ネットニュース大賞」は「ステマ騒動」に決定! 読者投票上位は「大津いじめ」「ココロコネクト炎上」など
今年1年を振り返り、もっともネットを騒がせたニュースを投票で決める「ネットニュース大賞」。栄えある第1回大賞は――。
今年からねとらぼが新設し、その年もっともーネットを騒がせたニュースに贈る「2012年ネットニュース大賞」。読者投票および選考の結果、第1回の大賞は「ステマ騒動」に決定いたしました。また、読者投票の上位10本に贈られる「2012年ネット10大ニュース」には、「大津いじめ事件」「eufonius、ココロコネクト炎上」「違法ダウンロード刑事罰化」「遠隔操作ウイルス事件」などが選ばれています。
その他、編集部選出による特別賞も含めた、最終的な選考結果は以下のとおりとなりました。
2012年ネットニュース大賞 選考結果
【大賞】
ステマ騒動
【ネット10大ニュース】
1位:ステマ騒動
2位:大津いじめ事件
3位:ココロコネクト炎上
4位:違法ダウンロード刑事罰化
5位:遠隔操作ウイルス事件
6位:竹島、尖閣問題
7位:コンプガチャ騒動
8位:生活保護不正受給問題
9位:2chまとめサイト名指しで転載禁止に
10位:京大・山中教授にノーベル賞
【特別賞】
ニコニコ超会議開催
【炎上賞】
ココロコネクト炎上
【ヒット商品賞】
パズル&ドラゴンズ(iOS / Androidアプリ)
大賞/ネット10大ニュース第1位:「ステマ騒動」
もはやネット上では完全に定着した感のある「ステマ(=ステルスマーケティング)」という言葉。2ちゃんねる内では以前から使われていましたが、年明け早々の「食べログ」事件をきっかけにテレビなどでも報じられるようになり、広く知られるところとなりました。その後も2ちゃんねるまとめサイトのステマが疑われたり、年末には芸能人がブログでステマを請け負っていたことを告白したりと、1年にわたりネットを騒がせ続けたトピックとして、読者投票でも圧倒的な票を獲得。情報の信頼性を大きく揺るがしたという点でも、ネット全体に与えた影響は大きかったと言えるでしょう。
読者の声
- ステマという言葉を定着・普及させたという点で、ステマ騒動はやはり外せないと思います
- ステマは今後も広く普及し末永く使われていくべき言葉ですね。ロコマ(露骨なマーケティング)、ゴリマ(ゴリ押しマーケティング)など応用性もバッチリです
- 企業がネットを活用して行った宣伝方法で問題になったものを選びました
- ステマや仕込みの存在が公然の常識となった元年だと思う
- 年の瀬にペニオク芸能人ステマ詐欺疑惑が出てきたのでコレしかないと思います
ネット10大ニュース第2位:「大津いじめ事件」
滋賀県大津市の中学校で起きた、いじめによる自殺事件が話題に。事件そのものは昨年ですが、今年になって両親がいじめ生徒らを提訴したことで、凄惨ないじめの実態が明らかに。いじめに荷担していた生徒だけでなく、責任を認めようとしない教師や教育委員会にも強い非難が寄せられました。なお滋賀県警は12月27日、加害者とされる生徒らを暴行容疑などで書類送検しています。
読者の声
- 風化させてはいけない、大事な問題だから
- 日本の責任者のあり方についてとても考えさせられた。ただただ不快です
- 大津いじめ問題はネットの力がなかったら加害者を追い込めなかったと思う。ネットの力ってすごい! と思いました。加害者がのうのうと暮らせる世の中って変だと思う
- トピック名を見た時、そのニュースが報道された当時の感情が甦ったから
- いじめよくない。風化させたくない
ネット10大ニュース第3位:「アニメ『ココロコネクト』炎上」
アニメ「ココロコネクト」のイベントで行われた、声優・市来光弘さんに対するドッキリ企画が「パワハラ同然」「まるでいじめ」と炎上。公式サイトに謝罪文が掲載されたり、炎上のきっかけとなった音楽ユニット・eufoniusの菊地創さんが活動自粛することになったりと、各方面に大きな波紋を投げかけました。また、当事者である市来さんが「いじめではない」とコメントしているにもかかわらず、いまだ炎上が収まっていないのもこの件の大きな特徴。イベントを主導したプロデューサーの責任を問うアニメファンからの「怒りの投票」が、順位を大きく押し上げた形となりました。
読者の声
- 内実はどうであれ悪趣味が過ぎます。そして謝罪するタイミングを逃すとこうも……。今後こんな事は2度とありませんように
- 非人道的な行為がアニメ業界に横行してるのが分かったから
- 多くの人々にこの事件を知ってほしいけど持ち票が全然足らない
- 声優に対するパワハラの内容が醜悪であり、また事件を主導したであろうプロデューサーが何の説明もしないまま、今も逃げ続けているから
- 現時点でも2chにスレが立ち続けており、火消しが荒らしていることから公式が事件の鎮静化を図っていると推測されるから
ネット10大ニュース第4位:「違法ダウンロード刑事罰化」
以前からネットでは反対の声が多くあがっていた「違法ダウンロード刑事罰化」が10月1日より施行へ。これに伴い、文化庁が見解とQ&Aを公開したり、ネット集団アノニマスが抗議のクラッキング(や清掃)活動を行ったりと、さまざまな動きがありました。日々ネットを使っている人にとっては他人事ではなく「その気になれば誰でも逮捕できてしまう」など運用について心配する声も多くあがっています。
読者の声
- 特にネットが活発な最近においてよく知らない大人が勝手なルールを作るのが目立った
- 違法ダウンロードについては、ネット以外であまり意見が見られなかったのが意外でした
- 違法DL刑事罰化は日本人すべての首に縄が掛けられたようなものだから、大問題なんですけどねぇ……
- インターネットをはじめとして、新しい技術に法律が追い付いていないと感じた。若い政治家に頑張ってほしい
- 警察がこの体たらくできちんと運用出来るの?
ネット10大ニュース第5位:「遠隔操作ウイルス事件」
他人のPCを遠隔操作し、そこから犯罪予告などを行った「遠隔操作ウイルス事件」。警察はIPアドレスを証拠に大阪府の男性らを逮捕しましたが、のちに遠隔操作によるなりすましと分かり釈放。「IPアドレスが証拠にならない」という点で、警察のサイバー犯罪捜査の根幹を揺るがす事件となりました。その後犯人からと思われる「自殺予告メール」などもメディアに届き注目を集めましたが、いまだに真犯人は捕まっていません。
読者の声
- 無実の者に強制的に自供させた警察はどうなんだ? 責任者は腹を切れ!!
- 特に遠隔操作ウイルス事件。ある意味すべてのネットユーザにとって他人事ではないし、誤認逮捕の怖さも感じた
- 遠隔操作事件は不謹慎だがクールだとオモタ
- 遠隔操作ウイルス事件の「IPという証拠がある」はいろんな意味で衝撃だった
- 「アノニマス」「遠隔操作ウイルス事件」国内でハッカーが社会に対して具体的行動に出た年だった。初めて?
ネット10大ニュース第6位:「竹島・尖閣問題」
1年にわたってネットを騒がせ、しかもいまだに問題が解決していないという点では、竹島・尖閣問題も外すことはできません。領土問題自体は以前から存在していたものの、石原慎太郎元東京都知事による尖閣諸島購入騒動、ロンドンオリンピックにおける韓国選手の「独島は我が領土」プラカードなど、竹島・尖閣諸島をめぐる騒動が今年は相次ぎ、ネット上でもそのたびにさまざまな議論が巻き起こっていました。
読者の声
- 日本のこれからを大きく変える出来事。従来からの懸念事項ではあったが、一部の意識の高い者だけでなく国民が等しく認識を共有する事態となった事。
- 日本、あるいは世界に影響を与えるものであるため。
- 特に領土問題については外交上の複雑な課題や経済に対する重要性について考えさせられた。
- どれも現在進行中なので、さっさと解決するといいですね(棒)
ネット10大ニュース第7位:「コンプガチャ騒動」
今年は良い意味でも、悪い意味でも注目されることになったソーシャルゲーム。中でも消費者庁が「コンプガチャ(コンプリートガチャ)は違法である」と判断した「コンプガチャ騒動」は大きな話題に。急速な成長を遂げたソーシャルゲームのビジネスモデルが関心を集めるとともに、射幸心をあおり、高額な課金へとユーザーを誘導するその手口にも非難が寄せられました。ソーシャルゲーム業界側もその後、業界団体「JASGA」を発足するなど健全性を保つための対策を講じていますが、このあたりは今後の取り組みに期待したいところです。
読者の声
- 法に触れなければなにをしてもいい、という話が目立った年だったと思います
- やはり今年はドリランドのカードバグがネット上では最高の話題だったと思いますね。今流行のカードゲームアプリ関連の騒動はスマホが普及するにつれてどんどん出てきそうです
- ステマにコンプガチャは、ネット普及にのっかって、拝金主義の悪意がにじみでた象徴的な事件だったと思う
- コンプガチャはNHKでも取り上げられるくらいにメジャーなニュースになったので
ネット10大ニュース第8位:「生活保護不正受給問題」
お笑い芸人・河本準一さんの母親が生活保護を不正受給していたことから、「この人も」「あの人も」と不正受給が続々発覚した「生活保護不正受給問題」。受給者のモラルを問う声から、生活保護というシステムそのものへの疑問まで、さまざまな議論を巻き起こすきっかけになりました。また受給者への悪影響を考慮し、ユーキャンは今年の新語・流行語大賞候補から“ナマポ”を外しましたが、それ自体がこの問題の大きさ、根深さを物語っているとも言えます。
読者の声
- 不正受給・ステマ・アフィブログのようなズルさや汚さが露骨な金儲けがとうとう社会的な問題になった印象
- 正直者が馬鹿を見る世の中になったなぁというニュースが多い一年でした
- 社会システムの劣化、及び規制のあり方とか考えさせられた気がします
ネット10大ニュース第9位:「2chまとめサイト名指しで転載禁止に」
これまで2ちゃんねるのレスを抽出し、広告収入を得ていた「2ちゃんねるまとめサイト」に対し、元管理人・ひろゆき氏が警告。「第3者に迷惑をかけ謝罪しない人物に2chの著作物を使われることは不利益が大きい」と、大手5サイトに名指しで「転載禁止」を言い渡しました。1位のステマ騒動と合わせ、まとめサイトの是非についてあらためて考えさせられるきっかけとなりました。
読者の声
- まとめサイトによる歪な情報拡散が目立った
- ネットによって情報が広まることと、それを抑えようとする力との攻防が目立った年だったから
- 今まであいまいだったネット上の広告費や著作権についての扱いに大きな変化がありそうな事件が気になりました
ネット10大ニュース第10位:「京大・山中教授にノーベル賞」
iPS細胞の研究で京都大学・山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞。殺伐としたニュースが多かった中で、「明るくて希望が持てる」といった声や、同じ日本人の活躍を喜ぶ声など、温かなコメントが多く寄せられていた点が印象的でした。また同時期に「iPS細胞の臨床応用に成功した」とウソの報告を行い話題になった森口尚史氏も、ネットでは一躍時の人に。今回は山中教授のノーベル賞受賞と、一連の森口氏騒動をまとめて10位とさせていただきました。
読者の声
- 明るくて希望が持てるニュースとして
- 混沌とした中に明るいニュースもあったなと
- やはり日本人のノーベル賞受賞が印象的
- ガンバレ! ニッポン
特別賞:「ニコニコ超会議開催」
ここからはねとらぼ編集部が選ぶ「部門賞」枠となります。今年はniconicoがメディアとして大きく躍進した年でもあった、という意味で、その象徴とも言える「ニコニコ超会議開催」に“特別賞”を贈りたいと思います。また、ネット上のカルチャーを現実の空間へと持ち込み、ネットと現実をつないだという点でもその功績は大きかったと思います。来年は黒字になるといいですね。
炎上賞:「ココロコネクト炎上」
10大ニュースにも挙げた「大津いじめ事件」や「生活保護不正受給」のほか、studygift、和民社長、ZOZOTOWN社長、武雄市長など今年も多くの“炎上案件”がネットを騒がせましたが、火力・持続力の観点からやはり「ココロコネクト炎上」が頭一つ抜けていた印象です。得票数もさることながら、炎上から3カ月近く経っており、しかも当事者が謝罪や説明コメントを出しているにもかかわらず、いまだにこれだけ憎悪に満ちたコメントが送られてくるというのは、他の炎上案件にはない本件ならではの特徴と言えます。消そうとすればするほどメラメラと燃え上がる、まさに「炎上」と呼ぶにふさわしい燃えっぷりです。
ヒット商品賞:「パズル&ドラゴンズ」
ソーシャルゲームが問題視される一方で、「集金装置」ではない「ゲーム」としてのソーシャルゲームのあり方を示した「パズル&ドラゴンズ」に、ゲーム業界の未来を託しつつ“ヒット商品賞”を贈りたいと思います。パズル部分の面白さもさることながら、あえて利益を追求しない「ポカポカ運営」に、ゲーム屋としての矜恃を見た思いです。そのほか「ザク豆腐」、「ガリガリ君コーンポタージュ」、「ジョジョ25周年」、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」なども候補にあがっていました。
総評
ステマ、いじめ、炎上……。今年の特徴のひとつに、これまでは見えにくかった「ネットの声」が、よりはっきりとした形で現れるようになったという点があります。またステマや2chまとめサイト転載禁止のように、メディアの情報の信頼性が問われた1年でもありました。
理由としては、Twitterなどの新しい情報ツールが普及した点が大きいのではと思います。情報発信がより身近になったことで、誰もが思ったときに社会や周囲に声をあげられるようになり、また情報のチャンネルが増えたことで、質の低い情報はすぐに看破されるようになりました。安倍総理のカツカレーに対するメディアとネットの温度差などは、今年のネットをある意味で象徴していたようにも感じます。
この傾向は今年にとどまらず、来年以降さらに強まっていくはずです。2013年はどんなニュースがネットの話題を席巻するのか、来年の「ネットニュース大賞」もぜひお楽しみに。
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