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» 2013年08月15日 11時55分 公開

矢尽き刀折れるまで一緒に奮戦しよー!:“艦娘”ともっと戦いたい「艦これ」提督のための「日本海軍ウォーゲームガイド」 (3/4)

[長浜和也,ITmedia]

「空母戦は先手必勝! 索敵は大切ねッ」を知る空母戦ウォーゲームは

日本機動部隊

日本機動部隊(写真はエポックのオリジナル版)も、製品が流通していて購入しやすい。安いけど古くて問題のあるオークション品より現在流通している2009年再販版を入手するのが無難だろう

 空母戦を扱うボードウォーゲームで、ルールがシンプルで、かつ、今でも流通していた入手しやすいのが「日本機動部隊」だ。オリジナルデザインはエポックが1982年に出版しており、その後、国際通信社が1996年にコマンドマガジン10号の付録として、そして、2009年に「ジャパン・ウォーゲーム・クラッシクス」シリーズのボックスパッケージとしてそれぞれ再販している。2009年再販版は今でも流通していて入手も容易だ。2つの再販版には、オリジナル版にない「南太平洋海戦シナリオ」と「ソロモンキャンペーンシナリオ」を用意している。

 零戦が史実より強い、米軍艦艇の対空火力が鬼、航空機の航続距離が同じ、索敵にダミーを使うなどなどの理由から、シミュレーション性が低いといわれているが、日本人がイメージする日米空母戦の雰囲気をそれらしく再現している。空母戦における索敵の本質は「索敵機を飛ばすパターンとタイミングでいかに早く敵を発見するか」ではなくて「不確実な情報をいかにして評価して決断するか」であることからすると、「艦種誤認」「報告なし」が混在するダミーシステムは、空母戦における索敵の本質を再現しているし、実際の空母戦において、航続距離に違いがないのは、カタログスペックだけでなく、実際の戦史を検証して正しく反映した結果といえる(そういう意味では、カタログスペック“だけ”を反映した自称シミュレーションゲームよりよほどシミュレーション性は高い)。

 オリジナル版は流通量が多かったため、オークションに登場する機会も多い。オリジナル版、1996年再販版がオークションに安価で登場することも多いが、オリジナル版は保存状態がよくない場合が多く、1996年再販版では、一部のユニットがカットできない不具合があるので注意が必要だ(ダミーカウンターをブランクユニットで自作すればプレイ可能だが)。

日米航空母艦の戦い(FLAT TOP)

この後にも空母戦のウォーゲームは多数登場しているが、FLAT TOPを超える評価を得たものはいない

 では、もっと本格的な上級者向け空母戦ウォーゲームとなると、現実的にプレイ可能なタイトルとしては、やはり日米航空母艦の戦い(FLAT TOP)を挙げざるを得ない。1977年にアバロンヒルが出版して(オリジナルデザインはバトルライン)、日本ではホビージャパンが取り扱っていた。すでに、出版から35年以上すぎた旧作ながら、いまだに空母戦ウォーゲームの最高傑作と評価するユーザーは多い。流通量が多かったこともあってオークションに登場する機会も多い。

 マップはヘックス式で、ユニットは戦艦空母から駆逐艦駆潜艇にいたるまで1隻1ユニット。航空機は1ポイント3機の扱いで、滞空時の高空低空といった高度もゲームに影響する。登場する機種も多彩ながら、総じて米軍艦船と航空機の性能が日本軍のそれを上回り、不満を募らせる日本人ユーザーも少なくない(一方で、文献を検証して実際の戦闘結果に即していると評価するベテランゲーマーも多い)。ボードウォーゲームとしては粒度の細かい構成だが、戦闘解決手順やターンのフェーズ構成がシンプルなので、実を言うと難易度はそれほど高くはない。空母戦というより、水上戦や潜水艦戦、輸送船団の揚陸など、1つの海軍作戦を統合的にシミュレートする「海の作戦級」ウォーゲームとしてみることもできる。

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