艦これサーバ群“戦歴的”プロフィール「タウイタウイ泊地」編「雷」も眠る悲運の泊地

艦隊これくしょんの新規着任待ち提督たちには期待の「タウイタウイ泊地」だが、史実ではあまりいい話をきかない“訳あり物件”だったりする……。

» 2013年09月30日 11時55分 公開
[長浜和也,ねとらぼ]

「練習しないとこうなります」という典型的なお話

 「艦隊これくしょん」開発運営アカウント(@KanColle_STAFF)は、第11サーバ群「タウイタウイ泊地」を9月28日から投入した。大規模新規着任を想定したサーバ群で、28日の開放では約5万人に及ぶ新人提督を受け入れた。


 史実のタウイタウイ泊地は、なんといってもサイパン島を争う「マリアナ沖海戦」を前にして、日本海軍の決戦艦隊である第一機動艦隊(所属するのは空母基幹の第三艦隊と戦艦重巡基幹の第二艦隊)が約1カ月にわたって待機した泊地として有名だ。この待機期間において、空母配属となった各航空隊はほとんど訓練を行うことができなかったために技量が低下してしまい、それがマリアナ沖海戦の敗因の1つになったと考える関係者や戦史研究者は多い。

 もともと、小規模な陸上兵力(第三十三警備隊)と4機の水上機しか配備していなかったフィリピン南端とボルネオ島を結ぶ海域にあるこの泊地は、シンガポールに隣接していたリンガ泊地と異なり、陸上に大規模な飛行場がなかったものの、ボルネオの産油地であるタラカンに近かったため燃料の心配もなく、空母に配備した航空隊の訓練に適した拠点と考えられていた。

ボードウォーゲーム「日本機動部隊2」(国際通信社 コマンドマガジン日本版別冊)に登場するタウイタウイ泊地。フィリピンの南西にあるタウイタウイ泊地は、マリアナ方面に来襲する敵艦隊を迎え撃つには遠すぎる。しかし、タンカー不足で燃料調達が十分できず遠方への進撃がままならない日本海軍は、より近いパラオ近海に敵を誘導して迎え撃つという、ある意味“自己中心”的戦況を想定していた

 しかし、タウイタウイ泊地は敵潜水艦が出撃するオーストラリアと日本の資源輸送航路がある南シナ海を結ぶ経路に接していたため、日本海軍が集結した直後の5月18日には早くも敵潜水艦に所在が露見してしまう。それ以降、多くの米豪潜水艦が付近を航行する日本海軍艦艇を攻撃するようになり、日本の空母部隊と搭載する航空隊は泊地から出港して訓練を行うことができなくなってしまった。

 それどころか、対潜作戦のために出撃した駆逐艦も敵潜水艦に撃沈されてしまう。艦これにはまだ登場していないが、「早波」「風雲」「谷風」がタウイタウイ泊地周辺で沈んでいる。特に谷風は命中後の火災が泊地に停泊する空母の飛行甲板からも見えたという。また「水無月」、そして艦これの人気者「雷」も船団護衛中にタウイタウイ近海で潜水艦に撃沈された。

画像 ゲーム中の「雷」。読み方はかみなりじゃなくて「いかづち」

 こうして、訓練もままならないまま、無為に過ごした航空隊の技量は下がる一方だった。これを示す値として、タウイタウイ泊地に集結してからあ号作戦が発動して出撃するまでの1カ月弱の間に“事故”で失った艦上機は9隻の空母全体で56機にも達している。これは、「千代田」と「瑞鳳」が搭載する機数に相当する。

 タウイタウイ泊地に待機した1カ月で、技量が低下し事故で軽空母2隻分の艦上機を失った日本艦隊は、結局、避けたかったマリアナ沖海域に出現した敵機動部隊を迎え撃ち、そして、敗れ去ることになる。

関連キーワード

艦隊これくしょん | サーバ | ゲーム


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/19/news087.jpg 皇后さま、華やかなゴールドの衣装 天皇陛下も同系色のネクタイ着用【7万6000いいね】
  2. /nl/articles/2504/19/news051.jpg 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  3. /nl/articles/2504/19/news039.jpg 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  4. /nl/articles/2504/18/news140.jpg 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2403/21/news036.jpg 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. /nl/articles/2504/20/news008.jpg 「年中着用したい」 ワークマンの“暑くても着られる”2900円長袖シャツに反響続出 「とにかく涼しい」
  7. /nl/articles/2504/18/news025.jpg 2日かけて組み立てたのに動かない!? 自作PC初心者あるあるの再現が1460万再生「いまいましい」「同じミスしたよ」【海外】
  8. /nl/articles/2504/16/news035.jpg 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  9. /nl/articles/2504/18/news010.jpg 100均の手ぬぐいを3回縫うだけ…… “ちょっとずるい作り方”の便利アイテムが目からウロコ「おおおすごい」「すてきなアイデア」
  10. /nl/articles/2504/20/news028.jpg 庭にビオトープを作ったら、生物多様性が爆上がりして…… “まさかの生き物”の来訪に驚がく「え?マジすかw」「存在感すごい」と620万表示
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小学生時代「こんなプラモ誰が買うんだよw」→40年後…… “大人になった”を実感するエピソードに「分かる」「特大ブーメランw」
  2. パパに、保育園へ行く娘のヘアアレンジを任せたら…… ママがひっくり返った“仕上がり”が400万表示「重力どこ?」「頑張った感がいい!」
  3. 「神パンツきた」 ユニクロ新作“3990円パンツ”が品切れラッシュの大人気 「過去イチかも」「本当にこれは買い」
  4. なんとなく捨てにくい紙袋→2カ所切り込みを入れるだけで…… 目からウロコの“活用術”に「これすごくいい!」【海外】
  5. 「見習うことばかり」 80代おばあちゃんの春服&収納術がステキ! 上品かつオシャレで「憧れです」「尊敬します」
  6. ファスナーに直接毛糸を編み付けていくと…… 完成した“便利でかわいいアイテム”が100万再生「天才だ」「これ大好き」【海外】
  7. 「尊厳を踏みにじる行為」 八代亜紀さんの“物議のCD”は「流通会社がすでに流通を中止」 タワレコが回答
  8. 古くなったジーンズは捨てないで! 目からウロコの“アイデア”に大反響「なにこれかわいい!」「こんなの作れるんだ」【海外】
  9. 指先サイズの小さな器に木を植えて、育てたら…… 「芸術だ」「半端ない」鳥肌モノの“神盆栽”に反響
  10. 義母「ランドセル代を振り込みました」→銀行口座を見ると…… 2児ママ絶叫の“神対応”が1520万表示「凄すぎる!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】