若者に広がる“リア充”動画アプリ「MixChannel」はなぜ成功したのか(3/4 ページ)

» 2015年05月22日 11時30分 公開
[稲葉ほたてねとらぼ]

「日本人にVineは向いてないと思った」

 開発者の福山さんは、学生時代にはDeNAやグリーでインターンをして、大学院修了後には新卒でGoogle日本法人に入社した経歴を持つ人物だ。Donutsに参画した経緯は、Googleをやめて開発した、ランチ時間を使って社会人同士が会えるサービス「ソーシャルランチ」を売却したことからだったという。

「過去に開発したソーシャルランチが社会人同士のマッチングサービスだったので、僕自身がいわゆる“意識高い系”なんじゃないかと思われることもあるのですが、全然そんな崇高な人間ではないんですね。ただ、コミュニティや人間が好きなんですよ(笑)。ソーシャルランチの場合も、都心で働く人を観察しながら作りました」(福山さん)



画像 「コミュニティ好き」という福山さん。過去には、社会人同士のランチマッチングサービス「ソーシャルランチ」を立ち上げた


 そんなふうに「コミュニティ好き」を自称する福山さんは、日本にVineスタイルの動画サービスを持ち込もうとしたとき、「これでは、日本人のコミュニティが使うものにはならない」と考えた。

「Vineって、基本は一発撮りで、コミュニティ的にもTwitterと同じく仲の良い友人や好きなユーザーの動画を見るという設計なんですね。日本人向けにVine的な設計の動画サービスを作ったとしても、そもそも動画投稿の敷居の高さなどがあるので、ゼロからユーザーを増やしてコミュニティとして成立させることは非常に難しいだろうなと感じていました。だから、日本人に合うような、まったく違う方向性を目指しました」(福山さん)

 そこで福山さんは、即興で動画を撮影させるよりは、画像をインポートさせる方向でユーザーを支援した。最近の若い子は、暇な時間によく画像加工をしている。アプリの中に編集機能を入れて、そういう画像をインポートしてスライドショーを作れるようにしたのだ。

 すると、今度はユーザーたちが意外な行動をとりはじめたのである。なんと、画像をセル画のように使って、パラパラ漫画を作り始めたのだ。さらには高速でスライドショーを切り替えてアニメーション動画を投稿するような人まで登場してきたのだ。



LINEのスクリーンショットを使った
スライドショー動画も一大ジャンルを成している。
上は大ブームになった定番ネタで
多くのユーザーが自分のLINE画面で投稿している
※左上のスピーカーボタンをクリックすると音が出ます



「正直なところ、写真を一枚一枚見せて、最後にフェードアウトしていくような普通のスライドショーを考えていたので、これは想定外でした(笑)。最近では、何百枚もの画像を使って、アニメを作る高校生もいますね」(福山さん)

 さらに、Vineのようにフォローしてタイムラインを作っていくソーシャルな設計は取り入れるのをやめた。その代わりに、トップにランキングを置いて、人気動画を徹底的に目立たせる仕組みにした。この割り切りは、明らかに現在のにぎわいをつくりだす要因になっている。



画像 ユーザーのアカウントをフォローする際のボタンは、フレンドではなくて「ファン」。「リアルのつながりでのフォローは、ほとんどないですね」(福山さん)


 実際、サービス開始当初に存在していたVine風の動画サービスは、米国のVineと同じようなコミュニティづくりを目指した結果、そのどれもが低迷を続けている。

「MixChannelにめちゃくちゃハマっている層って、地方の子たちが比較的多いんです。都市部の女子高生って、ファッション誌だって何誌も読んでいて、とても多様な価値観のカルチャーを持っている印象です。そういう子たちは、VineやInstagramなどで好きなアーティストモデルや、わりとおしゃれな友達の投稿なんかを楽しめるのかもしれない。でも、地方の子たちはまだそこまで多様化してない印象があります」(福山さん)

 実際、広報資料を見ると、ユーザーが都市部に偏っておらず、まんべんなくさまざまな地方に散らばっているのが分かる。



画像 九州が妙に多いのは、カリスマユーザーが存在する影響らしい……


「だから、MixChannelはランキングを大事にしたんです。ここは、実はまるでテレビのように単方向で激しくプッシュしてくる文化です。でも、だからこそ、そういう日本的なマスの世界にいる地方の子たちも楽しめるんですよ」(福山さん)




Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/16/news007.jpg まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  2. /nl/articles/2411/16/news013.jpg 自宅のウッドデッキに住み着いた野良の子猫→小屋&トイレをプレゼントしたら…… ほほ笑ましい光景に「やさしい世界」「泣きそう」の声
  3. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. /nl/articles/2411/17/news066.jpg 「ヤバすぎwwww」 ハードオフに1万8700円で売っていた“衝撃の商品”が690万表示 「とんでもねぇもん見つけた」
  5. /nl/articles/2411/16/news014.jpg 330円で買ったジャンクのファミコンをよく見ると……!? まさかのレアものにゲームファン興奮「押すと戻らないやつだ」
  6. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  7. /nl/articles/2411/11/news056.jpg 大量のハギレを正方形にカット→つなげていくと…… “ちょっとした工夫”で便利アイテムに大変身! 「どんな小さな布も生き返る」
  8. /nl/articles/2411/17/news038.jpg 58歳でトレーニングを始めたおばあちゃん→10年後…… まさかまさかの現在に「オーマイガー!!!」「これはAIですか?」【海外】
  9. /nl/articles/2411/17/news039.jpg 母犬に捨てられ山から転げ落ちてきた野良子犬、驚異の成長をみせ話題に 保護から6年後の“現在”は……飼い主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2411/17/news004.jpg 「水曜どうでしょう」“伝説のシーン”そっくりな光景にネット騒然 「ダメだ笑っちゃう」「なまら怖い」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた