ニュース
» 2016年02月11日 11時00分 公開

かつての存在感を失った「2ちゃんねる」の明日はどっちだ

連載「ネットは1日25時間」。今回の記事はマターリ読んでください。

[星井七億ねとらぼ]

 14歳でインターネットに触れてそろそろ17年になろうとしているのですが、僕がリアル中二病を発症していた1999年は、インターネット最大の匿名掲示板であり、良くも悪くも現在の国内インターネット文化の大きな潮流を作る一端を担った「2ちゃんねる」の開設年でもあります。

 「ハッキングから今晩のおかずまで。」をキャッチフレーズに、開設当初こそ素人には近寄りがたいアングラ的な存在感を放っていた2ちゃんねるも、インターネットの浸透とメディアからの扱いが多くなるにつれて利用者を増やし、開設から数年後にはもう多くのネットユーザーにとって当たり前の存在となっていました。2ちゃんねるから発信されたネット文化やネットミームには、すっかり定着して現在も当たり前のように使われているものもあって、日本のネット黎明期に残してきた影響の大きさは計り知れません。僕自身もご多分に漏れず数年間は足しげく利用していた時期がありました。

 しかし、一時は日本のネット文化の象徴となっていた2ちゃんねるも、現在ではユーザーの減少・高齢化などによる斜陽化の一途をたどり、かつての影響力や存在感は大きく失われているように感じます。

2ちゃんねるの明日はどっち

2ちゃんねるの現状キボンヌ

 2ちゃんねるが培ってきた歴史や大きく関わった事件、ネットにもたらした影響の種類や生み出してきたコンテンツなど、そういったことの子細はすっかり語り倒されていると思うのでここで深く言及することはしません。

 2ちゃんねるユーザーの過半数が30〜40代であるという情報がネットレイティングス社(現・ニールセン株式会社)の調査によって報告されたのは、もう8年も前の2008年頃になります(関連記事)。自分で稼いだお金を好きに使えながらも流行りものからアングラなコンテンツにまでアンテナを張りやすい20代〜30代のアクティブな時期に2ちゃんねるの洗礼を受けた世代が、そのまま2ちゃんねると寄り添いながら歳を重ねたのだと考えると不思議なデータではありません。もしユーザーの入れ替わりがなかった場合、現在は40〜50代が主流になります。

 まとめブログの増加により、記事の転載元としてその存在意義を示した時期もありましたが、大手まとめブログがステルスマーケティングに関わった疑惑が噴出した、いわゆる「ステマ騒動」の影響などで、2ちゃんねる運営が転載禁止を掲げたことによる余波を受けたり、またSNSや動画サービスの隆盛、スマートホンの普及に伴いネットコンテンツそのものやネットの触れ方、生活の中におけるネットの在り方などに大きな変化が生じたことによるユーザーの分散もあり、「2ちゃんねる」は現在でもネットのメインストリームとして一定の地位を保っているとはいえ、過去のデータよりユーザーが増えていたり若返りが起きていたりということはまずないでしょう。

若い人が2ちゃんねるを使わないのは当然

 先述のようにかつては2ちゃんねるのユーザーだった僕も、2010年頃からは全く覗かなくなってしまったのですが、久しぶりに覗いてみるとやはり現在のトレンドを比べたらどうしても前時代的な印象が拭えない、特に仕様に関してはシンプルではあってもスマートではないという印象を受けました。今やオーパーツの感さえ漂う、リンク付きのスレッドタイトルが羅列されているだけのシンプルなデザインは、目に極端な負担がかかりそうな見難さや、欲しい情報へたどり着くまでの時間がやたらとかかってしまうような煩雑さが残っています。

 現代の若いネットユーザーやアクティブなユーザー層には、2ちゃんねるにわざわざ触れるだけのメリットがないという点も強いでしょう。ネットには昔よりぐっと知識のアーカイブが増え、SNSによって情報の共有も素早くなり、同好の士との接点が急速に身近なものになりました。以前、僕がアンケートツールを用いてまとめブログに関するアンケート調査を行ったところ(関連記事)、やはりまとめブログを利用する理由の中には「2ちゃんねるにはノイズが多すぎる」といったものがありました。情報の取捨選択は大量のノイズの中から行うものであり、そうやってリテラシーが培われていくものですが、もともとノイズが多いと分かりきっているところに好きで飛び込む必要性などないのです。

 また今の若い人にとってネットの触れ方は、かつてよりミニマムであったりクローズドであったりするということも影響しています。若い人が「自分の知り合いしか見ていない」と思いSNSで悪事自慢をして炎上するケースは枚挙に暇がありませんが、これはそもそもSNSの特性を十分に理解していなかった場合が多く、ネットに関しもっとヘビーで有用性のある知識を携えた若者であっても、「広大な空間を狭く捉えて使う」という意識の面ではさほど変わらないのではと思います。あまり広く手を伸ばし続けると、どこかで自分の手に収まらなくなるということを、ネットの歴史が教えてくれたからです。

 信頼できる他者と信頼できるコンテンツを、信頼できるソースと信頼できる空間(そんなものがネットにあるとは思えませんが)を厳選しコンパクトに遊ぶということは、当然というべき洗練さであり広くプラスの要素ではあるのですが、そういった意識は2ちゃんねるのように不信と雑多で構成された領域とは非常に相性が悪いと言えます。

 ユーザーというのはどのコンテンツでも時が経って入れ替わるにつれて賢くなっていくものであり、2ちゃんねるが残してきた多くの負の側面から学んでいけば、「2ちゃんねるってなんだか使いづらくて怖いところ」と若い人が考えるのは無理もなく、それはかえってアングラだった時代の印象を再び獲得しているようにさえ思えます。

2ちゃんねるの明日はどっち

こうすれば2ちゃんねるは復活する……かもしれない

 一時期と比べていくら衰退しているとはいえ、まだまだその規模は他所とは比較にならないほど大きい2ちゃんねる。高齢化社会に伴いこのままではネット老人ホームとしての機能しか果たせなくなってしまいます。どうすれば若い風を送り込んで黄金期の輝きを取り戻せるのでしょうか。

 やはり「SNS疲れ」層に訴えるのがいいのではないかと思います。SNSの隆盛は多くの可能性をもたらしてくれた一方で、知人との狭いつながりで生まれる監視状態、半匿名とはいえひとつ間違えれば他者の手によって身元が特定されるかもしれない緊張感、言いたいことも言えないポイズンな状況に、すっかりくたびれてしまった者たちも少なくありません。そういった層に、自由度をアピールする戦略を取るのです。

 ですが今までの2ちゃんねるのような風情をそのままにするのではなく、重要な運用変更として「匿名性の魅力を強調しつつモラルの線引きを厳しくする」ようにしましょう。

 例えば、名誉毀損やプライベートの侵害、レイシズムや性差別などの書き込みなどは、わずかな通報でも運営が迅速に対応し削除できるべく、削除の基準点を大幅に下げるようにします。

 これはSNS疲れ層の意識には「素性が特定されないようにして好き勝手言いたいけれど、倫理のタガが外れているレベルではない」というバランスがあるからです。2ちゃんねるを表現する代表的なフレーズとして「便所の落書き」という言葉がありますが、「便所には入りたいけれど落書きがしたいわけではない」「落書きだらけの便所には入りたくない」という層のほうがよっぽど、アクティブな便所ユーザーには多いのです。

 実際、2ちゃんねるがいくら汚物まみれであり、それが魅力だという人がどれだけいても、汚物しか存在していなかったらとっくの昔に機能不全になっています。2ちゃんねるユーザーだって多くは「倫理のタガを外したくはない」人たちなのです。多分半分、いや3割くらいかな……。

 とはいえヘビーな2ちゃんねるユーザーにしたって「ここが潰れるならばそれはそれ」程度でしか考えてなさそうですし、無くなって深刻に困る人もそこまでいないと思うので、副作用を覚悟して変に劇薬に頼り延命処置をしてしまうより、無くなるときはさらっと無くなってしまったほうが変化の目まぐるしいネットらしい結末だといえます。

プロフィール

 85年生まれのブロガー。2012年にブログ「ナナオクプリーズ」を開設。おとぎ話などをパロディ化した芸能系のネタや風刺色の強いネタがさまざまなメディアで紹介されて話題となる。

 2015年に初の著書「もしも矢沢永吉が『桃太郎』を朗読したら」を刊行。ライターとしても活動中。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2402/26/news043.jpg 生後1カ月赤ちゃん、ママが3時間抱っこで限界→バウンサーに座らせた瞬間 “激おこ”な表情に「かわいい」「ママ頑張りましたね」
  2. /nl/articles/2402/26/news040.jpg 1歳弟を寝かしつける4歳姉、2人の会話が「可愛すぎて泣ける」 “小さなお母さん”の活躍に「いつまでも仲良しでいてね」
  3. /nl/articles/2402/25/news065.jpg 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
  4. /nl/articles/2402/25/news021.jpg 10人目妊娠中の妻、出張に行く夫から突然「疲れた時は冷凍庫を開けて」とLINEがとどき…… 優しいサプライズが140万再生
  5. /nl/articles/2402/26/news110.jpg 永野芽郁、ドラマ役作りで減量していた ミラノでの1枚に「足ほっそい!」「スタイルよすぎ」の声集まる
  6. /nl/articles/2402/25/news014.jpg 母が帰宅したと思って出迎えた猫、ふと顔をあげたら…… 想定外の事態へのリアクションに「いいねを一万個ぐらいあげたい」
  7. /nl/articles/2402/26/news122.jpg 石田ひかり、2人の娘たちが海外へ旅立ちしんみり 子どもの乗る飛行機を「朝まで追跡しておりました」
  8. /nl/articles/2402/26/news125.jpg 「時差投稿」宣言の北斗晶、ブログ写真をよく見てみると……? 白物家電の英語ボタンで示唆「円安だし」
  9. /nl/articles/2402/26/news049.jpg 着古したセーターがリメークで冬に大活躍の日用雑貨に超変身! 古着の意外な再活用が「とても懐かしい気持ちに」と話題に
  10. /nl/articles/2402/25/news007.jpg 【漫画】「愛犬の老いに直面した話」に「泣きました」「まさに同じ気持ち」と8万いいね 家族の老いと喪失に向き合う話に涙
先週の総合アクセスTOP10
  1. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  2. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  3. 宿題する8歳娘と、邪魔しつづける猫を1年記録したら…… 490万再生の愛がつまったやりとりに「最強の名コンビ」
  4. 真田広之の俳優息子、母の手塚理美がエール「彼なりに頑張ってる」 両親ゆずりのルックスに「イケメン」「男前」の声
  5. 野生の鯉を稚魚から育て4年後、判明した事実に飼い主「僕は今まで何を…」 激変した姿に「爆笑してしまいました」
  6. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  7. 食用でもらった車エビ、4歳息子に「育てたい」と懇願され…… 水槽で飼育した貴重な記録に「可愛い姿見せてくれてありがとう」
  8. 2歳娘とパパ、愛と平和しかないやりとりに「100億年分のストレスが消滅した」 涙が出るほど幸せな会話に称賛の声
  9. 3歳双子姉妹、17歳お姉ちゃんを修学旅行で見送ったら…… 寂しくて号泣する様子に「もらい泣きです」「愛されてますね」
  10. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「天までとどけ」長女役、芸能界の「負の連鎖」訴え 主演俳優の“お誘い”拒否し「他の演者やスタッフからも無視」「本当の事なんか誰も話さない」
  2. 田代まさし、南部虎弾さん通夜で“一団”に絡まれる騒動へ……にらみ合いの末に「ちょっと来い」「止めろよお前」
  3. 妊娠中の英俳優、授賞式での“金太郎”ドレスが賛否両論 「半裸の妊婦なんて見てられない」「ホットなママ」
  4. 「変わんないもん俺のと」 所ジョージ、ホンダ軽を超速カスタムで高級外車と“まったく同じ”外見に 「朝から楽しいよ」「完璧!」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「意識もうろう」「何も食べられない」 すい臓がんステージ4の森永卓郎、痩せた顔出しで“最悪の時期”告白 息子は「『死ぬ』が冗談に聞こえなかった」
  7. 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
  8. 65歳マドンナ、ワールドツアー中のダンスが“おばあちゃん”だと視聴者衝撃 「もうやめなよ」「こんなふうに終わりを迎えるなんて」
  9. 人気ブロガー医師が4年の闘病の末に42歳で逝去 夫が伝える「素敵な女性がいたということを皆様の心に残していただければ」
  10. 能登半島地震により海底が“隆起”→すさまじい様子を収めた写真に「自然の脅威を感じる」