「パズドラ」「モンスト」いまだに“確率表示なし”はセーフか ガチャ問題、4月1日から施行された「新ガイドライン」の影響は
ユーザーからは「4月になったけど、ガチャ確率表記は?」といった声も。
ガチャの排出率や確率表示などのルールについて定めた、日本オンラインゲーム協会(JOGA)の新ガイドラインが4月1日より施行されました。しかし今のところガチャに上限額を設けたり、確率表示に踏み切ったりする動きは見られず、一部では「4月になったけど、ガチャ確率表記は?」といった声もみられています。
そもそもこのガイドラインはどういったものなのか。ガイドラインにはどの程度強制力があるのか。JOGA事務局に聞きました。
話題になった「上限5万円」「確率表示」実際は?
「ガチャの確率表記は強制ではなく、ガイドラインでは4つある条件のうちどれかを満たせばよいということになっています」(JOGA事務局)
今回、事前の報道では「アイテムごとに個別の確率を明記する」「ガチャレアアイテムの入手にかかる推定金額は最高でもガチャ1回あたりの課金額の100倍以内、もしくは5万円以内とする」といった部分が注目されていましたが、事務局によれば、これは必ずしも満たさなければいけないわけではないとのこと。
ガイドラインでは以下の4つのうち、いずれかを満たすように定めています。
a. ガチャレアアイテムの取得にかかる推定金額は有料ガチャ1回あたりの額の100倍以内とし、これを超える場合はその推定金額や倍率を表示する
b. 同金額の上限は「5万円以内」とし、これを超える場合はページ内に推定金額や倍率を表示する
c. ガチャレアアイテム出現率の上限と下限を表示する
d. アイテムごとの出現率を表示する
※ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン 3.有料ガチャの設定に関する事項(1)より(文章は編集部側で少し噛み砕いています)
この中で「確率表示」にあたるのはcとd。確率を表示していなくても、aとbのいずれかを満たしていれば問題ないということになります。
またaとbについても、「ガチャレアアイテム」という言葉が指す範囲については「個々のゲームによって異なるものと思われます」(JOGA事務局)とのこと。
たとえばR(レア)、SR(スーパーレア)、SSR(ダブルスーパーレア)というレア度があったとして、ゲーム運営側が「SSRはすべてガチャレアアイテム」と定義していた場合、「ガチャ1回あたりの課金額の100倍以内、もしくは5万円以内でSSRのどれか1つが当たればOK」ということになります。この場合、SSR全体の合計期待値が「100倍/5万円以内」に収まってさえいれば、個別のSSRアイテムについては、たとえば0.1%やそれ未満の提供割合であっても問題はないそうです。
なお、これらのルールは2012年のガイドライン制定時から存在していたもの。一部のニュースでは、4月からの改訂で新しく盛り込まれたように報じられていましたが、これについてはJOGAも公式サイトで否定しています(関連記事)。
「パズドラ」「モンスト」のガイドラインへの見解は
こうして見ると、確かに提供割合や確率表記について最低限のルールは定めているものの、実際の運用についてはかなりあいまいであることが分かります。個別のアイテムについて「100倍/5万円以内」なのか、それともSSR全体で「100倍/5万円以内」なのかではまったく意味が違ってきます。
ちなみに「パズル&ドラゴンズ」(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)も「モンスターストライク」(ミクシィ)もJOGA会員企業ですが、どちらのタイトルもいまだにガチャの確率は表示していません。両社にガイドラインの順守状況について問い合わせたところ、回答は次のとおりでした。
「ガイドラインにつきましては、これまで同様aを採用しております」(ガンホー)
「モンスターストライクでは、aを適用しております」(ミクシィ)
また4月以降の対応についても聞いたところ、それぞれ「2012年のJOGAガイドライン施行開始より、弊社はガイドラインに準拠して対応しておりますので、4月1日以前と以降で大きな変更はございません」(ガンホー)、「4月1日以前と以後とで変わりはございません」(ミクシィ)とのことでした。
調査方法は「年に数回のアンケートとヒアリング」
ガイドラインが守られているかどうかについては、抜き打ちでの検査などは行っていないものの、「年に数回、会員企業に対しアンケートとヒアリングで調査を行っています」(JOGA事務局)とのこと。今のところ罰則や強制力はありませんが、調査の結果、守っていないところがあった場合は理由を問い合わせたり、ガイドラインを守るよう事務局からゲームメーカー側に働きかけたりしているそうです。
アンケート調査だけでは「自己申告」でOKになってしまわないか、という懸念もありますが、これについては「だいたい正直に答えていただけていると思っています」と事務局。加えて、国民生活センターや消費者庁などとも連携しており、もしもクレームが届いた場合は会員企業に随時通達し改善を求めているとのこと。
「今のところ2回、3回と同じクレームが来たり、大きなトラブルに発展したりといったことは起こっていませんので、適切に運用できているのではと思います」(JOGA事務局)
また、これ以外にもJOGAでは取り組みの一環として、会員企業から表記や設定に関する相談を受けたり、定期的にセミナーを開催したりすることでガイドラインの順守と啓発に努めているそうです。
現状の「JOGAガイドライン」の問題点
もともと今回のガイドライン改訂は、これまでPC・スマートフォン用に分かれていたガイドラインを統合するために行われたもの。内容そのものは、実は2012年に制定されたものから大きくは変わっていません。
しかし現状、いまだにゲームの「ガチャ」が大きな問題になっていることを踏まえて考えると、このガイドラインが適切かどうかは疑問が残ります。
特に取材して気になったのは、「ガチャレアアイテム」の指す範囲が運営側任せになってしまっており、実質「アイテムごとに個別の確率を明記する」「ガチャレアアイテムの入手にかかる推定金額は最高でもガチャ1回あたりの課金額の100倍以内、もしくは5万円以内とする」がほとんど機能していない点です。
たとえばユーザーが本当に欲しいのは、現実には「数あるSSRのうちの特定の1つ」だったりしますが、メーカー側がもし「SSRすべて」をガチャレアアイテムと定義していた場合、仮に「100倍/5万円以内」でSSRのどれかが出たとしても、ハズレSSRを引いてしまったらなんの意味もないことになってしまいます。
また調査方法についても、あくまで「アンケート・ヒアリング」がベースである以上、メーカー側の「自己申告」に頼りすぎている感は否めません。国民生活センターなどと連携しているとは言っても、現実にガチャが社会的な問題となっている現状に照らし合わせると、本当にすべての問題に対応できているかは疑問です。
今後は前向きな取り組みも
ただ、前向きな取り組みもみられます。現状すべてのオンラインゲーム会社がJOGAに加入しているわけではありませんが、3月24日にはもう1つの業界団体であるモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)と今後ガイドラインを共有していくことも発表しています(関連記事)。
JOGAには現状、「パズル&ドラゴンズ」のガンホー・オンライン・エンターテイメントや「モンスターストライク」のミクシィなどが加入していますが、一方MCFには「グランブルーファンタジー」のCygamesや、「白猫プロジェクト」のコロプラ、「実況パワフルプロ野球」のコナミデジタルエンタテインメント、「アイドルマスター シンデレラガールズ」シリーズのバンダイナムコエンターテインメントなどが所属しています。今後はMCFの所属企業をはじめ、JOGAに加入していない企業やタイトルにもガイドラインの順守を求めていくとのこと。ガイドラインそのものについての疑問はさておき、業界全体で問題を共有していくのは大きな前進と言えます。
「グランブルーファンタジー」の炎上をきっかけに、ふたたび問題視されつつある「ガチャ」。ユーザーからは「早く確率を公表してほしい」「法規制される前にできれば業界側からの自浄を」など、業界団体の働きに期待する声もあがっています。
関連キーワード
ガイドライン | レアアイテム | モンスターストライク | ガンホー・オンライン・エンターテイメント | mixi(ミクシィ) | パズル&ドラゴンズ | オンラインゲーム | グランブルーファンタジー | 国民生活センター | 消費者庁 | モバイル・コンテンツ・フォーラム
関連記事
- 「ガチャ問題」業界団体が共同でガイドライン順守徹底へ 「グラブル」Cygamesや「白猫」コロプラなども
これまでJOGAに参加していなかった会社にもガイドライン順守を呼びかけていくとしています。 - JOGA、「ガチャ課金ルール改定」報道を一部否定 「ガチャ上限5万円」は2012年時点から存在
4月1日からのガイドライン改訂は行われるのは事実ですが……。 - 日々是遊戯:JOGA、ガチャ運用のガイドライン発表 確率操作禁止、レアアイテムは5万円以内に
ソーシャルゲームに続いて日本オンラインゲーム協会もガイドライン発表。 - 「グランブルーファンタジー」 ガチャの出現確率を個別表示開始 0.007%という数字に驚きの声も
おかしいと思う? けど、これがソシャゲの世界なのよ。 - グラブル、正月ガチャの補填宝晶石が10万石単位で返還された“詫び石大名”が大量に生まれる なお1石は約1円
中には80万石を超える超有力大名も。 - 「グラブル」運営が生放送で謝罪 ガチャに上限設定&正月ガチャ利用分をゲーム内アイテムで全額補填へ
評価する声もある一方で、やはり厳しい意見も。 - 「グランブルーファンタジー」運営元、ガチャの個別出現確率を表示へ
レア度別で表示していた装備品の出現確率を、個別で表示する。 - スマホ版「パワプロ」がガチャで炎上 対象キャラ排出されず、お詫び配布発表もユーザーの怒り収まらず
「詐欺じゃねえか」「金返せよ」といった声も。 - ガチャ炎上中の「グランブルーファンタジー」が謝罪 ユーザーからは「謝罪になってない」「そこじゃない」などの声も
謝罪コメントは出たものの、ユーザーの怒りは依然として収まっていないようです。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
-
そうはならんやろ “バラの絵”を芸術的に描いたら……“まさかの結果”が200万再生 「予想を超えてきた」【海外】
-
「なんじゃこりゃ」 ハードオフでジャンク品発見→“思わず目を疑う”値札に「正直過ぎて草生える」
-
【今日の計算】「5+6×4+1」を計算せよ
-
「SPY×FAMILY」“アーニャ語”っぽい駅名が発見される→「ワロタ」 「シュール」と“8.1万いいね”
-
「天才だわ」「センスの塊」 ごく普通の茶封筒 → 超絶オシャレなアイテムに変身! プロのアイデアが280万再生「こんなのもらったらうれしい」
-
「やば絵文字」見つけた―― LINEで送られてきた“見たこともない絵文字”の正体が予想外 「え、ほしい」「どうやって使うんや」
-
「カードキャプターさくらになりたい」 子どものころの夢を実現させた人に反響→「これは本物だ……」と8.4万いいね
-
「脳がおかしくなった」 新宿駅を出る→“まさかの光景”に思わず三度見 「意味わからん」「田舎者にはマジでダンジョン」
-
これは憧れる…… “1人暮らし歴5年”のこだわりがつまった“1K7畳”に反響 「なんておしゃれ」の声
- “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
- 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
- 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
- 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声
- 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
- 猛毒ガエルをしゃぶった30分後、口がとんでもないことに…… 直視できない異常症状に「死なないで」「この人が苦しむってよっぽど」
- 33歳の「西郷どん」二神光さん、バイク転倒事故での急逝に衝撃 1年前の共演者は“願い”明かし「叶わないなんて」
- 「コレ入れると草が生えない」 外構工事のプロがやっている“究極の雑草対策”に注目
- 「へー知らんかった」 わずか7年で“消えた駅” 東京メトロが明かす“知れば納得の歴史” 「だからあんなに……」
- 秋葉原のトレカ店が“買い占め被害” 近隣店とその常連客が共謀し“全口購入の人員確保” 「大変遺憾で残念な限り」
- 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
- 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
- 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
- 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
- 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
- ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
- 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
- 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」