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» 2016年04月28日 11時00分 公開

当時のプロデューサーから詳細判明 ジャンク基板から発見された謎のゲームの正体「DarkSeed」

ゲーム中の時候の変化がキャラクター性能に影響する、意欲的なシステムを導入していた。

[沓澤真二ねとらぼ]

 ジャンク基板から発見された謎のNEO-GEO格闘ゲーム(関連記事)。その後の調査により、当時携わっていたKONさん(@food2han)の証言から、「超人学園ゴウカイザー」の元スタッフによるフェイス作品と判明しました(関連記事)。編集部はKONさんの提案により、同作のプロデューサーであった浅井健吾さん(リンク先はFacebookページ)に取材を敢行。いよいよ「謎のゲーム」の詳細が明らかになります。


NEO-GEO.COM 海外のNEO-GEOファンサイト「NEO-GEO.COM」での発表

 現在はシナリオライターとして、セガの「戦国大戦」やAimingの「幻塔戦記グリフォン」、USJのアトラクション「エヴァンゲリオン・ザ・リアル4-D: 2.0」を手掛ける浅井さん。約20年前に未完に終わったプロジェクトが表面化したことに面食らいつつも、当時のことを詳しく語ってくださいました。

1995年末からスタートしていた「DarkSeed」

―― これまでねとらぼでは、この作品を「謎のゲーム」として紹介してきましたが、正式タイトルは何だったんでしょうか?

浅井 未発表のため、正式名称はありませんが、開発中の主要な作品名は「DarkSeed」でした。

―― ありがとうございます、スッキリしました(笑)。Twitterに寄せられた情報には、「ドラゴンズヘブン」という名前も挙がっていましたが?

浅井 それは「DarkSeed」での商標取得が難しかったため、仮に付けられたものだったと思います。

―― なるほど。それでは「DarkSeed」は、いつごろ始まったプロジェクトだったのでしょうか?

浅井 当時のフェイスには、「DarkSeed」の開発を始めるためのスタッフが集められていました。その多くを占めたのが、私も含め、元々テクノスジャパンで「超人学園ゴウカイザー」を開発していた人たちでした。両プロジェクトには重複している期間があり、1995年末から翌年の初頭には、メインスタッフが作業を開始していたように思います。

キャラクターのアライメントとステージの時候が戦況に影響

―― ローフルやカオティックにキャラクターの属性が変化するシステムが印象的ですが、作品のコンセプトは?

浅井 企画された当時はダークファンタジー的な作品が流行していて、それに従ったものだったと思います。属性については、キャラクターがローフル、ニュートラル、カオティックに変化する、「アライメントシステム」として設定したものでした。

―― キャラ選択時にアライメントを選ぶことで、性能が大幅に変わるシステムと想像していました。

浅井 それに近いのですが、少し違います。アライメントは、戦闘後に表示される選択肢によって変化していくシステムでした。例えばローフルをキープするには、秩序的な選択をし続けなければなりません。また、アライメントによってさまざまなメッセージが変化して、エンディングも異なったものになる設計でした。


キャラ選択 キャラクターの下に表示されるアライメントは、プレイング次第で変化するものだった

―― プレイの過程で変化するんですね。では、アライメントはキャラクターにどのような影響を?

浅井 「DarkSeed」にはラウンドごとに、朝、昼、夕、夜の時間経過があります。ローフルでは昼に能力値がパワーアップし、特殊な技が使えます。その代わり、夜は多少能力がダウンします。カオティックのキャラクターはその逆で、夜に強く、昼は弱くなります。ニュートラルの場合、能力は変化しません。


背景 時候が変化する背景には、システム的にも重要な意味があった

―― あの凝った背景は、システムとも密接に関係していたんですね。

浅井 これは、対戦を促す目的で設計したものでした。シングルプレイでも対戦でも、プレイ中はラウンドを重ねるごとに時候が変化します。勝負の流れや乱入の影響により、必ずしもラウンド1が朝とは限らなくなります。そのため、挑戦者は時候が有利な条件のときに乱入したり、逆にわざと不利な条件で挑戦して実力を見せつけたりできるわけです。

―― システムの詳細を聞くと、今でも面白そうな作品に感じます。キャラクターデザインも個性的ですし。ネットには「ゴウカイザー」と同じく、大張正己さんが関わっているのではという意見がありました。

浅井 違います。大張さんは尊敬する先輩ですが、「DarkSeed」では残念ながらご縁がありませんでした。

―― キャラクターには2人で1組になっている者もいますが、これはどのような構想だったのでしょう?

浅井 昼と夜で能力に差の出るシステムを構想した後、それに深く関係するキャラクターが必要と考えるようになりました。そんなときに、昼は男性と鷹、夜はオオカミと女性に変身してしまい、ともに人間の姿で会うことができないという、悲しい呪いをかけられた恋人たちが登場する某映画を見まして。オマージュの名の下に設定したのですが、今見ると、もう少し工夫できなかったのかと反省しています。


サッド&ティア昼 とある洋画へのオマージュから生まれたコンビ。男性がサッドで、鷹がティア

サッド&ティア夜 アライメントの変化でなく、昼夜に合わせて変身するそうです

チャルチチ&キャルキキ チャルチチ(左)とキャルキキ(右)の姉弟コンビも。臆病なキャルキキを男らしくするため、姉のチャルチチが旅へ連れ出したという設定

心境は複雑ながら、発見者には敬意を

―― それでは最後に、海外のファンサイトでデータが発見されたことに対し感想をお願いします。

浅井 「DarkSeed」は資金難による2度のペンディングがあり、その後正式に中止となってしまいました。本来、開発用の基盤は外部に出てはいけないもののため、いささか困惑するところもあります。ただ、既に20年が経過しておりますので、もはや確認のしようもないですね。今は発見されたNeoTurfMastaさんの幸運と努力、知識に敬意を表させていただきます。ただ、個人的に楽しい思い出ばかりではありませんので、驚きや喜びと共に、20年越しの呪縛の様な恐怖を味わいました。今もそうは変わりませんが、より未熟だった若いころの自分が苦々しくよみがえりましたね。

―― 立場上発言が難しいところ、貴重なお話をありがとうございました。


(沓澤真二)


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