「取ってしまえばどうということはない」 魚屋さんがまとめた寄生虫データが食卓に安心を届けてくれそう:司書メイドの同人誌レビューノート
「魚屋が出会う身近な魚の寄生虫」をご紹介。フルカラーで寄生虫の画像が載っているので、苦手な人は注意。
やっと梅雨明けして暑い夏が到来! 海が呼んでいますね。泳ぐも良し、魚を釣るも良し。釣ったお魚は、今夜のおいしい晩ごはんに……とうきうきしますが、実はそのお魚さんのなかには「彼ら」がいるかもしれないことを、私は知ってしまったのです……。
今回レビューする同人誌は、タイトルからお察しいただける通りの内容です。レビューするときはいつも「こんなに面白い同人誌だから、もっとたくさんの人に読んでいただきたい!」と思っており、今回ももちろん、いえ、ますます強くそう思っているのですが、今度ばかりは「読むかどうかは自己責任で」と言わざるを得ない、なかなかのショッキングな内容となっています。
しかし、前書きで作者さんも述べているように「知って、最終的にお魚をおいしく食べること」がこの本の目的です。知っても知らなくても「彼ら」が身近にいるのなら、私は知る方を選びました!
今回紹介する同人誌
「魚屋が出会う身近な魚の寄生虫」 A4 20ページ 表紙・本文カラー
著者:泉翔
リアル魚屋さんが教えるリアル寄生虫事例が満載
うわあああ! 本のタイトルから想像はしていましたが、フルカラーの誌面にピチピチの寄生虫さんたちの写真が満載。覚悟したつもりでしたが、それでもびくっとしてしまいます。トップバッターはアニサキスは聞いたことがあります。ちょうどこの間読んだ伊集院静氏の工ッセイの中で「阿川佐和子氏もアニサキスにニ回やられている」というのを読んだばかり。アニサキスはこんなお姿だったんですね。
ほかにもニべリニアやテンタクラリアなど、初耳ですが、その姿はいずれも「あっ、これは取り除いた方がいいですね」と瞬間的に察知できるビジュアル。そんな、見つけちゃったら手が止まりそうな寄生虫の彼らが、どの魚にいるのか、出現頻度、迷惑度、人体への影響などの項目で分かりやすく紹介されています。作者さんは魚屋さんにお勤めとのことで、「ブリ糸状線虫は丸まっていると発見しにくい」など、日々働いているからこそのリアルな説明も。
寄生虫と戦う魚屋さんの奮闘ぶりが光る
ページをめくってもめくっても魚介と寄生虫が続きます。あ、アサリに入っていた小さなカニのページはちょっとほっとしました。そうか、これも寄生の一種ですね。魚に、貝に……こんなに寄生されているものなんですね、としみじみとさえします。ん? でもいままでの日常生活でお魚のなかの寄生虫なんて出会ったことがないなあ……と思っていたのですが、それってお魚屋さんが一匹いっぴきを頑張って取り除いてくれていたからなんですね。
釣りをする方などには常識なのでしようが、基本的に切り身を購入する方法でしかお魚と出会っていないと、こんなに魚屋さんの力が大きいなんて思ってもみませんでした。時に自分の目を信じ、時に最新マシンを導入して、日々、コツコツと寄生虫を取り除いて「安心しておいしい魚を食べてほしい」と奮闘する様子が、4コマまんがを交えて書かれます。ありがとうお魚屋さん!
取ってしまえばどうということはない
あまりにもナチュラルに寄生虫が存在することを知り、私も本の途中までは「うわあ……知らなければよかったかも」と思っていました。けれど、読み進めるうちに「寄生虫はそんなにレアなものじゃない」「取り除けばいい」「適切な処置をすれば彼らは滅び、おいしく食べられる」と繰り返し書かれていることに気付きました。
作者さんは「魚に虫ついてた! 気持ち悪いしお腹壊したくないから捨てよう」から「魚に虫ついてた! でも、取ってしまえばどうということはない」になるように……と願いをこめて語っていらっしゃいます。普段、触れていないだけにその存在にびっくりしてしまいましたが、いずれ巡り会ってしまうのなら、目をつぶらずにせっかくのお魚をおいしくいただきたい、むしろ見つけ次第、スムーズに除去できる方法を知れてよかった! と思うまでに至りました。
寄生虫について知ろうとしたら、専門書は存在しています。でも、キッチンで彼らと出会う瞬間を想定して書かれた本はなかなかありません。そんななかで、食卓に近い魚屋さんという立場から、明日すぐに役立つ目線で書かれたこの本は、とっても親しみやすかったです。
ちなみに、本を読み終えて、早速お魚を買ってきてまじまじと眺めたのですが、今回は「彼ら」には出会えず、切り身はおいしい晩ごはんになったのでした。
今週のシャッツキステ
著者紹介
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