今年でオープン405年!? ちょんまげのサムライがイタリアンを作る深夜食堂に行ってきた

お店はイタリアンなのに店主はちょんまげサムライ姿。深夜食堂「ぺペロンチーノ」でサムライに会ってきた。

» 2016年08月11日 11時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 日が沈むと、東心斎橋(大阪市中央区)は電飾看板が鮮やかな色で輝き、観光客だけでなく、華やかな和装やドレスの女性や、光沢のあるベストを身につけた男性などが行き来する歓楽街の顔を見せる。そんな夜の街の一角に「サムライがスパゲティをゆでている!」と話題の深夜食堂「ぺペロンチーノ」がある。ちょんまげを結った大阪ミナミの名物店長に会いに行ってみた。

ペペロン 店長の後藤 又兵衛(またべえ)隆博さん

話題のサムライ店長、現る!?

 「サムライだからといって和食が好きとは限らない。イタリアンが好き!」

 ちょんまげ、着物姿でむかえてくれたのは2012年のオープンから今年で400と5周年(?)を迎える「ぺペロンチーノ」の店主「後藤 又兵衛(またべえ) 隆博」さん。ミドルネームの「又兵衛」は後藤家の家系図に記してあった実在の人物。同一人物かどうかは定かではないが、大坂夏の陣で真田信繁(幸村)とともに活躍した槍の名手「後藤又兵衛」と同姓同名だ。

ペペロン 模造刀を構える後藤さん。実は居合術にも通じている

 店の座席はカウンターのみ10席。店内には所狭しとお客さんが持ち込んだおもちゃの槍や雑貨などが並び、棚のガラス戸には「ほっぺにチューは7万円」「うちのハートはヒートテック」「浮気する奴は嫌い!!! でも浮気する度胸のない奴はもっと嫌い!!!」などの言葉がマジックで勢い良く書かれていた。

 「酔っぱらったお客さんが書いていかれるのですが、時々名言もあります」(後藤さん)

 お客さんと距離は近く、後藤さんは調理をしながら2人組の若い女性客の恋愛相談に答えたり、家族と来ていた男の子から「どうして店長はサムライなの?」と聞かれて苦笑したりしていた。どうやら気さくなサムライのようだ。

ペペロン お客さんが置いていった謎なモノでいっぱい
ペペロン 名言、そして迷言

どうしてちょんまげ?

 実は2014年までは、まげを結ってなかった後藤さん。「金髪とかハイカラな髪形にしたこともありましたよ」(後藤さん)

 しかし、友だちの「ご飯がおいしいお店」を手伝った時に着物を着ることになり、着物に合う髪形を試行錯誤した結果、ちょんまげに辿り着いたという。当初は髪形を維持するのが大変だということで2週間限定だったのだが、後藤さんのお店のお客さんからの反応もよく、そのまま続けることになり現在に至った。はじめは髪の長さが足りず、つけ毛が必要だったそうだ。

 ちなみに、ちょんまげには小まめなお手入れが必要。歌舞伎役者からちょんまげの結い方を習った美容師に、2〜3日に一度月代(さかやき)をそってもらっているのだが、それには1時間程度かかるという。

 ところで、夏の熱い厨房で調理している時、髪形が崩れることはないのだろうか。筆者の問いに後藤さんは大丈夫だと答えた。美容師が独自の配分で混ぜ合わせた水性ポマードとジェルで、臭いを出さずに形とツヤを保っているとのこと。

ペペロン ただいま調理中!

夜の本格イタリアンとサムライの心遣い

 辻調理師専門学校を卒業後、ホテルやレストランで経験を積み「ぺペロンチーノ」をオープンした後藤さん。「ぺペロンチーノ」のメニューはグルメサイト等で高い評価を得ている。

 さっそく店内ナンバー1の人気を誇る「卵とろとろオムライス!! 〜自家製ドミグラスソース〜」、またの名を「サムライス」(1000円)をオーダー。柔らかいあつあつの卵に、甘さ控えめで懐かしい味わいのドミグラスソースと濃厚な生クリームがかかっていて、暗褐色のライスには赤ワインが使われている。スジ肉や野菜くずなども残さず使い、創業当初から継ぎ足しながら作り続けているドミグラスソースは「ぺペロンチーノ」の神髄ともいえる。

ペペロン 「卵とろとろオムライス!! 〜自家製ドミグラスソース〜」通称「サムライス」1000円

 次に店名にもなった、ぺペロンチーノの「シンプルisぺペロンチーノ」(700円)を注文。「ペペロンチーノ」のペペロンチーノは、全般的にスープが多めなのがポイント。「夜、お酒を飲んだ方が、何か食べたいけどラーメンの気分じゃない。そんな時に食べたくなるようなパスタにしました」(後藤さん)。箸で食べられるペペロンチーノにしたと話す。

ペペロン シンプルisぺペロンチーノ 700円

 「シンプルisぺペロンチーノ」は唐辛子の赤が印象的だが、タマネギとベーコンの旨みと甘みがスープに溶け込んだやさしい味わいだ。麺と具を一緒にゆでるため、野菜や肉のエキスが麺にしみているという。他に大葉と生姜の香りが食欲をそそる「大場と生姜のやみつきぺペロンチーノ」、「シンプルisぺペロンチーノ」の倍以上のニンニクと唐辛子を使ったスパイシーな「キング・オブ・ぺペロンチーノ」といったぺペロンチーノがある。

ペペロン 実際は1人前以上のボリュームがあり、シェアして食べることが多い

 また料理にはなるべく野菜を多く使い、化学調味料は用いず素材の味を生かすという。「一度身体をこわしているので、サプリメントではなく、食べるもので健康を保つのが良いと思うんですよ」

 日々の疲れやアルコールで弱った身体を、料理でいたわる後藤さん。気さくなサムライ店長の深夜食堂はおいしさと人情に満ちていた。 

ペペロン ドーンとサムライス!

ペペロンチーノ

大阪市中央区心斎橋筋2-2-10 新日本三ツ寺ビル3階

営業時間19時30分〜33時(翌9時)※ラストオーダーは32時(翌8時)まで


谷町邦子

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/06/news046.jpg 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
  2. /nl/articles/2501/07/news151.jpg 「3人目!?」「妊娠何ヵ月?」 榮倉奈々、公開した動画に映ったまさかの“ぽっこりおなか” 仲良すぎな夫婦ショットにファン爆笑
  3. /nl/articles/2501/06/news149.jpg アレン様、りゅうちぇるさんの“暴露”が「中居正広のことでは?」という説に言及
  4. /nl/articles/2501/07/news027.jpg 四つん這いで撮影中、背中に乗ってきたのは…… フォロワー48万人の人気写真家に起こった奇跡に「羨ましい」「動けない」
  5. /nl/articles/2501/07/news103.jpg 登録者80万超の34歳YouTuberが“健康上の理由”で死去……逝去前日に“体重”巡って意気消沈「情熱と目標なくなった」「とても寂しい」
  6. /nl/articles/2501/06/news043.jpg 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  7. /nl/articles/2501/05/news001.jpg 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/07/news066.jpg Amazonから“まさかの箱”で荷物が到着 珍しすぎる光景に「剥き出しで届いたのかと」「これ欲しさで買い物する」の声
  9. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. /nl/articles/2501/06/news015.jpg 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と大反響 2024年に読まれたコーディネート記事トップ5
先週の総合アクセスTOP10
  1. ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
  2. ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
  3. 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
  4. 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
  5. 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
  6. 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  9. 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  10. サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」