君の恋をコンティニューだ! 「ハイスコアガール」日高小春を全力で応援させてもらおう:あのキャラに花束を
恋する少女よ、アケコンのレバーを持て。
「ハイスコアガール」連載と出版完全復活、本当にめでたいことです(ビッグガンガン7月25日発売号から再開しています)。「ハイスコアガールCONTINUE」は大幅に描き変えられているので、元の本を持っている人は大事にとっておきましょう。
ゲームが好きで好きで仕方ない少年ハルオ、天才的なゲームの腕前を持つお嬢様・大野晶、ハルオにずっと片思いしている日高小春の3人の恋模様が、ゲームを通じて描かれます。いうなれば、ドラクエ5のビアンカとフローラ。
てかね。もう大野さんルートなの分かってるんです。家の事情で苦しみ続けている大野さん、自由がゲームにしかない大野さんには幸せになってもらいたい。もらいたいですよ。
でもぼくは、恋に向かって一途極まりない日高小春が、あて馬だとは思いたくない。あんなに頑張りやな彼女が幸せにならないとかありえないでしょう?
ゲームなんて興味なかった
金髪で、真面目で、本人いわく影が薄いらしい(2巻126ページ)。友達とつるむのはそこまで好きではない様子。ハルオのお母さんが言うには「こ〜んな可愛い子」だそうな。
押切蓮介作品の中では比較的珍しい、一般的な少女です。アクの強い性格ではないし、びっくりするスキルも持ってない。美人だけど「超美人」ではないっぽい。家庭はのんびりした酒屋。確かに大野さんレベルが登場する作品の中では、影薄いかも。金髪だけど。
だからこそ、彼女の存在は際立ちます。恋をする少女として。
彼女が彼に引かれた理由は、このページを見るだけで分かると思います。何かに夢中で打ち込める、決してブレないハルオ。彼と一緒にいると、不思議と落ち着ける。
自分で「影が薄い」と自分で言っちゃうことから分かるように、打ち込むものなく淡々と過ごしてしまったのが、彼女のコンプレックスでした。「私ホントに遊びの才能が無いな……(2巻12ページ)」とも言っています。ゲームに全力全身全霊でのめり込んで楽しめるハルオが、とてもキラキラして見えた。
大嫌い!
ハルオはびっくりするほど小春に目を向けない。いや嫌いじゃないんですよ。むしろ大好きでしょう。……ゲーム仲間として。つらい。
しかも小春がプレゼントした手袋を、「サムスピ」の超連打のためにボロボロにした時、さすがにキレました。当たり前だ。
でも君は、彼が何もかもをゲームにささげられるくらいだからこそ、好きになっちゃったんだよね。
小春は非常にモノローグの多い子です。ハルオに対しての自分の心や関係、大野さんに対する苦しい嫉妬、自分を励ます決意の言葉。表現手法はとても少女漫画のヒロイン的です。
一方大野さんは、一切しゃべりません。回想シーンですら一言も言わない。主にハルオなど周囲の人間から見た行動で、思いを見ていくしかありません。この表現非常に少年漫画のヒロイン的。
またハルオに対して「押し」の行動に出る小春と、ハルオが惹(ひ)かれて「救いたい」と感じる大野。真逆です。これは、小春が一番痛感している問題。だからと言って大野みたいに「引いた」ところで、ハルオは追っかけてきてくれないんだよ。つらい。
勝ち続ければあの人は
小春は、天性のカンで格ゲーでそこそこ勝ててしまう、という才能がありました。負けず嫌いのハルオも認める素質です。そうしてゲームの友人として、彼の家に遊びに行ったり、ゲーセンで対戦したり。ハルオは普通のことに思っているかもしれない。小春も普通を装っている。
でもね、これは小春が血のにじむような努力の末に勝ち取った場所。天性のカンだけじゃ一緒にいられない、頑張ってゲームをすれば見てくれるんじゃないか、という祈り。自分が眼中にないのなら、見えるところに立つしかない。
小春は絶対に、嫉妬を大野さんに攻撃として向けない。心が荒れはするけど、大野さんがにくいとかジャマとか考えない。ハルオにも向けない。全部自分を磨く方向に向けている。自分が未熟だから頑張らなければ、というストイックさは、なかなか高校生にはできない。
あなたのことが好き。大好き
小春がハルオに告白し、ゲームで勝ったら付き合って、と強引なまでにハルオに詰め寄ったシーン。ファンは動揺しました。「小春、ここで脱落するのか!?」と。
失礼な、そんなわけないだろ、ここまで頑張ってきた子が何も報われずフェードアウトしていいと思ってるのか! と連載時のぼくはかみ付いたものです。でも結果として「小春が負ける」っていうのは、みんな分かっていたと思います。
ハルオを打ち負かして、本当に満足なのかと。分かってる、でも止められないんですよ、振り向かせる方法が他にないんだもの。こじ開けるしか無い。
「一緒にゲームしたり」「デートしたり」「手を繋いだり」。
ハルオが大野さんに惹かれているのは、彼女がただただ純粋に面白いゲームを求めているからです。小春は「恋>夢中になれること」からまだ抜け出せていない。ここで勝っても、「恋人」の肩書になっても、ハルオの心は向いてくれない。
大好きだと思えるもの
彼女はハルオとの試合で、本当の意味で夢中になれるものを見つけました。掛け値なしに、楽しい、絶対勝ちたい、頑張りたい、というもの。
ハルオは幼い頃から悩んでいる時に、ガイルが励ましに来てくれました。大野は悩みがあるときにザンギエフがあらわれ、心を落ち着けるようアドバイスしてくれました。
「ヴァンパイアハンター」のフォボス。何も言わない、朴訥で真っすぐでやさしいロボット。2人と同じように、心から真剣にゲームになれたからこそ、現れたんでしょう。
この作品においては、「夢中になる」というのは、自分を持つ、自我が生まれる、と同義です。小春はフォボスがあらわれたことで、恋ばかりだった状態から少し解放されて、自分自身を楽しむことに目覚めました。6巻以降のプレイも、「ゲームを楽しむ」ようになっています。やっぱり、何かを全力で楽しめる人間は、魅力的だよ。
君はハイスコアガール
4巻の番外編、高校入学前の春休み、小春が1人ゲーセンでハイスコアを狙うシーン。彼女は「楽しい」と感じていました。
格ゲーの勝ち負けは、すっごく楽しい。けれどハイスコアは、ものすごくストイック。たった1人の闘いです(ハイスコア上位狙い争いは一応あるけど)。ゲームが楽しいと心の底から感じていなければ、挑もうとするものではない。
この作品のタイトルは「ハイスコアガール」。つまり「ゲームが大好きで楽しんでいる女の子」。この物語は「何かに対する愛情を見つける素敵さ」を高らかにうたう作品。小春は6巻まできてやっと、そのスタートラインに立ちました。
ゲームを心から、掛け値なしに愛するようになった小春なら、ワンチャンある気が……しないけど……。
いや、少なくともハルオが惹かれる瞬間くらいあってもいいんじゃないかな!? 例えば小春がいない時に、気にかかるようになるとか、そのくらいはさあ。ウルトラCがあるかもしれないでしょう? 連載再開してからも、小春は全く諦めていません。終わらん、まだ終わりませんよ。
(たまごまご)
関連記事
「ハイスコアガール」が約2年ぶりに連載再開! 押切蓮介「気を引き締めて頑張ります!」
東京・中野では、複製原画などを展示する「ハイスコアガール CONTINUE展」が8月7日まで開催。「ハイスコアガール」連載再開を祝して「ピコピコ少年SUPER」の最終話「糞袋少年」の無期限再公開が決定
「ふびんすぎて読めない」といわれておよそ1年半。押切蓮介「ハイスコアガール」、7月25日発売の「ビッグガンガン」で連載再開!
加筆修正を施したリニューアル版「ハイスコアガール CONTINUE」や、「ハイスコアガール」最新6巻も発売。あのキャラに花束を:「シン・ゴジラ」の大人気理系女子・尾頭さんに論破されてごめんなさいしたい
どんな私生活を送っているんだろう……。あのキャラに花束を:世界が認めた健康美 「ポケモンGO」で、ぼくはトレーナーちゃんのためにポケモンをゲットしたいんだ
あくまでもアバターでしかない「トレーナーちゃん」、なぜこれほど人気に?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
昨日の総合アクセスTOP10
桃井かおり、「GLAY」TAKURO夫婦とLAで遭遇 豪華ショットに「スターがスターにバッタリ」「凄すぎる〜!」
なでなでしていたら突然スズメが豹変して……? “鳥がいかに理不尽かが良くわかる動画”に共感の声
「これが犬を飼っている家の現実です」 掃除機メーカーに伝えたくなるリアルな写真→犬飼いさんから共感集まる
auで大規模障害、音声通話やデータ通信が利用しづらい状態に 2日未明からなお続く
香取慎吾&草なぎ剛、少しいいとこ住んでそうな“阿佐ヶ谷姉妹風”ショット 「クオリティー高い!」「違和感なさすぎ」
お兄ちゃん猫が、子猫をぎゅっと抱きしめてすやすや 2匹とも幸せそうな寝顔に「幸せ涙が溢れてくる」の声
映画「ゆるキャン△」レビュー 愛に満ちた「社会人物語」の大傑作
チョコプラ長田、“1000万円超の高級車”を購入 現ナマを積みパンサー向井を動揺させる
カラスに襲われたフクロウを保護→リハビリ施設へ送り出すまでの20日間 保護主の深い愛情と切ない別れに感動
大型犬を飼う→「家がこういう状態になることも覚悟しなければなりません」 恐るべき破壊力とあいらしさに共感の声集まる
先週の総合アクセスTOP10
- めちゃくちゃ目立ちそう! 元俳優・成宮寛貴、ほぼ変装なしのディズニーシーに現れた姿がオーラだだ漏れ
- 尼崎市が全市民情報流出の会見でUSBのパスワード桁数を言ってしまいネット総ツッコミ 「情報セキュリティの教材か?」「やらかし重ねてるの面白かった」
- 1匹の子猫を保護すると……草むらから子猫の群れが! 助けを求める様に寄ってくる姿がいじらしい【米】
- 入院中の堀ちえみ、クレーム電話連発する“心ない人物”に苦悩 顔も知らない相手に「人生を阻まれてしまいます」
- よそ者には厳しい甲斐犬が、家族と認めた子柴犬を…… 全力で守る姿に「深い愛情に泣ける」「誠実さがかわいい」
- パパ、10時間ぶりの帰宅でワンコの感情が…… 大爆発!!→体当たりするゴールデンレトリバーがいとおしい
- YOSHIKI、母親の四十九日で生まれ故郷へ 喪服姿で悲しみを吐露「I miss my mother」
- 「私はどん底に居ました」 小林麻耶、妹・麻央さんの命日に思い吐露「真実を伝えるしかないと死を考えたことも」
- ちょっと窓を閉めただけで、ゴールデンレトリバーの表情が…… この世の終わりのようなお顔が抱きしめたくなる
- 柴犬が散歩中、ノラの子猫たちに囲まれて…… 迫力におされて全く進めない姿が応援したくなる
先月の総合アクセスTOP10
- 有料スペースに乱入、道具を勝手に持ち出し…… 関電工労組の関係者がキャンプ場でモラルを欠く行為、Twitterでユーザーが被害を投稿
- 「皆様のご不満を招く原因だった」栗山千明、“百万石まつり”の撮影禁止騒動を謝罪 観客は「感謝しかありません」
- ダルビッシュ有&聖子、14歳息子のピッチングがすでに大物 「球速も相当出てる」「アスリート遺伝子スゴい」
- 息子を必死で追いかけてきた子猫を保護→1年後…… 美猫に成長したビフォーアフターに「幸せを運んできましたね」の声
- 野口五郎、20歳になったピアニストの娘と乾杯 「娘はカシスソーダ! 僕はハイボール!」
- 「めっちゃ恥ずかしい」 平嶋夏海、魅惑の「峰不二子スタイル」で橋本梨菜とお色気ツーリング 「すごいコラボやなぁ」の声
- ニコール・キッドマン、ネットで酷評された“54歳の女子高生”スタイルの真相を語る 「何考えてたんだろう?」
- 坂口杏里さん、夫の鍛え上げた上腕に抱きつくラブラブ2ショット 「旦那は格闘技もやってるから、ムキムキ」
- 大家に「何でもしていい」と言われた結果 → 台所が隠れ家バー風に! DIYでリフォームした部屋の変化に驚きの声
- 猫にボールを投げた飼い主さん、“1時間全力謝罪”する事態に!? 顔面直撃した猫の表情に「笑っちゃいました」