コスプレ学園ロケで人気の「中野マンガアートコート」が契約解除後も不法占拠? 中野区は裁判所への提起を準備

一方、「中野マンガアートコート」側は不当であると裁判所へ提起し泥沼へ。

» 2016年10月13日 19時25分 公開
[ねとらぼ]
中野マンガアートコート

 東京中野にあるマンガ・アニメの文化施設「中野マンガアートコート」(桃丘小学校跡地)が、契約解除後も占有しているとして中野区から退去を求められている。

 教育やイベント、コスプレイヤーには学園ものの撮影場所として人気の施設は、学校法人タイケン学園と中野区との連携事業として2011年10月に開設。桃丘小跡施設を5年間の期間、基本協定及び賃貸借契約を締結したうえで貸し出し、マンガやアニメーションなどの文化・芸術の情報発信拠点としてスタートした。

 中野区が10月7日に公開した「桃丘小跡施設について」によれば、「学園による複数の重大な違反行為が判明」したため、8月19日をもって基本協定および賃貸借契約等について解除したとある。その後、学園側は施設を占有し、明け渡しに応じていないという。

中野マンガアートコート 中野区の告知文

 10月6日に公開された総務委員会および建設委員会による区議会資料「学校法人タイケン学園に対する対応について」でも、学園は基本協定にのっとって事業を実施していたと認識していたが「重大な違反行為があった」と言及されている。そもそも契約期間は5年間と明示しており、学園側も期間までに退去するものと思っていたとある。学園側から中野区へは3月に9月以降も施設使用を継続すると主張してきたとのこと。

中野マンガアートコート 区議会資料より

 現在、中野区は施設の明け渡しはもちろんのこと、損害賠償を求めて裁判所に提起する準備をしているという。

 重大な違反行為とはなんだったのだろうか。中野区の広報担当者に取材すると、今後の訴訟の争点になるため現段階で詳細は教えるわけにはいかないと回答。区の固有財産であり、地域の方からも活用法について問い合わせがあった中での判断だと答えた。

 中野区は、同施設の使用をいかなる者にも認めておらず、コスプレイベントなどについても中野区とは一切関係ないと告知している。同施設利用を予定していたいくつかのイベントは開催中止を余儀なくされた。

 そんな中、占有状態だと糾弾された学園側は12日、公式サイトで「中野マンガアートコートは2011年からマンガ・アニメの文化施設として多くの方々に来場いただきました。ご愛顧いただきありがとうございました」と閉鎖することを明らかに。だが、「中野区との基本協定に基づき当面同地区におきまして、文化施設としての機能を維持し、街づくりに関わってまいります」と事業継続をにおわせている。区と学園側とでは認識のズレがあるのではないだろうか。

中野マンガアートコート 事業は継続?

 学園側の関係者に取材すると、区の発表は「事実と違う」と否定した。区との基本協定の中に、契約終了後も引き続き業務継続する旨が記載されていると反論。学園側も桃丘小跡施設の使用が9月に契約が切れることは理解しており、その代わり区側から同区内にある第9中学校跡施設の代替え案を提示されていたという。それが急に立ち消えになり困惑していると訴えている。

 区から違反行為の一例として、「当初予定していた教育事業をやっていない」とする指摘があったが、「代替え地が決まるまでは生徒を取るわけにはいかなかった」と関係者。弁護士を入れて区との話し合いをしていたが、一方的に打ち切られ「桃丘小跡施設について」の告知文が公開されたとのこと。学園側は区に口頭で抗議したのち、抗議文を送付。裁判所に提起したという。

 学園側によると、5年の契約後はその「2年以内に漫画アニメ系の専門学校を中野に開設する」とした文言も基本協定の中にあると説明している。

 区と学園の言い分はまるでかみ合っていない。このまま話し合いがもたれなければ、双方が提起し、裁判で争われることになる。もっとも割を食うのはこの施設を利用していたコスプレイヤーやイベント参加者、そして近隣住民だろう。

 この件について中野区選出の議員秘書をしていたことがある大田区議会議員の荻野稔氏は自身のTwitterアカウントで「中野区側のいい加減な態度が相手に利用されるくらいの大事に。委託事業にしろなんにしろ、ちゃんと連携、管理しないと手痛いしっぺ返しを食らういつもの例。利用者が可哀想」と辛らつなコメントを投稿している。


 また、中野区議会議員の森隆之氏は「事業者選定時から問題視してきた事業が泥沼状態に」と触れ、占有が続いているため、小学校で「最後の大同窓会」が予定されていたがそれも開催できない状況だと嘆いている。


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