トランプ氏就任から聞くようになった「ポリコレ棒」ってどういう意味?ねっと用語知ったかぶり

中立・公平を呼びかけるその人自身は、中立・公正なのか。

» 2016年11月17日 16時46分 公開
[コンタケねとらぼ]

 11月9日、ドナルド・トランプ氏が2016年米大統領選を制し、次期大統領に就任することが確実となりました。過激な発言が多い氏の勝利は、米国内のみにとどまらず世界中で大々的に報じられました。



 それと時を同じくして、「ポリコレ棒」という言葉をよく聞くようになりました。これは一体、どういう意味なのでしょうか。

ポリティカル・コレクトネス

 「ポリコレ棒」を理解するには、元になった言葉「ポリティカル・コレクトネス」を理解しなければなりません。これは直訳すると「政治的正しさ」 となり、“年齢や職業、性別、宗教、人種などで差別・偏見を受けることがないような表現”を意味します。

 もともとは米国で始まった考え方であり、例えば女性だけが未婚を意味する「Miss」と既婚を意味する「Mrs」で表現が分けられることは女性差別であるとし「Ms.」で統一されたり、黒人を意味する「Black」が差別であるとして「African American」に置き換えられたりしました。

 この考え方は世界的に広まっており、日本でも「看護婦」が「看護師」になったり、「スチュワーデス」が「客室乗務員」(米国では「フライトアテンダント」)と呼ばれるようになったりしました。このように、「ポリティカル・コレクトネス」は、世界的な流れになっています。

 しかし、トランプ氏はこの「ポリティカル・コレクトネス」に真っ向から反論。「不法移民の流入を防ぐためメキシコとの国境に高い壁を築く」「イスラム教徒に対する米入国一時禁止」など、「ポリティカル・コレクトネス」からは懸け離れた公約を打ち出し、勝利しました。

 このことから、今回の米大統領選は一部で「反ポリティカル・コレクトネスの勝利」とも呼ばれています。

「ポリティカル・コレクトネス」と「ポリコレ棒」

 では、なぜ今回トランプ氏は勝利できたのでしょうか。その理由の1つとして指摘されているのが、近年「ポリティカル・コレクトネス」を過剰に振りかざす“自称正義の人”が多数現れたことによる「行き過ぎたポリティカル・コレクトネス疲れ」を多くの米国人が内心で感じていたのではないかというもの。

 例えば、現在米国内ではクリスマスに「メリークリスマス」とあいさつをすることは、キリスト教徒以外の人に対する差別であるとされています。これでは逆にキリスト教徒に対する差別ともとれますが、反論すれば「ポリティカル・コレクトネスに反論するのか、この差別主義者め」と袋だたきにあってしまいます。

 このように、「ポリティカル・コレクトネス」に少しでも反論するとすぐにたたかれることから、「まるでポリコレは人をたたくための棒だ」といわれるようになり、日本では「ポリコレ棒」と呼ばれるようになりました。差別をなくすために作られた「ポリティカル・コレクトネス」が、いつしか“強者”を過剰にたたくための武器として利用されるようになってしまったのが「ポリコレ棒」なのです。


ポリティカル・コレクトネス ポリコレ棒 トランプ 差別主義者はいねがー

 とはいえ、「ポリティカル・コレクトネス」そのものは、人々を中立・公正な世界へ導く指揮棒となってくれる存在のはず。トランプ氏の勝利を期に、できるだけ多くの人が納得できる運用に変わっていくと良いですね。

【使い方例】

例1:またあの人ポリコレ棒でたたいてるよ

例2:そういうこというとネットでポリコレ棒持った人たちにたたかれるぞ

追記(11月17日17時)

 内容を一部修正しました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/05/news034.jpg 天皇皇后両陛下と愛子さま、“仲むつまじいショット” 女性皇族「ティアラ」にも注目…… 80万いいね
  2. /nl/articles/2501/05/news006.jpg 目からウロコな“ビニール袋のたたみ方”が100万再生 超便利な“裏技”に「こっちの方が絶対いい」
  3. /nl/articles/2501/05/news023.jpg 「目がバグる」 どこからどう見ても“平面”にしか見えない千葉のビルが話題 投稿者にその後を聞いた
  4. /nl/articles/2501/05/news002.jpg “100歳おばあちゃん”の朝食作りに密着したら……驚きの姿と「最高の朝食」に大反響 2024年ねとらぼで読まれた【レシピ記事トップ5】を紹介
  5. /nl/articles/2501/04/news056.jpg 「WEST.」、メンバー結婚発表から“YouTube登録者2万人減” 目標の100万人を突破したばかりだった
  6. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  7. /nl/articles/2501/05/news001.jpg 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/05/news033.jpg 「昔はモテた」と話す母→全然信じていない息子だったが…… 当時の“異彩を放つ姿”に驚き「わぁ!」「とても魅力的」【海外】
  9. /nl/articles/2501/04/news037.jpg 白髪でやる気がわかなくなった女性、“白髪手術“したら…… “二度見必至な若返り”に「ビックリ」「凄い変わり様」
  10. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」