「総務省指定」をあえて拡大表記したiPhone 7専用ケース 指定なしの製品に記して良いのか総務省に聞いてみた
賛否両論を呼んだ「総務省指定」の文字をわざと大きく表記してみた、というiPhone 7専用ケースが11月に発売。おもしろがる声もある一方で、違法性を疑う声も。
「総務省指定」の文字をあえて拡大表記したiPhone 7専用ケースが11月に発売され、ネットでちょっとした注目を集めています(関連記事)。「ダサい」など非難も受けた文字をわざと目立たせる逆転の発想に「ナイス」「おもしろい」と肯定した反応もあがる一方、「ケースそのものは総務省から指定を受けていないのに表記するのはアウトなのでは」と適法性を疑う声も相次いでいるのです。
商品名は「総務省指定表記拡大専用iPhone7ケース」。本来はiPhone 7の背面に小さく刻印されている「総務省指定 MIC/KS 第EC-16007号」の文字を、大きくプリントしたクリアケースです。iPhoneにはめこむと、リンゴマークの下あたりにこの文字がでかでかと表示されるデザインになっています。
もともとこの「総務省指定」は、iPhone 7がICカードの情報を読み書きする機能をもつため、省令「電波法施行規則」に従って総務省から「形式指定」を受けていることを示す表記。この製品には10KHz以上の高周波電流を利用する設備があるけど、周囲の無線設備を妨害しないことを総務省から認められていますよ、と示すものになります(関連記事)。
この刻印は発売当初、iPhoneシリーズのデザインを損なうものだと批判する声もあがりましたが、今回のiPhoneケースはその経緯を踏まえた上で「総務省指定」をあえて拡大表記させてみたもの。ネットでは「そうそう、これでいいんですよ!」「かっこいいな」と好意的な反応や、「エヴァシリーズみたい」「アップルのロゴがNERVっぽくみえる」など庵野秀明作品らしさを楽しむ声が多くあがりました。
一方で、「あたかもケースが政府機関からなんらかの認定を受けてるように認識されかねない」「総務省から怒られないのだろうか」と、表記の使用に疑問をもつ人もいました。逆に「ケースが電波を出すわけはないから混同する理由はないし、規格を取った製品の専用品なので、目くじらを立てるものでもないといえばない?」といった意見も。
制度として問題はあるのか総務省電波環境課に取材したところ、「この『総務省指定』の表記の趣旨は、『設備そのものが総務省から形式指定を受けていることを所有者・使用者に知らせるもの』です。この趣旨に対して、iPhoneケースの表記が反しているかどうかが判断の基準になってきます」と回答。どうも形式指定を受けていない製品に印字したからといって、即アウトになるわけではないそうです。
例えばこのケースが、iPhone 6など形式指定を受けていないスマートフォンにもはめこんで使えるようだったらNG。はめこんでもiPhone 7とあまり一体化せずに独立した製品に見えるような場合でも難しいとのこと。つまりケースの表記がちゃんと「iPhone 7が総務省から形式指定を受けていることを所有者・使用者に知らせる」ものであれば、特に問題ない可能性があるとの話でした。
実際に開発側に何か働きかけをするかについては、「実物を確認していないので回答するのは難しいです。表記の趣旨に反するようだったら、あらためて総務省側から何かしらの措置をとるかもしれません」と回答しました。
ケースを開発・発売したITC Ltd.にネットの疑問の声について問い合わせたところ、「本商品はあくまでiPhone7の背面に印字されている『総務省指定』表記を単に拡大表示する意図で製作したもので、商品自体が電波法による認可を受けたものであるという誤認を消費者に与えようと作ったものではないことを、ご理解頂けますと幸いです」と、商品の趣旨を説明。
「現状での販売はAmazon.co.jpのみですが、商品名や商品説明文にもその旨を明記し、ご購入頂くお客様とはそのようなコンテクストを強く共有させて頂いていることを想定しております。とはいえ、本商品は総務省からの指定を受けていないにも関わらずそのような旨の物理的印字がされている状態ではありますので、何らかの法的な問題があり総務省からの具体的な行政指導があった場合、真摯にそれに従わせて頂きたく思います」とコメントしました。
(黒木貴啓)
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