つくばエクスプレスで人気の電車内で迷惑行為をする果物のポスター「めいわくだもの」シリーズはどのようにして誕生したのか
かわいいと人気。誕生秘話を聞いてみました。
電気の街、アニメの街、ゲームの街など、さまざま表情を持つ秋葉原。この街と茨城県つくば市をつなぐ、つくばエクスプレスではジワジワと人気を集め、絶賛話題になっているポスターがあるという。その名も「めいわくだもの」。「迷惑(めいわく)」と「果物(くだもの)」の掛け合わせで、マナーを啓発するマナー広告だ。毎月変わるコンテンツがなんともユニークでかわいいと評判だそう。一体どのようにして「めいわくだもの」は誕生したのか。まずは実際にポスターを見に、秋葉原へ行ってみた。
どこにどんなポスターが掲示されているのか、周囲をくまなく見ながら改札を通り抜けて、地下に降りる。すると、奥の方に掲示板を発見。どうやら、あれっぽい。
足早に近づくと、やはり「めいわくだもの」だ!
紫色の丸いキャラクターが何かしている。これはグレープか……、いや、ブルーベリーか。
ポスターを上から順番に見てみると、「おいしい!」の「い」に、×印がつき「おしい!」になっている。そして、つり革にぶら下がるブルーベリー、ドアを蹴るブルーベリー。その下には「荒ブルーベリー」という名前と説明が。なんとも迷惑なブルーベリーだ。おいしいはずのフルーツがこの行為で「おしい!(惜しい!)」となってしまったのか。
この隣のポスターには、さまざまな「めいわくだもの」がいる。どれも、色鮮やかで、全部違うくだもの、しかもゴロもいい。うまく考えられているものだと感心してしまった。
この「めいわくだもの」ポスターは、今から3年前の4月に単発で作成されたとのこと。そのときは「音漏レモン(おともれもん)」。その後、別のくだもので作成し、また別のくだもので、と定期的に登場し始め、2016年4月から2017年3月まで毎月発行するようになったそうだ。
そもそものきっかけは何だったのだろうか? 担当の菊地さんは「お客様にお願いする内容なので、柔らかいタッチにして、皆さんに見ていただきたいとの思いから始まりました」と話す。確かにマナー広告は、注意を喚起しなければいけない。苦労した点は「マナーから考え、それに合わせた果物を考え、さらに果物が重複してはいけないということですね。いつも何にしようかと考えていました(笑)」とのこと。今までひねり出されてきたくだものたちは計13枚。2017年3月までのものも、既に完成しているというので、合計17枚が、苦労の末に生み出されてきたのだ。
ところで、考えるのに苦戦したポスターはあるのだろうか?
「それは『カチャカチャピコピコピーチ』ですね。お客様から『無理やりすぎるだろ〜』という反応もいただきました(笑)」(担当者)
そして、一番人気は「でいスイカ」だそう。飲酒によるトラブル回避を啓発するポスターだ。スイカが見事に泥酔しているのがいい。
残念な行為を繰り広げるくだものたち。その人気は徐々に高まり、とうとうグッズにもなってしまったそうだ。
「めいわくだもの」のぬいぐるみマスコット3種類は手のひらサイズで肌触りがよく、「めいわくだもの」マグカップは大きめサイズで使い勝手がよさそうな品。これらは11月3日に行われた「つくばエクスプレスまつり2016」にて販売され、現在は各鉄道会社のイベント等で購入できるそうだ。通常の販売に関しては検討中だとか。
話を聞けば聞くほど、さまざまな思いの込もった「めいわくだもの」ポスターだが、担当者が最も愛着を持ったのは、「TXフルーツトレイン」のみ見ることができる「席をユズる」だそう。
TXフルーツトレインとは、くだものシリーズのポスターだけを車内掲示した特別列車。人に優しさをもたらすよう啓発する新しいデザインの列車が、2017年3月末まで毎日走るという(※運行時間の詳細は「つくばエクスプレス」公式サイトにて)。開業当初から可動式ホーム柵を全駅に設置し、ユ二バーサルデザインの設備もふんだんに取り入れ、人に優しいサービスを提供する会社だからこそのアイデアだ。
そんなスペシャルな列車なら、一度乗ってみたい。気持ちが高ぶった筆者は、帰りにもちろん乗車した。ホームドアが開かれ、一歩車内に踏み出し見上げた。その瞬間目に飛び込む、迷惑なくだものたち。しかし、車内はフルーツの香りが今にも漂いそうな、さわやかさに溢れ整然としていた。
(茂木宏美/LOCOMO&COMO)
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