レビュー
» 2016年12月11日 13時00分 公開

フォントを手で書くための同人誌 「ズボラ手書き明朝体講座」が手書きの楽しさを教えてくれそう司書メイドの同人誌レビューノート

手書きフォントならぬ、フォントの手書き。

[シャッツキステ,ねとらぼ]
シャッツキステ

 最近、手書きで何か書きましたか? 毎日、小さな通信機やパソコンで連絡をして、気付くとあんまり筆記用具触っていなかったりしませんか? ちょっとしたメモを手書きしたら「あれ? なんだか字が下手になってるような……」とか! 大げさな、とお思いかもしれませんが、ふと思い返すと、手書きする機会がめっきり減っていました。

 その代わり、身近になったのがフォントです。パソコンで書類を作る作業をしていると、文字のデザインを変えるだけで、こんなにも印象が変わるものかと驚きます。紙面でよく使われているフォントや、かわいらしくってお気に入りのフォントなど、種類も少しずつ覚えてきました。

 そんなこのごろにぴったりの“手書きの回復”と“フォントの知識を生かす”同人誌をご紹介します。

今回紹介する同人誌

「ズボラ手書き明朝体講座」 A5 12ページ 表紙・本文モノクロ

著者:ながまき


同人誌「ズボラ手書き明朝体講座」 少しざらつきのある紙に貼りつけられたラベルがしみじみとイイです

手書き風フォント? いえ、「フォントを手書きする」趣味です

 いきなり、表紙の文字にぐぐっとひきつけられました。

“誰が得するのか極めて謎
普段の書類に妙なアクセント”
“何の気なしに始めていつの間にか上達。
ザ・下らない趣味!”

 声に出して言いたくなるようなリズム感のあるキャッチーな文章が表紙に踊っています。かっちりした文字に見えて、少しゆらぎが見て取れるのが、文章と相まって味わい深さを増しています。こちらは、手書きで明朝体を書いて楽しむためのガイド本。「書類に妙なアクセント」とな? 付けてみたくなるではありませんか。

同人誌「ズボラ手書き明朝体講座」 「ヒントになる点があれば参考にする程度」の内容ですと、最初からことわりを入れるところが、親切かつズボラ感満載。良かった……ズボラでいいんだ

随所に光る、楽しむための“ズボラ”感

 趣味として手書きで文字を書くのは、習字がメジャーでしょうか。文字を均一に書くという方向性ですと、カリグラフィーという、欧文を中心とした華やかなジャンルもありますね。あっ、そういえば美術の宿題でレタリングもしたような……と、いろいろ種類がありますね。

 そんな中で、こちらの本では明朝体に注目されています。というか、タイトル通り明朝体しかありません。いかにして明朝体らしい特徴をペン1本で再現するか、そのペンはどんな種類が適しているか、と作者さんが得た手書き明朝体を楽しむコツが余すところなく公開されています。「どうしてもペンで再現できない点もあるので省略している箇所もあります」という部分が「ズボラ」と評してある理由のようですが、その省略こそがしみじみとした良さにつながっています。紹介されているのは、新聞明朝体とレトロ明朝の2種類。比べてみるとはっきり違いが見えて面白いですねー。

同人誌「ズボラ手書き明朝体講座」 守るべきポイントと省略しているところを分かりやすく、図も交えて紹介されています

 本は全12ページ。通称で「薄い本」と呼ばれる同人誌界隈でも、厚くはないページ数ですが、もちろん紙面は全て手書き! そして、1文字ずつ丁寧に書かれた明朝体は、きっちり書かれているものの、やっぱり線の強弱や丸みに違いが出て、よーく見ると1文字たりとも同じ形はありません。この「1文字の個性」の趣き深さよ。丁寧に書くなかでの、かすれやにじみは、海で桜貝を拾ったような「うわ、なんだかいいもの見ちゃった」感で心弾みます。それでいて、原稿用紙に大きく書かれた文字はすっきり見やすいという、その両立が素晴らしい。

クリスマスカードや年賀状に……むしろ、日常で生かしてみては

 そろそろクリスマスカードや年賀状の準備をするころですね。手書きをする機会も増えるかしら。いえ、特別な機会なんてなくたって、日常使いしてみると格好いいのではと提案します! ちょっとしたメモ書きに、はたまたお店で何気なくもらうポイントカードの署名が、こんな明朝体だったら「おっ」と思われそうです。

同人誌「ズボラ手書き明朝体講座」 作例の新聞のテレビ欄の再現。ものすごく、ぐっときませんか!

 作者さんは「お金のかからない趣味」として手書き明朝体を楽しんでいらっしゃるそうです。文字を美しく書きとっていくといえば、写経もありますね。まねして書く楽しみは、古来から脈々と受け継がれているのですね。でも筆や硯(すずり)がなくても、1本のペンと紙でどこでも始められるのはお手軽です。しかも、見本は新聞や書類など、身の回りにあふれているのがこれまた便利。個人的には「年末年始のお休みに実家に帰ったけど、時間を持て余しちゃってる」という時など、これをやってみるとお手軽な書き初めみたいで、ものすごく楽しそう! と、のんびりズボラ手書き明朝体に取り組む日々を夢見ております。


サークル情報

サークル名:ニショクフトウメイ

Twitter:@sigurepunch008


今週のシャッツキステ

シャッツキステ 館内では、本日のジャムのお味や、おすすめ本の紹介など、見回せばいろいろと手書き文字がありました。時にはこんな手書きも……!

著者紹介

司書メイド ミソノ 司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る

関連キーワード

手書き | 同人誌 | フォント | 趣味 | ペン


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2109/16/news030.jpg 転校生が一言もしゃべらない、と思っていたら……? 黙り続ける理由が判明していく漫画がジーンとくる
  2. /nl/articles/2109/17/news127.jpg 市川海老蔵、小林麻央さんと暮らした家が“けいこ場”に改装完了 子どもたちの“ルームツアー動画”に反響
  3. /nl/articles/2109/17/news011.jpg インコ「のっしのっし……」→「シャキーン!」 堂々と登場するインコの姿が何回も見たくなるほど面白かわいい
  4. /nl/articles/2109/16/news147.jpg 森永製菓、太くて長い「50倍小枝」を発売 それはもう大枝なのでは
  5. /nl/articles/2109/17/news049.jpg 100均で三角コーンを欲しがる2歳娘→家に帰って遊び始めたら…… 年齢に見合わぬ高度なギャグセンスを描いた漫画につい笑顔になってしまう
  6. /nl/articles/2109/16/news022.jpg 「ギャルの幽霊」に生きる楽しさを教えられる漫画が尊い 死んだように生きる男が、生きているように笑う幽霊と出会い……
  7. /nl/articles/2109/16/news095.jpg 中国版「FGO」で中国系キャラクターの名前・イラストが突然変更に 虞美人(アサシン)は「暗匿者230」、始皇帝は「裁定者229」に
  8. /nl/articles/2109/17/news014.jpg 自分を拾ってくれた先住ワンコのことが好きすぎる保護子猫 早朝から「遊ぼうよー!」と甘える姿がいとおしい
  9. /nl/articles/2109/16/news018.jpg ちょっとそこまで昼飯を買いに行った飼い主、帰宅すると…… 猫ちゃん5匹の熱烈すぎるお出迎えがうらやましい
  10. /nl/articles/2108/19/news134.jpg 【お料理のちょっと怖い話】お徳用サイズのかつおぶしの“謎のプチプチ感”の正体

先週の総合アクセスTOP10

先月の総合アクセスTOP10

  1. 田中将大、石川佳純ら卓球女子との集合ショットに反響 「夢の共演」「どちらから声を掛けたのか気になる」
  2. 田中将大の五輪オフショット集、最後は柔道・阿部詩との2ショットでシメ! “モテ男”の期待裏切らず「美女好きですね〜」
  3. 「マジで恥ずかしいです」 中川翔子、数年ぶりの“水着披露”に恥じらいつつもマネジャー大絶賛「スタイルめっちゃいいすね!」
  4. 里田まい、楽天ユニフォーム姿の長男に「違う、そうじゃない」 父・田中将大選手そっちのけの推し愛にツッコミの嵐
  5. 野々村真、動画で退院を報告 やつれた姿に衝撃広まる「コロナがより怖くなった」「ガリガリで衝撃を受けたわ」
  6. 「薬を問われ、アル中だと言われ」 西山茉希、“うわさ”ささやかれる痩せ体形に「懸命なもんでご了承願います」
  7. 柴犬「メシ、よこさんかーい!!(激怒)」 ごはんを忘れた飼い主に皿をぶん投げる柴犬、荒ぶる姿に「爆笑した」
  8. レイザーラモンRG、コロナ療養で“10キロ減”を告白 「顔が変わっちゃいました」とやつれた姿で復帰報告
  9. 海外記者「最高のコンビニアイスを発見した」 森永チョコモナカジャンボ、ついに世界に見つかってしまう
  10. 「ついついキレイな部分ばかり載せたくなりますが」 小倉優子が公開したインスタの“現実”に「勝手に親近感が」「共感しかない」