ハーフは美人ばかりじゃない! ハーフにはハーフの悩みがある
役所で、就職で、飲み会で……、ハーフの悩みは尽きません。
ホリの深い顔立ち、長い手足、日本語のみならず外国語もペラペラ――。ハーフの方にそんなイメージ持っていませんか? ハーフの悲喜こもごもについて1月27日に川口メディアセブンで行われた講演会で語ったのは、コラムニストのサンドラ・ヘフェリンさん。「ハーフを考えよう」を運営する傍ら、「爆笑! クールジャパン 〜えっ? 外国人は日本をそう思っていたの!?〜」(アスコム)ほか計11冊の著書を出しています。
「テレビに出てくるハーフのタレントさんって、かわいいですよね。容姿端麗で華やか。それがハーフのイメージになりがちですが、彼らは選ばれた人ということをお忘れにならないでくださいね。ハーフは一般の人もいるんですよ」――。こんな話題から、サンドラさんの実体験に基づいた話がスタートしました。ハーフの方々は彼らにしか分からない悩みがあるようです。
サンドラさんは1975年生まれ。ドイツ人の父と日本人の母を持ち、ドイツのミュンヘンで育ちました。ご両親はハーフの子どもをどう育てようかと悩んだ結果、日本とドイツの言葉を教えれば両方の国で「地元の人」として生活ができると考え、ドイツの現地校と週1回の日本語補習校へと通わせたそうです。さらに、日本名「渡部里美」もつけてくれたそう。そんなわけで、サンドラさんはドイツ人と日本人の友人を持ち、いつか日本で暮らそうと思い育ってきました。そして、22歳の時に日本に住み始めたのです。
サンドラさんは日本名を持っているし、日本語も話せるし、日本人の友人もいることもあり、自分は日本人であると自覚して来日したのですが、当時は外国人やハーフが今よりも少なく、周囲はそのようには見なかったようです。
「初対面で『渡部里美です』とあいさつすれば、『日本人と結婚されたんですか?』『日本に帰化されたのですか?』と聞かれることが多かったですね。また、インターネットカフェに行くと身分証明書を見せますよね。運転免許証のない私は保険証を見せたんです。渡部里美と書かれていましたが、写真が載っていないため、店員さんから『ご本人様ですか?』と疑われてしまいました」。想像すれば、確かにハーフ“あるある”です。
さらに区役所では、「印鑑証明の手続きのためにその窓口に並んでいたら『(外国人の)在留カードの手続きはあちらの窓口ですよ』と言われ」、医者からは「順番が来て渡部さんと呼ばれて中に入ると、先生に『渡部さんですか?』と聞かれたりするんです」とサンドラさん。ハーフであることや日本名のことを説明したり、必要な場合はパスポートなどの証明類を提出したりなど、ちょっとした“面倒”がたくさんあったそうです。
それから、レストランで名前を書いて待っていると、『渡部さま』と呼ばれたので手を挙げたのですが、店員さんがこちらを見てくれなかったそう。こうしたことから、顔と名前が一致しないとダメなんだぁと思ったと笑いながら話してくれました。
そんないくつものストレスを抱えていたあるとき、サンドラさんはハーフの会というコミュニティーに参加し、ほかのハーフの方の話を聞けたそうです。すると、もっと厄介な経験をしている人もいたのです。
日仏のハーフである学生の彼は、フランス語を専攻していました。すると、「楽して点数を稼げるから専攻してるんじゃないの?」なんて言われたり、「なんでフランス人がフランス語を専攻しているの?」と不思議がられたりしたそうです。しかしこの人、日本育ちのためフランス語はあまり分からなかったのです。
また、就職面接のときにもハーフの皆さんの悩みはつきません。就職活動をしていたとあるハーフの大学生は、エントリーシートを書き、面接に行きました。彼の見た目は、思いっきり外国人です。
面接官 「ご両親のどちらかは外国の方ですか?」
学生 「父がアメリカ人です」
面接官 「じゃ、英語はペラペラなんですね」
学生 「いいえ、ずっと日本の学校だったので」
そう言った瞬間に面接官はがっかり。さらには「もっと勉強しなくちゃね」なんていう言葉を投げかけられたそう。また、「漢字は読めるの?」という質問も飛び出したそうです。エントリーシートに日本語できちんと書いているというのに。
さらに、日本の一般的な企業に勤めたいハーフの方の就職面接で「外国にルーツがあるんだから、もっとそれを生かした仕事をしたらどうですか?」などと言われ、就職できなかったという話も。顔が外国人だと、日本の普通の仕事に就きにくいこともあるのだとサンドラさんも驚いた様子でした。
「ハーフって、見た目が日本人っぽくないことが多いから、他人にバッググラウンドを誤解されやすいんですよね」とサンドラさん。
終始笑いのある講演では、このほかにも語学のこと、国籍のことなど日本人から見たら意外だなと思うことを話してくれました。確かにハーフにはハーフじゃないと分からないことはたくさんあります。日本人の外国人に対する認識のズレは、当時に比べれば多少薄れてきたかもしれませんが、今でも「ハーフとはこういうもの」的な見方は残っているようです。これがハーフの方へ相当なストレスを与えていたなんて……。あらためてはっとさせられました。
サンドラさんは最後に「ハーフは外見で判断されることも多いですが、顔立ちや肌の色よりもその人自身を見てもらえるとうれしいですね。また、国籍問題に関しては、日本だけでなく各国の事情などを調べてもらえるとより理解が深まるような気がします」と話し講演を締めました。
講演後、サンドラさんはこんなエピソードを教えてくれました。
「独身時代に飲み会に参加したとき、幹事が『今日の飲み会はハーフの女性が来るよ!』と参加者に言っていたんですね。それで、その場の男性陣はトリンドル玲奈さんやベッキーさんのような美形のハーフを想像していたようです。そして、私が現れると、『え……? ハーフというより、完全に外国人って感じだよね』と少しガッカリ気味に言われました」――。つまり、「ハーフだから美人が来るに違いない!」と思われていたわけです。「一般人のハーフは当たり前ですが、私も含めてさまざまスタイル&顔立ちの人がいますよ」。
(茂木宏美/LOCOMO&COMO)
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奥様的「あるある」ですが、悪化すると離婚の危機に。
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