マグニチュード12で「地球が割れます」 震度は“体感”で決まっていた?

マグニチュードはその定義上、12までいくと地球が割れてしまう。

» 2017年06月17日 11時00分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 科学者にとっても「想定外」だった東日本大震災から6年になります。

 地震については、近年だいぶ多くのことが分かってきましたが、まだまだ謎に包まれていることがたくさんありとても興味深い研究の対象です。

 今回は、地震の基礎知識である「震度」「マグニチュード」について、東大で地震学を専攻している筆者が解説します。

そもそも震度とマグニチュードの違いは?

 「マグニチュード」はよく「地震の規模」の指標と呼ばれます。地震により発生したエネルギーの大きさを指すので、1つの地震について1つしかありません。

 これに対して「震度」「その場所での揺れの大きさ」を表したもので、1つの地震でも場所により違いがあります。

震度が決まる仕組み

 そもそも地震とは何でしょうか? 

 昔の人は地面の中でナマズが動くなどと想像したそうですが、現在では地下の急激な断層運動であることが分かっています。岩盤内にある亀裂に強い力がかかると、耐えきれなくなってずれ動きます。この過程が非常にゆっくり起これば地面が揺れることはないのですが、急激に起きると(だいたい数メートル毎秒)地震波が放出され地上まで伝わって揺れを感じるわけです。

 私たちが「揺れたな……」と思ってテレビをつけるとだいたい1分ほどで震度速報が流れます。震度(ある地点における揺れの強さ)は地震計が測定した加速度をもとに、震度0から震度7までの10段階で表されます(震度5と6は弱・強に分かれています)。

 現在は、地震計が計測した地面の加速度から震度を計算していますが、実は1996年以前は機械ではなく人間が測定していました。「これくらい揺れたから震度4、これくらい建物が壊れたから震度6強」という感じです。地震の観測というのは実はすごく最近になって発展してきたのです。

マグニチュードは地震の大きさ M12だと地球が真っ二つ

 震度が発表されたのち、地震の発生から3〜4分たつと、気象庁が各地の地震計のデータを分析して地震の震源の位置とマグニチュードを発表します(また、津波の危険性がある場合は津波注意報・津波警報を発表します)。

 マグニチュードは「地震の大きさ」を表す値です。同じ地震でも震度は場所によって異なるので、地震そのものの大きさを表す量としてマグニチュードが使われます。マグニチュードは地震のエネルギーといわれることが多いですが、おおよそ地震で動いた断層の大きさに対応しています。

 マグニチュードが1大きくなることは、地震のエネルギーが√1000=だいたい31.6倍になることを意味しています。これは断層の面積がおよそ10倍になることに対応しています。

 理論上、マグニチュード12の場合は長さ1万キロメートルの断層が動くことになりますが、地球の直径は約1万3000キロメートルであるため、ほとんど「地球が真っ二つに割れる」ことになってしまうというわけです。

 また、断層の面積が大きくなることは地震の破壊が始まってから終わるまでかかる時間が長くなることを意味しています。実際大きな地震ほど揺れの継続時間が長くなります。M9.0の東日本大震災では本震の揺れだけで3分程度持続しました。「揺れは小さいけど長いな……」と感じたらそれは遠くで発生した大きな地震である可能性が高いです。

日本ではマグニチュード8は平均して10年に1度起きる

 現在、マグニチュードが1大きくなると地震の発生頻度がおよそ10分の1になることが知られています(グーテンベルク・リヒター則といいます)。

 例えば地球上ではマグニチュード8以上の地震が1年に1回程度平均して起きています。マグニチュード7以上なら10回、6以上なら100回……というように増えていきます。

 一方で日本では地球上で起こる地震のだいたい1割が起きるので(日本は地震大国です)、日本ではM8が10年に1回、M7が1年に1回、M6が1年に10回程度起きています。もちろん平均してなので年によって大きく増減しますが、だいたいこれくらい起こるという目安として知っておくといいかもしれません。

 マグニチュードといっても実はその定義の仕方によってさまざまな種類があります。日本では気象庁が定める「気象庁マグニチュード」が一般的に使われています。学会の標準は「モーメントマグニチュード」というものです。

 気象庁マグニチュード(Mj)とモーメントマグニチュード(Mw)は計算方法が違いますから同じ地震でも少し違う値になります。例えば、2011年東北地方太平洋沖地震ではMjは8.4、Mwは9.0、2016年熊本地震ではMjは7.3、Mwは7.0です。

まとめ

 今回は、よく聞くけれど意外と曖昧な「震度」と「マグニチュード」について、知っていると役に立つ情報をお届けしました。

 何げなくニュースを聞いたり、揺れを感じたりしたときにこのことを思い出していただければ、地震についての鋭敏で正しい感覚が身につくはずです。時折思い出してくださいね。

制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/10/news085.jpg 夫に「ゴミ買ったの?」と言われたハギレを並べて縫っていくと…… とんでもない完成品に「ワクワクしかない」「かわいすぎる!」
  2. /nl/articles/2503/10/news122.jpg 【べらぼう】“最後”のシーンに「最終回かと」「神回」 27歳俳優が「あんなに演技上手かったんだ……」と話題
  3. /nl/articles/2503/10/news100.jpg 新山千春の娘・もあ、高校卒業後は海外へ「ダンサーの夢に向かって」 高校最後の弁当も公開
  4. /nl/articles/2503/09/news003.jpg 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  5. /nl/articles/2503/09/news010.jpg ダイソーのセルフレジが「身に覚えのない商品」を認識→“まさかの正体”に大仰天 「そんなことあるんですね」
  6. /nl/articles/2503/08/news043.jpg グッズを高額転売された人気VTuber→「強すぎる」まさかの対処法が「天才か?」「めっちゃいい案」と560万表示
  7. /nl/articles/2503/10/news107.jpg 「お前はーーーッ!!」 マクドナルド、謎のキャラクターを“ドアップ”でネタバラシ→分かる人には分かる“顔”に「おかえりなさい!」
  8. /nl/articles/2503/10/news098.jpg 『ちいかわ』にミスド登場!? エンゼルクリーム売上好調か 「かなり売れてた」「みんな買っている」
  9. /nl/articles/2503/03/news065.jpg 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  10. /nl/articles/2503/10/news034.jpg ウサギの帽子をかぶった赤ちゃんが5年後…… 同じ帽子で撮影した“現在の姿”に反響「成長って凄いですね!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 40代女性、デートに行くため“本気でメイク”したら…… 別人級の仕上がりに「すごいな」「めっちゃ乙女感出てる」
  3. 30年以上前の製品がかっこいい ソニーの小型ラジオのデザインが「すごい好き」「いまでも通用しそう」
  4. 幼くてかわいらしい兄妹が4年後…… 同じポーズで撮影した“現在の姿”に「これはあかん」「よすぎて声出ました」
  5. 「早く買えば良かった」 無印の1490円“本格せいろ”が690万表示の反響 「ほぼ毎日使ってる」「まっっじでいい」と感動の声
  6. ごはん炊き忘れた父「いいこと閃いた!」→完成した弁当に爆笑「アンタすげぇよ!」 息子「意味ねぇことすんなよ」
  7. 使わなくなった折りたたみ傘→切って縫うだけで…… 驚きのアイテムに変身「こうすればよかったのか!」「見事」【海外】
  8. 高3女子「進学を機にイメチェンしたい」→美容師に依頼すると…… 仕上がりが「すげえええ」「鳥肌立ちました」と1000万再生
  9. とんでもない量の糸をくれた先輩→ママがお返しに作ったのは…… 完成した“かわいいアイテム”に「絶対喜ばれるやつ!」
  10. 「洗濯機が壊れた!」→修理を頼む前によくよく調べてみると…… 「えぇ〜」“まさかの原因”が200万表示「何度もやりました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に