架空請求に悪用されるコンビニの「キオスク端末」「プリカ」 その手口を解説する(1/2 ページ)

だまされないために知っておきたいこと。

» 2017年07月03日 11時00分 公開
[高橋ホイコねとらぼ]

 利用した覚えのないWebサイトの利用料を請求されるなどの「架空請求」問題。一時は減少傾向にありましたが、ここ数年は再び増加傾向にあります

 現在こうして問題となっている架空請求では、コンビニの「マルチメディアキオスク端末」や「プリペイドカード」が悪用されていることはご存じでしょうか。

 実際、こういったものは使ったことがないと、そもそもどんな仕組みなのか分かりにくいかと思います。そこで、筆者が実際に「マルチメディアキオスク端末」や「プリペイドカード」を使ってきました。そして、さらに、それらの仕組みがどのように詐欺に悪用されているのか、国民生活センターの公表資料から読み解いていきます。

突然届く「身に覚えのない請求」――架空請求

架空請求の例 民事訴訟管理センターからのハガキ(国民生活センターより)

 架空請求はハガキ以外にも、封書、電子メール、SMS(ショートメッセージサービス)、電報、急にかかってきた電話に出たら自動音声が流れたなど請求手段はさまざまです。「裁判」「訴訟」「法的措置」等の言葉で不安感をあおる文面が使われることが多いです。いずれにしても、請求名目について請求された側に「まったく覚えがない」ことが特徴です。

 実際に架空請求された場合の対応は、国民生活センターが発行しているWeb版「国民生活」の2016年4月号「架空請求に関する契約の成立と支払請求の問題」が、分かりやすいかと思います。多くの場合、無視すればいいのですが、不安な場合は消費生活センター等(電話番号188)へ相談しましょう。

どうやって悪用されているのか――相談事例から

 実際に国民生活センターの公表資料から事例を紹介します。消費者が一体何をさせられてしまったのか、分かるでしょうか?

事例1

 スマートフォンにかかってきた電話に出ると「有料サイトの料金が未払いのため、法的措置を取る。民事訴訟になるので次の4つから1つを選択するように」との自動音声が流れた。「和解希望」を選択したところ、転送されて出た電話口に出た男性から「和解希望の場合は10万円支払うように」といわれ、コンビニのマルチメディアキオスク端末に、男性からいわれた何かの番号を入力して紙を出力し、レジで支払った。コンビニでもらった領収書を見ると、オークションで落札した商品代金を支払ったことになっているようだ。

事例2

 スマートフォンに有料サイトの料金を請求するメールが届いたので心配になり、メールを送ってきた業者に電話をした。すると業者から「約50万円の未納料金がある。今日中に払わないと裁判にする」といわれて怖くなった。そこで、業者にいわれた通りコンビニ端末で数千円のプリペイドカードを約70枚、約50万円分を買い、番号が分かるようにして業者にファクスしてしまった。支払う必要があったのだろうか。


 普段、通販でコンビニ払いを利用したり、コンビニでプリペイドカードを買ったりすることがない人は、ピンと来ないかもしれません。

 2002年頃の架空請求が流行し始めた当初は銀行振込が多く使われていましたが、本人確認法が成立するなど対策が進んだことで新たな集金手段が出てきています。そして、現在はこのようなネット絡みの決済手段も悪用されているのです。

「マルチメディアキオスク端末」が詐欺に悪用されている

 事例には「コンビニのマルチメディアキオスク端末に、相手からいわれた何かの番号を入力して紙を出力し、レジで支払った」とあります。これは一体何をさせられたのでしょうか。

 マルチメディアキオスク端末とは、知名度が高そうな物をあげるなら、ローソンのLoppi(ロッピー)やファミリーマートのFamiポートなどです。チケットの予約やtotoの購入などさまざまなことができるあの端末は、通販サイトの支払いにも利用できます。

マルチメディアキオスク端末のイラスト マルチメディアキオスク端末のイメージ

 まずは、実際に通販サイトでコンビニ払いをして、通常どのように使うものなのか確認しましょう。

通販の支払いをコンビニでしてみる

 筆者の日常の買い物を「コンビニ払い」でしてみました。

(筆者がたまたま日常の買い物をAmazonでしただけで、実際の詐欺の事例とは関係ありません)

 支払いをする際に「コンビニ払い」を選択します。

支払い手段選択画面 コンビニ払いが選べる通販サイトがあります

 後日、メールで「支払い番号」という11桁の番号が送られてきました。

支払い番号が書いてあるメール 支払い番号と確認番号がメールで送られてきました

 コンビニに行き、マルチメディアキオスク端末に支払い番号を入力するなどの操作をすると、印字された紙が出てきます。

端末操作後に出てきた紙 端末で支払い番号を入力すると紙が印字されました

 印字された紙を持って、レジに行き、代金を支払います。

レジで受け取った紙 領収書を見れば、Amazonへの支払いと明確に分かります

 これで通販サイトへの支払いが終了し、商品が届けばお買い物終了です。

コンビニ払いがどのように悪用されているのか?

 事例にあった「コンビニのマルチメディアキオスク端末に、相手からいわれた何かの番号を入力して紙を出力し、レジで支払った」という行動。明らかに私が買い物をして、コンビニ払いをしたときと同じことをしています。

 つまり、詐欺師が通販サイトで何かを購入し「コンビニ払い」を選択、入手した支払い番号を被害者に渡して支払いを肩代わりさせているのです。通販で購入した物は、当然詐欺師に届きます。

詐欺の仕組みの図 支払いの流れ(国民生活センター公表資料より)

 通販サイトだけではなく、オークションサイト、民泊サイトなども使われています。買い手と売り手がグルになって空売りをする方法です。

  1. 売り手が出品した商品を買い手が購入します(二人はグルです)。
  2. 買い手は「コンビニ払い」を選びます。
  3. 買い手がコンビニの「支払い番号」を入手します。
  4. 被害者に「支払い番号」を渡し支払わせます。
  5. 支払われたお金は売り手に渡ります。

 通常では空売りは利用規約で禁止されていますが、抜け道を見つけて悪用しているのでしょう。さらに、仮想通貨を使って購入代金の肩代わりをさせる手法も出てきているようです。

 なんにしろ、こんな支払い方法は、まっとうな事業者なら指示することはない支払い手段ですので、このやり方を指示されたら、詐欺をうたがった方がいいでしょう。また、支払ってしまった場合には、今後、同様の被害を出させないためにも、領収書に記載されている事業者へ申し出るように国民生活センターは呼びかけています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料使用メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」