なぜ黒く塗ったかを調べたら環境問題が見えてきた。

幕末の1853年、4隻の船が浦賀(今の神奈川県)に来航。日本を揺るがす大事件となりました。この船は一般に「黒船」と呼ばれます。もちろん船体が黒かったからです。
それではそもそも、なぜ黒船は黒かったのでしょう?
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船の塗料と性能
答えは「黒い塗料の性能が良かったから」。
この黒い塗料の名前は「コールタール」。役割は防水と防腐です。黒船は木造船だったため、防水防腐作用のある塗料で塗装する必要があったのです。
船の塗料はデザイン性ももちろんですが、性能で選ばれます。では、防水防腐の他にはどんな性能が必要になってくるのでしょう? 答えの1つが「生物汚損を防ぐ」ことです。

クジラの身体にフジツボが寄生している写真などを見たことがあるでしょう。こうした生き物は船体にもくっつき、放っておけば航行に支障をきたしてしまいます。
そんなわけで、歴史的に船の塗料はなるべく生き物からの被害を防ぐものが考案され、使用されてきました。日本では1978年、有機スズ系防汚剤が認定されています。
しかし、この有機スズ系防汚剤は、いわゆる「環境ホルモン」でした。生物にとって影響を及ぼすということです。そのため、イボニシなどの貝の性別がおかしくなるなどの被害が発生。至急の対策が迫られる中、ようやく2000年代に入って有機スズ系防汚剤が国際的に禁止となり、現在では比較的安全とされる塗料が使われています。
黒船の時代に使われたコールタールも、現在では発がん剤として有名です(がんを発生させる実験に使われました)。環境に悪影響を及ぼさず、なおかつ高性能な塗料を目指して、今日も日夜研究が行われています。
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